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WE-TECH L85A2ガスブローバック2〜SUSATサイトを入手したが
これってリアルなのか?英国面と中国面に捕らわれてしまった

obelisk

WE-TECH L85A2ガスブローバック2〜SUSATサイトを入手したがこれってリアルなのか?英国面と中国面に捕らわれてしまった

【前回までのあらすじ】
英国面に捕らわれてしまった私はついにフォースのバランスを失い、変な銃のL85をさらにリアルな変な銃に変えるべくスザットの都へと旅立ち中国面という新たな危機に立ち向かうことになる…

SUSATサイトのことについて。

L85は最初から英国面に捕らわれた変な銃だったわけではなく、計画が始まった当時は先進的な銃になるはずだった。

例えば高速小口径弾を使う発想で先行したのは英国で始まったXL60/SA60シリーズだった。

イギリスは4.85mmという思い切った小口径弾を試作した。

口径が小さければ弾速が上がり直線に近いコースで弾は飛んでいくので照準のパララックスの補正も小さくなるし当てやすくなる。

副次的な効果で命中後横転弾になるので殺傷力も高い。

銃も軽くできる(先代のL1A1はおよそ5キロの重い小銃で評判はなかなか悪かった)。

この小口径弾をブルパップで撃ち出せば近接戦闘では威力を発揮するに違いない。

最初からブルパップで設計されたXL60/SA60シリーズは、そのために照準線が短いという欠点を持つに違いないから光学照準器も同時進行で開発するという先見の明があった。





エンフィールドが継承して開発したXL60(XLはエキスピアリメンタル・ランドサービスの略)
英国小銃開発が29口径とか4.85mm弾とか先走っていた時代の試作品
この計画の最初から小型の光学照準器が同時進行していたことがわかる
サイトはのちのSUSAT(サイトユニット・スモールアームトリラクスの略、結構意味不明)
とかなり似ておりこの時代にほぼ原型が完成していたことがわかる




1970年から始まったオーストリアのAUGの開発推移
XL60シリーズと違ってAUGは最初キャリーハンドルを兼ねたオープンサイトで開発していた
これにクレームが入ったためか73年ごろからスコープをつけたレシーバーを試作し始めたが
なかなか形状が定まらなかった




L85A1(Lはランドサービスの略、英国では陸上の小火器つまり拳銃から機関銃まですべてこのカテゴリーらしい)
実験作・試作を表すXが取れて実戦配備されたL85だがこのWikipediaの写真にもその弱点が写っている
樹脂部品の劣化が速くチークピースやグリップ、フォアハンドの破損が相次いだ


L85は先進的小口径ライフルになるはずが、NATOに振り回されて30口径になったり、すったもんだした挙句結局アメリカのM16とおなじ5.56mm×45弾を使用することになり、レシーバーももともと参考にしていたAR18が同弾薬を使用していたので、その構造をそのまま持ってくることになった。

実戦配備すると次々と欠陥の指摘や改善要望が殺到することになる。

・コッキングレバーが右側にあり、両利き用が望ましいとする目標は達成されなかった。
・SUSAT照準器を取り付け銃弾を装填したL85は、L1A1と比較しても80gほど軽いのみで、重量はほとんど変わらなかった。
・ブルパップ方式レイアウトに加え、SUSAT照準器の位置、軽量な樹脂製フォアグリップなどの要因から、重心が後方に寄りすぎており、フルオート射撃時の反動が非常に大きかった。
・照準時のアイポイントが高く、遮蔽物からの射撃時にも大きく身体を晒す必要があった。
・引き金が固く、射撃精度に悪影響を与えた。
・左側面に設けられたセレクターレバーおよびマガジンリリースの操作時、ピストルグリップから手を離す必要があった。また、マガジンリリースは銃を胸の前に構えた時、誤って押されることもあった。
・スリングは射撃時に役に立たなかった。
・LSWのショルダーバットストラップは位置が高く、役に立たなかった。
・LSWは交換可能な銃身や弾帯給弾などのオプションがないため、支援能力が限られていた。
(以上Wikipediaより抜粋)

Wikipediaに拾われたのはごく一部で実際にはその項目は数十にもなったらしい。

そうした使用者の意見を全部無視して実戦配備を強行したために「弾が出る(こともある)鈍器」「実戦では棍棒の方がマシ」という定評ができてしまった。

上のXL60とL85を見比べるとマガジンキャッチの位置がマガジンウエル後部からレシーバー左側に移されているが、これなんか明らかに改悪で、元のままの方が使いやすくて装備に当たってマガジンが知らないうちに脱落することもなかったはずだ。

何を狙ってこういう変更をしたのか意味がわからない。

まさに英国面に捕らわれてしまったに違いない。

(おそらくはSTANAGに対応するためとかAR18のマガジンキャッチをそのまま流用してコストダウンするとか理由はあったんだと思うが…)

何よりもいけないのはほぼ100発に1発の割合で発生するジャムの多さだ。

これは3マガジン撃ったら1発は必ずジャムる計算になるが、今時日本のモデルガンでもここまでジャムは起きない。

そして開発当初から数えれば20年ほど開発期間があったはずのSUSATサイトもクレームの対象になった。





数十項目にも及ぶL85の「欠陥」を改善するべくH&Kが英国から請け負って
すでに納入済み分も含めて大幅に改修したのがL85A2というのは結構知れ渡った話だ
この改善点の話に入る前に英国面の象徴のSUSATサイトを入手したので
オープンサイトを外して取り付けてみる




台湾のエアガンメーカーのG&Gの純正ということで購入したSUSATサイト
L85のようなマイナーなアイテムをエアソフトガンとはいえ商品化する台湾メーカーは
すっかり新鮮味を失ってしまった日本のメーカーと違ってとても元気だ
その純正ということでおよそ25000円はたいて購入したが電池の装着手順が説明書に書いていない
開ける場所はここしかなかったので下側を開けたところ電池ソケットがあった
これは実銃もこうなんだろうか?…だとするとSUSAT開発チームも20年以上眠っていたとしか思えない
実銃の場合電池は出動ごとに交換しないといつの電池かわからない状態で実戦に入るのは命取り
なのにいちいちここを開けないといけないのは「英国面」に捕らわれている




そしてG&GはWE-TECHにはポン付けできないという定評通りサイトはガタガタで固定できない




ここまでは想定の範囲内なのでレールの内側に0.3mmアルミ板を貼って幅を合わせた




こうして固定できたG&GのSUSATサイト




ウインテージはここのスクリューで調整する
位置を合わせて左右のナットを締めていく




エレベーションはここのダイヤルで調整する




レティクルイルミネーションの点灯はここのつまみで点が合っているところは消灯
時計回りに強・中・弱と調整できる




SUSATの特徴といえばオベリスクポストのはずだがG&Gのサイトビューは描画レティクル
この通り点灯は確かにするがSUSAT独特のあの見づらそうなクソ使いにくそうなレティクルではない




SUSAT実銃のサイトビュー(Wikipediaより)
この見辛いオベリスクは最近改善されてしまったのか…調べてみたが
どうもG&Gが工程を簡略化するためにこれに変えてしまったらしい
箱絵にもこのオベリスクの写真が載ってるのにちょっと騙されたなぁ
リアルさよりも実用性を優先しろということなのか?




ところがその実用性も甚だ疑問で照準は左に10度以上ずれている
サイトビューの右端がちょうど着弾点というぐらいのひどいずれ様
これをなんとか調整できないか開けてみた
要はこのプリズムの取り付け角度がおかしいらしい




プリズムは電池ケースの脇のこのスクリューで固定されている
時計方向にずらしてサイトビュー確認したところネジ1個分回すとちょうど狙点が真ん中にくる
しかしこれではレティクルが光らなくなるのでやはり固定ネジを外して
プリズムの取り付け角度を調整することにした




プリズムを外して中心を合わせてネジ1個分時計方向に回して接着した…のだが…




このプリズムが内部で光軸が交差する「ダッハプリズム」というタイプで
ちょっとでも位置がずれると正しい位置に像を結ばなくなる
固定はできて照準も真ん中に来たが妙に視界の左側を蹴られるようになって
そうでなくてもアイレリーフが2cmほどしかないので
目の位置まですごく限定されるとスコープとして使い物にならない
ここのところ連続して中華スコープに泣かされてるなぁ…英国面と中国面に捕らわれてしまったか…




仕方がないので諦めて元のネジ止めで固定して調整ネジで
サイトを合わせようとしたら調整台のネジがぽろっと折れた(!)
なんとこのネジ亜鉛合金じゃない!金属部品が崩壊する恐怖は
30年前のウエ◯タンアー◯ズ以来の驚き…しかもLEDスイッチも
壊してしまって触れば触るほど状況を悪くしそうなのでもう諦めた…
SUSATサイトは完全に飾りになってしまった…いいもん…ACOGつける算段するし…



残念ながらG&GのSUSATは結構高価だったのに完全に見てくれだけのオモチャだったようだ。

サイト調整できる範囲内に狙点が入らないし、実用性がないならせめてレティクルはリアル志向のオリベスクにして欲しかった…

LEDの線が切れたのでハンダ修理したら、強は点灯するように戻ったが中と弱は点灯しなくなってしまった。

要するに何も改善しないままスイッチをぶっ壊してしまった。

泣きっ面に蜂だな。


ところでこのオリベスクサイトポストなんだけど、正式な名称ではないかもしれない。

オリベスクって古代エジプトの墓石のことなので
「この墓石のようなクソ視界の邪魔になるサイトポスト」
という意味で使う側がそう呼び始めたんじゃないかという気がする。

1960年代ならともかく、今となってはこのオリベスクサイトポストのSUSATは何の先進性もない。

開発者が50年居眠りしていた産物にしか見えない。

実際最近の英軍では時流には逆らえなくなってきたのか、L85もACOGへの換装が始まっているらしいが…





ほぼ飾りになってしまったSUSATサイトだが
これが付いていると英国面の面目躍如というL85




(上)WE-TECH L85A2と(下)LSのL85A1
H&Kの改修が入る前と後を比べてどこに修正が入ったか見てみる




遠目にわかるのはハンドガードのクーリングホールが大きくなったこと
冷却に考慮してということなんだろうけど樹脂部品の劣化が速いので交換したものは
このタイプに変わるがA2の中にはA1タイプのハンドガードのままの個体も多い
ヒンジがアルミランナー一体だったのがA2ではプラに変わったのでやはり劣化対策のようだ




あと気がつくのはトリガーが金属むき出しだったのが
樹脂のトリガーシューみたいなものに変わったこと
巨額の費用をかけて改修した割には間違い探しのような細かい違いが多い




マガジンの固定が甘い・装備に当たって脱落するというクレームは本当に多かったようで
(右)のA2ではマガジンキャッチレバーの周りを土手のような覆いで囲んだ
これは既存分も改修できるように溶接で取り付けているようだ




L85実銃の射撃訓練風景の動画
半分ぐらいのところでコッキングレバーを引いて引き金を引いても「カチッ」という音だけで
「あれ?」という顔をしてる訓練兵にチューターが「マガジン!マガジン!」と注意しているシーン
これを見ると新兵には使いやすい銃とは言いづらいようだ




一番有名な改修点はコッキングレバーの形状変更かな
L85はボルトキャリアに直接レバーが固定されるのでボルトと一緒にレバーも前後に動く
これに排莢された薬莢が当たってチェンバーに戻ってしまい
ストーブパイプジャムが起きるという信じられないような故障が多かったそうだ
これを防ぐためにレバーの前面を上むきに傾斜させて対処したが
同じような構造のAKやAR18ではそういう問題は起きなかったのに
L85は本当に引きが強いとしかいいようがない




(上)のA1に対して(下)のA2はトリガーの形状変更、ハンドガードの形状変更が確認できる
トリガーはトリガーストップの意味はないようでやはり寒冷地対策とバレルの熱が伝わるのを防ぐ狙いのようだ




ハンドガードは(右)A1の左右貼り合わせから(左)A2のあわせ型に
前面パーツ差し込みに変更して強度を持たせている
写真を集めているとこの変更はやっていないA2も結構見かけるので
必須というわけでもないようだ




これが最近配備が始まったL85A3
ハンドガードはアルミ合金製の4面レールアタッチシステムに変わった
マガジンもマグプルタイプになるなどモダンになったが基本的な部分は変化ない
左射撃ができないだの重量バランスが悪いだの問題の大部分は解決していないが
そんなこと気にもとめず「まだ使えるものは使う」というのも英国面




セーフティにはレッドインレイ、ホワイトインレイが入っているようなので
例によって水性アクリル絵の具のガッシュで色を入れた
SUSATでかなり沈んだがこれだけのことでとても気分が上がった




昔から飛行機ならヘリコプターや複葉機が好きだった
テッポもモダンで実用的なテッポよりも癖が強いのが好き
英国面だの何だの散々こき下ろしたが実はL85は好きなテッポのベスト5には入る


2022年10月3日
















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