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鉄錆再現塗料「さびてんねん」を試してみた〜チーフとクーガーを
錆びたテッポに加工…アルビン・トフラーごっこができるではないか!

Rusty Guns

鉄錆再現塗料「さびてんねん」を試してみた〜チーフとクーガーを錆びたテッポに加工…アルビン・トフラーごっこができるではないか!

かなり前から試したいと思って手に入れていた工作用塗料「さびてんねん」をやっと試せた…その結果、これはかなり強力(いろんな意味で)ということが判明した。

モデルガンの表面にサビが出ていたらまあ普通は舌打ちしたくなるようなガッカリな状況なんだけど、これが真っ赤に錆付いていたらなかなか「廃墟感」があって風情があるんじゃないかと昔から思っていた。

サビをリアルに表現できる「さびてんねん」という塗料の存在を知った時に、どうしてもやってみたかったことがあった。

むか〜しのNHK特集で観たアルビン・トフラー教授の「第三の波」ごっこだった。





今回のいけにえはオクで手に入れたジャンクコンディションのマルシンチーフガスガン
ジャンクといっても一応完動品でBB弾は撃てるコンディションだった
が、容赦なくバラして「さびてんねん」を塗装していく




A液を塗った直後…A液は要は細かい鉄粉が混ざった水性ポスターカラーみたいな塗料
鉄粉は沈殿して固まっているのでよく混ぜて塗らないといけない
鉄粉をたっぷり溶いて塗るとこのように真っ黒になる
このまま小一時間乾燥を待つ感じ…




待っている間ABS製のグリップを目立てやすりや320番ぐらいの
サンドペーパーで表面を荒らして古くて痛んだグリップを作る




チェッカリングもカッターなどでザクザクに荒らして完成




B液が酸化剤になっているがこれを塗らなくても1時間ほどで表面に赤錆が浮いてくる




B液を3度塗りして2日置いた結果こんな感じになった
B液は塩化アンモニウムを含んだ塗料で酸化触媒みたいな溶液




見た感じまるで鉄のような感触で「おまわりさんこの人です」とか通報されても困るのでネタバラシ
素材はマルシンのガスガンで鉄どころかヘビーウエイトですらないABSプラ製のチーフ
元はこのグリップ内側のようなメッキシルバーの上にブルーブラックの塗装がされていたようだ




ヨークシャフトには塗装していないので比較すると素材は新しいことがわかるかな




このチーフに関してはちょっと思いあって真っ赤に錆びた雰囲気に
したかったので表面に塗料を盛り上げるほどたくさん塗った
サビが完全に内部にまで侵入して膨れ上がった鉄錆の雰囲気になった
いわゆる鉄屋さんが言うところの「鉄が腐った」状態というやつ




グリップのディテール
木製グリップが腐りかけているような雰囲気を狙った




メダリオンは実銃はアルミ製だろうからこんな錆び方はしないがまあ雰囲気




錆びてボロボロになった銃腔…という設定




写真の色彩を変えてみると昔の捜査資料の証拠写真のような雰囲気




あるいはミステリー小説の挿絵?




さてこれガスガンなのでカートリッジに6mmBB弾を詰めると実際に撃てる




シリンダーが錆付いて装填には一苦労…
まあ酸化剤が中まで染み込んでいるのでそのうち内部部品も錆付いて
じきに全く動かない完全なオブジェになってしまうだろう




にしてもこの鉄錆の感じ
本当の鉄粉だから錆び方がリアルなのは当たり前といえば当たり前だが
子供時代に資材置き場で遊んでいた時に見かけた腐った鉄パイプの雰囲気とそっくり




繰り返し強調しますがこれは鉄製ではありません…
プラ製のおもちゃですww




もう一挺塗ってみた
こちらは東京マルイの10禁のエアコッキングのM8000クーガー




これもABSのプラ製おもちゃなんだけど「さびてんねん」を
薄めに塗ってサビが少し浮いてきた雰囲気を狙った




これは面白い
これは筆塗りしたがA液を脱脂綿に染ませて
もっと微妙なサビも表現できるかもしれない
いろいろ試したくなる塗料だ




この塗料の要注意点としてはB液を塗った筆洗いは気をつけろ…ということかな
台所のステンレス流しで筆洗いするとあっという間にステンレスに赤錆が浮いてきて
嫁さんから大目玉を食らう可能性があるので取り扱いは大変危険だ
それぐらいこの酸化剤は強力だということだ


「さびてんねん」を知ってから
「これをチーフに塗ってみたい」
とずっと思っていた。

そのきっかけは今から40年ほど前のNHKスペシャルだった。

当時のベストセラー本「第三の波」について著者のアルビン・トフラー自身をナビゲーターにしてその未来学の思想を説明するシーンがあった。

アルビン・トフラーについては詳細はこちら。
アルビン・トフラー - Wikipedia

そも、「第三の波」とは何かという説明に入る前に
「今現在の20世紀という時代はそもそもどういう時代なのか…それはこの拳銃で説明できる」
という大変ユニークな語り口が印象に残った。

せっかく塗装したのでNHKスペシャルのそのシーンを再現してみる。





「20世紀というのはどういう時代なのか…もし今から1000年後の
考古学者が20世紀の古代遺跡を発見した時にこの時代をどう捉えるか」




「この古代遺跡から発見された『拳銃』という出土品は
極めて20世紀的な特徴を備えている」




「この『拳銃』の部品を一つ取り出して他の同じ型の
『拳銃』に組み込むと何の問題もなく機能することがわかる」




「つまり20世紀というのはそれ以前の時代とは
極めて異なる『製品の規格化』という特徴を備えた時代なのです」



トフラーの思想の根幹は人類は農業を知って第一の波を体験し、産業革命で第二の波を経験し今現在(1980年代当時の話)この第二の波の真っ只中にいる…というもの。

この次に来るのが第三の波で人類は再び個別化、サブカルチャー化、情報化していき20世紀的規格品の大量生産という時代は終わる…と予言していた。

その影響は産業構造から個人の生活まであらゆるレベルの変革という形で現れ始め、重厚長大産業の衰退、情報・文化産業の台頭、生産ロットの極小化、消費者と生産者の境界が消えあらゆる面での交流に新しい技術が使われる…という内容で、21世紀も20年過ぎた今日から見るとかなり当たり前の話だがそれを世界でまだ高度成長が続いていた80年に言い当てたのがすごい。

そしてこの産業構造・社会構造・文化人類学的転換を説明するために小難しい論文を引用するのではなく、砂に埋もれた真っ赤に錆びたチーフを手にとって説明した語り口の平易さ、ユニークさに感銘を受けた。

面白い学者さんだったと思う。

なのでアルビン・トフラーの第三の波の導入を再現したくなった。





(上)マルシンのガスガンチーフスペシャル「さびてんねん」バージョンと
(下)コクサイのチーフスペシャルモデルガン




いずれも同じチーフスペシャルでどちらも同じくABSつまりプラスチック製のテッポ
鉄に見えたらお慰み




いやあ…見えるでしょ


2022年5月5日
















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