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マルシンのM439をメッキ修復、リアルショートリコイル化
〜擬似ショートリコイルモデルガン最初期の製品の気になっていた部分

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マルシンのM439をメッキ修復、リアルショートリコイル化〜擬似ショートリコイルモデルガン最初期の製品の気になっていた部分

メッキの修復を「めっき工房」でかけてみてなかなか思い通りの仕上がりになったので、大昔から我が家にあるメッキモデルガンを手直ししたくなった。

マルシン工業のM439でおそらく我が家にあるテッポのうち一二を争う古さ…多分40年近く前に買ってしばらくいじっていたがそのまま押入れの肥やしになっていた。

いろんな意味でエポックメイキングなモデルガンで、今では当たり前のショートリコイルを擬似的であるとはいえ再現したモデルガンのおそらく第二弾か第三弾目ぐらいの初期の製品。

MGCからはM59とM39が同時期製品化されていたが、MGCはバレルが固定のストレートブローバックだった。

それに対してマルシンは一応バレルが後座して、ホールドオープン時には上を向くブローニングタイプのショートリコイルを再現していた。

擬似ショートリコイルとしては同じマルシンのワルサーP38の方が早かったが、実銃にないバレルピンでバレルを固定するP38に対してこのM39/M439は実銃と同じ手順で分解できるのが少し進歩した。


この439がニッケルメッキ仕上げだったのだが、この色が気に入らなかったので当時初めてバーチウッドのアルミブラックのブルーイングにチャレンジした…そして失敗した。

いろいろ調べて最近思うのはS&Wのニッケルメッキってマルシンのようなサンドブラスト仕上げではなくピカピカにポリッシュされた仕上げが多い。

実際映画でもニッケルメッキ仕上げのオートって大概鏡面仕上げのピカピカ。

この40年押入れで眠っていたM439をピカピカ仕上げにできないかというチャレンジ。





今回の素材はこれマルシンの M439のモデルガン
もともとニッケルメッキ仕上げだったが気に入らなかったのでアルミブラックでブルーイングした
結果下ごしらえが不十分で色むら、エッジはブルーが載らずに禿げたようになってしまった




この元箱には誇らしげに「ショートリコイル」と印刷されている
これ以前のモデルガンは大部分バレル固定のストレートブローバック
ばかりだったのでバレルが後退するメカは当時新鮮だった




この通りホールドオープンしたらバレルが後退して上を向いている
今のガスブローバックガンを見慣れた若いテッポ好きからしたら
「それのなにが珍しいの?」と思うかもしれないが当時は結構な驚きがあった




このショートリコイルメカは残念ながら本当にロックしているわけではなく
スライドが後退した時にスプリングの力でバレルが後退する擬似メカで
そのための実銃にはないショートリコイルスプリングがある
そこは発火モデルガンなので仕方がないが発火機能を
殺してしまえば実際にロックするロッキングメカの再現は可能になる
バレルのガイドもS&W実銃とは似ても似つかない形をしているが
この加工も検討したもののかなり大掛かりな加工になりそうなので
これは後日の課題としてとりあえず動きだけリアル化することにした




そしてこの汚いブルーイングを剥がしてめっき工房で
ニッケルメッキ復元作業をするため例によって完全分解した




このモデルガンが気に入らなかったのはMGCと比較して全体的に動きが重かったということもあった
内部にかなり削り込みした跡がのこっていて当時苦戦した様子が思い出されてきた
きちんと動くようにするのも今回の目的のひとつ




ブルーイングを金属磨きで落としてベンジンオイルで脱脂をかけたところ
懸念していたレシーバー左側のメッキが薄くなっていたところは予想どおり剥げてしまった
これはメッキでは修復できないので塗装も兼用することを考える




とりあえずスライド・レシーバーをS&Wっぽいピカピカニッケルメッキに
仕上げるためにめっき工房のニッケルメッキをかける




トリガー・ハンマーには盛大にパーティングラインが残っていた
この時代はみんなこんなもんだったなぁ…とか思いつつ完全にラインを削り落としてポリッシュ仕上げにした




ハンマーも同じく




ピカピカに磨き上げたトリガーとハンマー




ハンマーのセレーションも目立てヤスリで入れ直した




このM439の購入当時からのもうひとつの問題点はハーフコックが効かないこと
ハーフコックポジションからすぐにハンマーが落ちてしまうのでノッチがナメたかと思ったが
実際にはそうではなくシアにバリがあってノッチへの掛かりが浅かったためにすぐ落ちていたことが判明した
シアのバリをかなり落としたところ問題なくハーフコックでハンマーが止まるようになった
組立キットではなくて完成品で購入したのだが当時の工作の精度はこの程度だったのかな…




バレルがレシーバーの中で後退するのだがここも
ギシギシいうほど硬かったのでかなりサイドを削り落とした




チェンバーのエジェクションポートから見える目立つ部分にも派手にパーティングラインが残っていた
この時代はパーティングラインには寛容だったのかもしれない
当時の自分も気にしていなかったが今の私には耐え難い見苦しさなのでガシガシ削り落とした




とりあえず組み上げて動作確認
ハーフコックポジションも正確でしっかり止まるようになった




ショートリコイルメカの加工
まずショートリコイルスプリングはいらないので外す
ダミーカート化するのでチャンバー内のファイリングピン(デトネーター)も撤去する




チェンバーにはロッキングラグはあるがスライド内部はのっぺらぼうでリセスがない
0.5mm厚のABS板を内部カーブに合わせて湾曲させ瞬間接着剤で固定し削り合わせした




ロッキングメカの動き
(上)完全閉鎖の時はチャンバーが上に上がってロックがかかる
(下)8mmほど後退するとバレルが下に落ち込んでロックが外れる
擬似ロッキングメカスプリング無しでもちゃんと上下動をするようになった




そしてホールドオープンしたらバレルは上を向く
発火モデルの場合この状態でバレルを引っ張ると前進位置まで引き戻せるが
この加工をするとバレルは動かなくなるのでリアルになる




バレルはABS地肌なのでインディのパーカーステンレスで塗装
ハンマー・トリガーは亜鉛合金むき出しだとすぐに真っ白に錆びるので
メタルプライマーを吹いて錆止めにした




こうしてできあがったマルシンM439グロスニッケルメッキモデル
残念ながらブルーイングをかけた時のダメージでメッキは新品コンディションの
ピカピカまではいかなかったが使い込んだニッケルメッキモデルぐらいにはなった




それでもめっき工房の威力でトリガーガード周り、
グリップ周りはこんな感じのグロスニッケルメッキ仕上に
S&Wのニッケルメッキはやはりこんな感じだよね




これまた押入れの奥から出てきたMGCのM59向けホルスターに入れてみた
当然のことながらぴったり収まる




ショートリコイルメカリアル化のためにダミーカート仕様にした
マルシンのルガー用の9mmパラベラムダミーカートがぴったりのサイズ




できあがった喜びもつかの間
ハンマーに磨き残しを見つけてしまった




トリガーにも磨き残しが…
こりゃまた分解してやり直しだな…




でもハーフコックができるようになったのが嬉しい




ハンマー根元にも磨き残し、パーティングライン残し…
S&Wしっかりトリガーもハンマーも根元まで露出しているので
根元奥までちゃんと削って研磨しないといけないという学びがあった…




概ね満足できる仕上がりになったのだがやはりレシーバー左側の
メッキが完全に剥がれたところはめっき工房ではどうにもならないので
ニッペのメッキシルバースプレーを皿にとって面相筆でタッチアップした




動作の改善は意図通りになった
ダミーカートの装塡・排莢も問題なくジャムもない
あとは仕上げに心残りがあったので次回対応


2022年4月11日
















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