WE-TECH L85A2ガスブローバック〜英国面に捕らわれてしまった…ブサイクなんだけど好きなメカの塊のリアルメカ版
ミリオタの間でかなり通用する「英国面」という言葉がある。
英国のなんとも言えないブサイクで非合理で時代錯誤的で意味不明なメカデザインを指してこういう言葉を使うが、多分スターウォーズの「暗黒面」が出典。
特に兵器のデザインとなると英国人は、全金属・密閉風防を装備した複葉機グロスター・グラジエーターとか巨大ねずみ花火のようなパンジャンドラムとか「何がしたかったんだろう?」「本当にそれでいいと思って作っていたんだろうか?」と疑問になるようなものを作る傾向がある。
銃器に関しても、19世紀半ばには確かに優れた設計だったウエブリー&スコット回転式拳銃のほぼそのままのメカの焼き直し版小口径リボルバーを1930年台後半に採用して戦後の中東戦争の時代まで使用したりと不思議な保守性と非合理なデザインの兵器を作ることを「英国面に捕らわれてしまった」と表現する。
「英国面」は飛行機や戦車、艦船などあらゆるジャンルで発揮されているが、近代銃器でもそれは遺憾無く発揮されている。
その典型例がこのL85。
ブルパップの小銃がおそらく戦術を変えるインパクトがあるはずと各国が試作を続けた結果、もっとも成功作となったのがオーストリアのAUGだとするともっとも「?」がつくのがイギリスのL85だと思う。
そして個人的にはその「英国面」に捕らわれたメカが嫌いかというと、そうでもない…というよりどちらかというと大好物かもしれない。
合理性と先進性の塊のようなAUGも好きだが、「なんでこうなったん?」という「英国面」の塊のL85はもっと好き。
そのL85も最初からパンジャンドラムの後継者を狙っていたわけではない。
むしろスタート時点では先進的で、しかも開発の手順は先見性もあった。
途中でおかしくなってしまったということではウエブリースコットを踏襲したエンフィールドNo.2リボルバーの後継者かな。
開発がスタートしたのもまさしくエンフィールドだし…
(上)エンフィールドL85A1実銃と(下)WE-TECHガスブローバックL85A2
以前LSのL85A1を取り上げたがエアーコッキング式のLSに対してブローバックの
WEはメカが実銃に近いのでメカの学習のためにブローバックを入手
もう電動ガンに全く興味がわかないのでこの選択になる
A1とA2の違いにも興味があったし…
WE-TECHのガスガンはデフォルトはキャリーハンドル兼用のオープンサイト付きモデルになる
L85といえばSUSATサイト…なんだけどもしゲームで使いたいならオープンサイトが正解
私はゲームに興味がないのでSUSATを購入した…その件は後で詳しく…
L85A2は「弾が出る鈍器」とまで酷評されたL85を
実用的レベルに引き上げるためにH&Kに委託して改修したタイプ
なんせ不評を無視していきなり40万挺も調達してしまった主力小銃が
「棍棒の方がマシ」とまで酷評されてしまったので大幅に改修された
まずWEのメカ再現度を確認
ブローバックにこだわったのは実銃のメカについて知りたいことがあったから
ハンドガードの上のドアを開けると中に見えるのはガスチューブ…ではなく
ガスピストンが叩いて駆動力を伝えるガスオペレーションロッド
マガジンがからの時はホールドオープンがかかりボルトは後退したまま止まる
実銃のボルトに当たるガスピストンのヘッドはロッキングラグを再現していてリアル
エジェクションポートがポッカリ開くのがブローバックモデルの醍醐味
ボルトを解放したり手動でオープン状態に止めるのは
実銃ではこのレバーでやるが残念ながらこのレバーはダミー
代わりにボルトの解放は反対側のこのボタンを引き下げて行う
また手動でボルトを止める機能は本来こちら側のボタンには無いはずだが
WEはこちらに手動オープンボルトの機能をもたせた
このボタンのデザインなんか典型的な「英国面」でこういう目的なら
もう少し操作しやすいデザインがあったのではないかと思う
セミオート・フルオートセレクターはこのボルト解放ボタンの下にある
これもトリガーの近くでコントロールするようにデザインするべきだが
AR-18のメカをそのまま使い回ししたのでどうしてもこの位置になってしまう
セミ・フル切り替えの時にはどうしてもどちらかの手をグリップから離して
目線も外すなど構えを崩してしまう必要があるのも不評の原因の一つだったが
これは最新現用型のA3になっても改善されていない
そのくせセーフティだけはトリガーの上にあるクロスボルト方式
左に押し込んだら発火状態、右なら安全状態
(上)L85A1実銃の野戦分解した様子と(下)WE-TECHのL85A2の分解した様子
電動ガンのメカはほぼ実銃とは別物だがガスブローバックはこのようにかなりリアル
L85の分解手順はテイクダウンピンを抜くことから始める
抜くのはストックバット固定ピンとマガジンの前の固定ピンの二つ
マガジン後ろのピンはシアボックス固定ピンなのでこの段階では抜いてはいけない
WEはこのピンをデフォルト右から刺していたが英国のお達しではピンは左から刺すことになっていたはず
このピンは脱落防止バネが巻いてあるが押し出すと「ピヨーン」と飛んでしまうので
装備に当たってピン紛失の可能性があるために左から刺すことになっていたはずだ
英国兵は気にしていないようだが自衛隊員だったらビニールテープをぐるぐる巻きにするところだ
この2本のピンを抜くとレシーバーはすんなりと上下に分割されて開く
開いてみるとボルト解放用のレバーはどこにも干渉していないダミーなのがわかる
マガジンがカラになるとボルトキャッチが押し上げられてボルトが後退位置で止まる
ボルトリリースボタンを押し下げるとボルトキャッチレバーが押し下げられ
ボルトキャッチも下がってボルトを解放する
マガジンには残弾ゼロになった時にボルトストップを押し上げるレバーがあるが
(上)このスイッチを前に押し込むとボルトストップが有効になるが
(下)スイッチを後ろに引き出すとレバーは押し込まれてボルトストップがかからなくなる
BB弾を入れずにカラ撃ちして楽しむお座敷派にはこちらがおすすめ
(上)セミオートの時はフルオートマチックシアはハンマーに干渉しない
上からは見辛いがディスコネクターがハンマーにコンタクトする
(下)フルオートの時はフルオートマチックシアがハンマーを止めて
ボルトがフルオートシアを前に引いてハンマーを解放する
ディスコネクターは引き離されているのでボルトが前進した後に撃発する
このメカはお手本になったAR-18そのものだ
レシーバーの前半分はガランドウでトリガーとトリガーバーがあるだけ
(上)はセーフティが解除されている状態でトリガーは解放されている
(下)はクロスボルトセーフティが右に押し込まれてトリガーがロックされた状態
AUGはシアを自動ロックするドロップセーフティも内蔵しているがL85のセーフティはこれだけ
ハンドガードを外すのはここのボタンを押し込んで前に押す出す
分解するとAR-18ゆずりのショートストロークガスオペレーションメカが現れる
バレルから一部誘導されたガスはフロントサイト付け根のシリンダーに入り
ピストンを後ろに押し出す…するとピストンロッドが後ろに高速で押し出される
チェンバーの上に数ミリ突出したガスオペレーションロッド
このロッドがボルトキャリアを勢いよく叩いてロッキングが解除され
ボルトの後退が始まり排莢・装填が自動的に継続される
数ミリの動きだがガス圧は数十万psiという高圧なのでこれでも十分な力になる
ガスブロのエアガンにとってはここらのメカは全く意味のない飾りなのだが
WEはこういう外から見えないところも丁寧に再現してくれていて好感度が高い
リコイルスプリングユニットは3本の鋼材で構成されている
中央のバネがボルトを復座させるリコイルスプリングで両脇のバネは
ボルトの衝撃を受け止めるバッファースプリングという実銃にはない部品
ガスガンは実銃ほど強度がないのとこのスプリングでショートストローク化して
フロンガスでも実銃に近い回転数を再現するために追加されている
ボルトの取り外しはコッキングレバーをここの穴に合わせて引き抜くことで可能になる
ダストカバーはボルトが後退すると自動的に開くようになっている
ここらも再現されている
前回のLSのL85は実銃から型取りしたわけではないがその割にはよくできていた
その時代から30年経ったのかな…L85はここまでリアルになっていると実感
情景カットも撮影してみた
こうなるとやはりL85のシンボルSUSATサイトも欲しくなる
次回はそこらの話が中心になる
情景撮影に使ったSTANAGの実物マガジン(左)とWEのL85のマガジン(右)
サイズや形状はほぼ実物と同じでわずかに実物より大きいのでSTANAGマガジンは
ガスガンに刺してもしっかりロックしない
グリップの中は確かクリーニングキットコンテナーのはずだが
このキャップもすぐに取れてしまうのでLSのように蓋もせず
グリップ底を開いたままカラにして使っている英国兵も見かける
フタをしっかり固定できないのも欠陥の一つだったような…
オープンサイトはノーマルで使い勝手も特に悪くないが照準線が短いという欠点は
最初から想定済だったようで英国はL85の原型のL62/SA60シリーズという60年代の
試作時代から光学サイトを同時進行で開発していた
SUSATサイトを手に入れています
ただしその出来についてはちょっと疑問
中華レプリカだからね…詳しくは次回…
2022年10月2日
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