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GHK・AUGの気になっていたストックの色をODに…
ウレタンスプレーを初めて試してAUGカラーを再現

OD Green

GHK・AUGの気になっていたストックの色をODに…ウレタンスプレーを初めて試してAUGカラーを再現

ステアー(シュタイアー・マンリッヒャー)StG77ことAUGの実銃のことをいろいろ調べてみて塗装の参考にした。


【塗装の話に入る前に実銃について】

ブルパップがブッシュ戦や市街戦では有利になるのではないか…ということは1940年代からずっと言われていたため、各国ともブルパップ形式…つまりトリガーやグリップをマガジンの前に置き機関部をストックの中に入れて全長を短くしたライフルを試作していた。

代表的なのはイギリスのL85とかフランスのFAMASとか…イギリスやフランスはなんとか実用まで強引に持って行ったけど、試作を始めた各国は皆ブルパップは難しい問題を抱えていることに気がついて断念している。

メカがストックの中にあるので冷却の問題とか整備分解の問題などが出てくるし、どうしても排莢口が顔の横に来るので安全性が確保できるのかとかスイッチシューティングができないとか、重量バランスがどうしても後ろが重くなるので片手射撃だと空を撃ってしまうとか…

これらの問題のためブルパップを頑なに拒否する国もある…アメリカとかドイツとか日本とか…


そんななか唯一成功したブルパップがオーストリアのAUG。

AUGは母国オーストリア軍に制式採用されStG77という名称をもらった。

他にオーストラリア・ニュージーランド・カナダ・トルコ・サウジアラビアなどでも採用され、そちらではF88という制式名称ももらったりしている。

AUGはArmy Universal Gewehr(軍用汎用小銃)という市販向けの名称。


AUGには他のブルパップにはない画期的な工夫が盛り込まれていた。

なんといっても樹脂部品を大幅に採用したこと。

左右貼り合わせのストックだけでなく、トリガー、マガジン、マガジンキャッチ、シアハウジング、シア、ハンマー、ディスコネクターみんなプラスティックだった。

まるで日本製のモデルガンみたいw

そのくせ過酷な使用にも安定して動作する堅牢さ、しかもほぼワンタッチでバレル、バレルハウジング、ボルトキャリア、シアメカボックスまで簡単に分解できてほぼ全ての部品に野戦分解でコンタクトできる整備のしやすさ。

砂や泥をかぶっても動くソ連のAKMなみの安定性など。

銃身に鍛造鋼を使った以外はレシーバーはアルミ合金で、ストックは内部のメカも樹脂製にするなど重い部品を前に集めて後半の部品は軽量化することでテイルヘビーになりがちなブルパップの弱点も解消している。

部品が樹脂製だから錆にも強い。


AUGがStG77としてオーストリア軍に採用されたのが1978年だから、実に40年第一戦で使用され続けている。

その間AUGはF1、A1、A2、A3と近代化の変更は加わっているが、基本的なメカはこの40年ほぼ変わっていない。

その細かい変更点も調べてみた。





AUG A1実銃
先行生産型のF1との違いはボルトストップメカがついたこと
全弾撃ち尽くしたらボルトをオープン位置で止め残弾ゼロを知らせるようになった
照準線が短い弱点を指摘されたためスワロフスキーの1.5倍低倍率スコープを標準装備した
ボルトフォワードアシストボタンがコッキングレバーについて泥で閉鎖不良になっても
強引にボルトを前進させて閉鎖させるメカもついている




AUG A2実銃
A1との主な違いはコッキングレバーの形が変わってボルトフォワードアシストボタンが
廃止されレバーを上に傾けてボルトを掴んで前進させるメカに変わったこと
部品点数を抑えて故障を少なくする工夫かもしれない
もう一つ大きな違いはスコープやスコープレールがレシーバーと一体型だったA1に対して
A2はこれが取り外し式になったためスコープをマウントレールに付け替えたりが可能になった




AUG SA実銃のカタログ写真
アメリカの大部分の州やヨーロッパではフルオート射撃が可能な銃の販売・所持が
禁止されていたのでAUGをセミオートオンリーに改変した民間市販型
外観はAUG A1と全く変わらないがトリガーを押し込んでも射撃は1発ずつ




AUG A3の実銃
A2との主な違いはボルトリリースボタンがマガジンウエルの横についたこと
A2まではマガジン交換した後の装填はコッキングレバーを引く以外になかったが
A3からこのボタンを押すことでボルトを前進させ装填できるようになった
A3はCQCレールがついた型だと勘違いしている人が多いが実はA3とA2の違いはこの部分だけ
CQCレールやレシーバーの斜めレール、グリップレールはすべてオプションなので
そういうオプションが付いていないA3も存在する




AUG A3で模擬射撃訓練をするオーストリア軍兵士
A3もこのオリーブドラブのカラーリングがあるようだ
現用AUGのバレルは20インチではなく16インチまたは14インチが標準になっているらしい




こちらはF88を携行するオーストラリア軍の兵士(ややこしい)
オーストラリアはいち早くAUGを採用し独自の改良を加えたEF88というAUGが現用




マルイが「スペシャルバージョン」と命名して一部雑誌で「AUG A2」と紹介されたAUG A1
これはAUG A1にスコープレール一体型のNフレームを取り付けたオプションで別にスペシャルでもないしA2でもない
AUGにはこうした誤解が結構流布している




AUG A3のNATOバージョン試作ストック
AUGは独自規格の樹脂製マガジンを使うが永世中立国だったオーストリアは近年NATOに急接近しており
NATO標準のSTANAGマガジン(要するに米軍のM16・M4系のマガジン)を挿せるタイプも試作されている
ウクライナ侵攻で急加速したがロシアの脅威のためオーストリア・スウェーデン・フィンランドなどの
中立国がNATOに急接近している傾向は実はかなり前からあったという象徴かもしれない…




AUGの樹脂部品のカラーリングはOD(オリーブドラブ)と黒が一般的だが
これは珍しい白モールドのAUG実銃用樹脂部品
AUG実銃のカラーリングは塗装ではなくすべてモールドでそういうところもプラモじみている
しかし真っ白という需要がどこの国にあるのかは不明…一年中積雪があるのは極地圏だろうから
アイスランド?グリーンランド守備隊?…フィンランド北部でも夏は雪が溶けるのでどうなのかな




AUG…みたいに見えるが実はこれシンガポール製のSTG556実銃
AUGとの違いはスコープやレールがネジ止め、ボルトフォワードアシストノブがマガジンの横にあるなど…
AUGはもう開発から40年以上経っているので大部分の特許や意匠は
時効になっておりコピーはし放題ということらしい




AUGで模擬射撃演習をするオーストリア軍兵士
これらの写真・資料を参考にGHKのAUGに手を入れている



【AUGのモデルガン・エアガンについて】

これまた今から40年前。

MGCがCPブローバックのカートを使用したABS製の2代目M16を発売した時に、そのディテールの再現性に惚れ込んで飛びついて購入した。

その時にガンショップの店頭に
「CPカートモデルガン第2弾:AUG制作進行中!!」
というポスターが貼ってあり
「うぉーっ、スゲー!AUG楽しみ!!」
と胸躍らせた記憶が…

MGCのM16はほぼ全ABS製でプラスチックっぽさがちょっとがっかりポイントだったのだが、その点AUGはなんせ実銃もプラスティックっぽいのでがっかりポイントはないだろう…しかもCPカートでガンガン撃てるなら…これは欲しい…と思った。

ところが事情通のモデルガンに詳しい人たちは
「第2弾AUG?…ホンマかいな…また言うだけで終わるんちゃうの?」
と冷ややかだった。

そして残念ながら彼らのいうことの方が正しかった。

AUGはいつまで経っても発売されず、そのうちMGCそのものがなくなってしまった。


AUGに恋い焦がれる気持ちだけが後に残されたが、それから数年後マルゼンとJACからエアガンのAUGが発売された。

マルゼンのは実銃より一回り小さいジュブナイルモデルだったのであまり興味が湧かなかったが、JACはレシーバー、バレルが金属製のフルサイズだった。

早速店頭で見せてもらったがレシーバーの中にバッテリーがギュウギュウに押し込んであって、コッキングレバーが動かない形だけAUGの電動ガンだった。

その当時20インチバレルにしか興味がなかった私は、カービンタイプで引き金以外どこも動かないそのJACのAUGに若干疑問を感じて結局手が出ず…そうこうするうちにJACそのものがなくなってしまった。


次には東京マルイが電動ガンでAUGを出したのでこれは購入した。

しかし電動ガンが好きになれなかったので、ゲームをしなくなるとマルイのAUGも押入れの肥やしになっていった。

ゲームをするためならマルイのAUGは最善の選択とは言えない。

ゲームならAK47とかG3とか多弾数でラージバッテリーの方が有利だし、別に銃の形をしていなくてもその条件を満たしていれば十分。

銃のリアルさも関係ないし引き金を絞る時にシアが切れるあの感触はモデルガンやガスガンなら味わえるけど、ガスガンはゲームには不利だし…結局形だけAUGの格好をしていても面白くない…ということになってマルイのAUGは視界から消えていった。

そうこうするうちにマルイは…今でもある。


【AUGの塗装をする】

本当はモデルガンが欲しかったんだけど、GHKのガスガンがシアボックスの形状や分解法までかなり忠実に実銃を再現しているので、また昔の恋心が蘇ってきた…

それで手に入れたGHKのAUGはストックがFDE(フラットダークアース)に塗装されていた。

こんな砂漠色のAUGってあるんだろうか?…と思って調べてみたがどうも確証がない。

どのみち砂漠色のテッポがあまり好きではないので、AUGのスタンダードのODに塗装することにした。


ひとつ問題だったのはワルサーP99のフレームを、ODに塗装した時に使ったインディーのオリーブドラブとフォレストグリーンがどちらもAUGのストックの色には明るすぎる気がしていたこと。

さらに素人塗装と思われるFDEのラッカー塗装がかなり剥がれていたことから、ラッカーやアクリルだとどうしてもこうなるよねぇ〜と悩ましい問題もあった。


いろいろ調べているうちにオラガバニストさんのGHK ステアーAUGの記事を見つけた。

この記事で「イサムのエアーウレタンカラー」のODがあってこれがかなりAUGのモールドの色合いに近いことを知った。

イサムのエアーウレタンは前にホームセンターで見つけていて気にはなっていた。

2液式のウレタン塗装がスプレー缶でできるのでかなり気になったけど、ホームセンターに置いているのが白黒赤黄色などの原色ばかりで、なかなかホビーに使えそうな色がなかったのでなんとなく手を触れずにいた。

この記事を見つけて早速ODのエアーウレタンを注文した。





AUGをほぼ完全分解して樹脂部品を全部塗装する
使用するのはイサムのエアウレタンスプレーのODで
中に2液式のケースが入っており最初にレバーを押し込んでこれを破る
2液が混ざることで硬化が始まるので一度使い始めたらその日のうちに使い切らないといけない
ウレタンはラッカーやアクリル塗料と比べると塗膜が厚めで弾力性もあるため引っ掻いても剥がれない
その代わり乾燥には時間がかかり手に塗料がつかない初期乾燥に約30分
30分したら重ね塗りして4回重ねると塗装だけで2時間かかる
さらに完全乾燥まで48〜72時間かかるなど昔扱ったエナメル系塗料を思い出した




ストックのFDE塗装はローバルリムーバーで先に剥がしておいた
そのまま上塗りしてもよかったのだが下地にラッカーが塗ったままだと
ウレタンの塗膜強度が活かせない気がしたので結局ほぼ完全に剥がした
ここまで剥がすんだったらむしろブラックモデルとした方が話が早かった気もするが…




意外なことに塗料が余ったのだがどうせ今日中に使ってしまわないと
明日には固まってしまって結局残りは捨てることになるので
マルゼンのAPS2ことステアーSSG69のストックも分解して塗装した




こうして72時間ののちに完成したGHK・AUG
20インチバレルと3-9×ズームスコープ、外観リアル化した撮影用のマルイ電動ガンマガジンの組み合わせ




昔は20インチバレルが一番好きだったのだが
目が慣れてしまったのか今では20インチは長すぎると感じる




AUGのトリガープルはガスガンでもやはりそうだし実銃でも
5kgほどありスナイパーライフルには向かないそうだ
ところが映画ではなぜかAUGでスナイパーというシーンが多い気がする




(上)14インチバレルをつけたマルイの電動AUG A1と(下)20インチをつけたGHKのAUG A2




(右)14インチバレルをつけたマルイの電動AUG A1と(左)20インチをつけたGHKのAUG A2




マルイのODモールド(上)は当時からちょっと赤みが強すぎる気がしていた
逆にイサムのODカラー(下)は緑が強い気がする
この中間ぐらいがちょうど実銃の色合いかな…




ついでに塗装したSSG69ことマルゼンAPS2(上)と




(上)シュタイヤー・マンリッヒャーSSG69実銃と(下)マルゼンのAPS2
ステアーはこの60年代の狙撃銃・スポーターライフルですでにポリマーのストックを標準にしていた
その色もAUGに近いグリーンのオプションもあり画期的な樹脂製のAUGは
突然出てきたのではなく生まれるべくして生まれたのだということがわかる




同じ塗料を使ったので 当然のことながら同じ色合い
実銃のSSG69は黒と茶色、フォレストグリーンの3色のオプションがある




16インチバレルにACOG+RMRのサイトを乗せたGHKのAUG A2




GHKの16インチバレルは20インチと同じ櫛形のフラッシュサプレッサーがついていたが
昔手に入れていたバードケージ型のサプレッサーに付け替えている




昔は20インチバレルが好きだったが今は16とか14とか短めの方がバランスがいいような気がする
大人になったということか?




16インチというM4カービンと同じ長さのバレルをつけていながらこのコンパクトさ




GHKのAUGは部品のはめ合せが異常に硬いという以外に特に分解組立は難しくないのだが
一番苦労したのはバーティカルグリップのバネを蓋の輪っかに引っ掛ける工程
何十回も失敗したが前回は1発で成功したはず…どうやったんだっけ?と考えるに
前回はくの字に曲がった長ポンチを使ってバネを引っ掛けて引っ張ったんだった
きっとまた次回忘れるだろうからメモしておく




ホールドオープンするとボルトヘッド(実はガスピストン)がエジェクションポートに見えている
電動ガンではこの風景は見ることができない




前回作ったBFAを装着
これはバードケージ型なので青




ディテールはともかくマルイもGHKもプロポーションはなかなか正確




BFAは前回写真写りがキレイすぎたのでそれぞれさらに塗装を剥がし
黒ガッシュでスス汚れた感じにウエザリングした…のだがわかるかな…




さらにフロントレールを装着しフラッシュライト、レーザーエイムポイント、予備サイトをつけた16インチ




これをA3と言っている人を散見するがボルトリリースボタンが
ついていないGHKのAUGはあくまでA2だと思う




タクティカルなテッポってあまり好きではないのだがAUGなら許せる気がする
そしてAUGはやはりグリーンスキームかな








トリガー、セーフティ、マガジンキャッチ、マガジンボトム、
フロントグリップ、コッキングレバーもエアーウレタンで塗装した
こういう部品を塗装しないといけない関係でアクリルやラッカーは
使いたくないと思っていたがウレタンは多少引っ掻いてもびくともしない感じだ
質感もAUGのモールドのような質感に近い気がする




クロスボルトセーフティ兼セレクターのホワイト入れは
例によって水性ガッシュで入れた




発火側の赤もガッシュで入れた
一度この楽さを知ってしまうともう模型用ラッカーやアクリル塗料には戻れない
水性といっても乾燥後の食いつきはラッカーに引けを取らない








せっかく塗装が完了したのでまたブランクを出してきて情景写真を撮った




BFA(空砲アダプター)をつけたAUGと散らばったブランク弾M200




ウレタン塗装のストックの光沢はこんな感じ
塗装ですと言わなければわからないかな?




バックアップサイト、バーティカルグリップ、フラッシュライトが付いたフロントレール




ストックのネジ類もサビ落としをしたので見たところ新品みたいになった




M200空砲弾を使った訓練風景はこちらの動画で確認できる
空砲といっても間近だとすごい迫力でやはりモデルガンとは違う




RASがついているとバレルを先にばらすことができないが
フロントごとごっそり抜けば通常分解は可能だ




GHKのAUGはマルイに比べるとセーフティやテイクダウンボタンが異常に硬い
ウレタン塗料を塗ったおかげでさらに一段硬くなって
ドライバーで押し込まないと動かないぐらい硬くなった
さすがにこれはダメなのですり合わせをして軽く動くように調整した
セーフティの分解手順は先にトリガーとトリガーバーを分解しておくこと
組立は先にセーフティを取り付けてからトリガーを組み付けること
分解の注意点はそんなことぐらいかな…




レシーバーもバリが残っていたりでもともと硬いのがさらに硬くなっている
ここを全面的に金ヤスリで削ってテイクダウンボタンが動くようにした




(上)AUG A3CQCタイプユニット装着の実銃と(下)GHK・AUG A2CQCガスガン




(上)AUG A3実銃と(下)GHK・AUG A2ノーマルカービン
CQCユニットがついているのがA3で付いていないのがA2という勘違いを
している人が多いがCQCユニットはどちらにもつけられるオプションにすぎない
見分けるポイントはやはりマガジン横のボルトリリースボタンがついているかいないか




20インチバレルとバーティカルグリップの組み合わせも整備したのは
もう一つ部材の到着を待っているから
詳しくは到着後…




20インチは長い…
昔はコンパクトだと思ったが今見ると「長すぎ」と思ってしまう




16インチのタクティカルモードは一応の完成形
この後もAUGが続く…かな?


2022年8月23日
















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