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VFCのLAR〜というよりFNのFALという名前の方が馴染みがあるが
総金属製の重厚感たっぷりのガスブローバックライフル

FAL on film

VFCのLAR〜というよりFNのFALという名前の方が馴染みがあるが総金属製の重厚感たっぷりのガスブローバックライフル

今年の初めにそんな予定はしていなかったんだけど、VFCのLARを軍拡した。

昨年だかVFCがこれを出した時には無可動実銃並みのクオリティとか話題になったのに、すぐにNorthEastのUZIが話題をさらって、と思っていたら今度はマルイのサイガが来てもう誰もこのテッポのことをおぼえていないかもしれないけど、私にとっては今年最大の無茶な買い物だった。

そんな外したタイミングでなぜLARなのかというと、このテッポにはちょっと思い入れがあるからだ。

東のAK(カラシニコフ)に対して西の代表はM16という言い方をするのが一般的だが、AKはともかくM16は世界を二分するというほど第三国では多く採用されていない。

第三世界で最も多く採用されているのは東陣営のAK47/AKMに対して、西の横綱・ベルギーのFNが開発したFALということになる。

実際西ヨーロッパ諸国だけでなくメキシコ以南の中南米、アフリカ、アジアの大部分の国でFALは運用されている。

実際1960年代から80年代にかけて世界各地の紛争関係のニュース映像に映っているのは、AKとFALが圧倒的に多かった。

冷戦時代のニュース映像を知っている世代なら必ず一度は目にしているというぐらいのポピュラーな銃だった。


VFCがこれをガスブローバックで出した時にLARという名称で販売した。

FAL(Fusil Automatique Léger)はフランス語で、輸出向けバージョンにはLAR(Light Automatic Rifle)という英語の刻印が彫られていると解説されている。

VFCのLARはレシーバーが実銃と同じスチール削り出しのデラックスバージョンと、ダイキャスト製のレシーバーの通常バージョンがある。

10万円ほどの価格差があるがデラックスと通常版の差はこのレシーバーと刻印の有無だけのようだ(あとは箱がちょっと豪華ぐらいの差)。

いずれもFALのType1、初期バージョンを再現している。





(上)VFCのLARガスブローバックと(下)同じくVFCのSCAR-Hガスブローバック
いずれも30口径NATO弾のライフルで軍用銃の製造メーカーとしては
中世以来の伝統のベルギーのFN社設計




(上)VFCのLARガスブローバックと(下)同じくVFCのSCAR-Hガスブローバック
がっしりした筋肉質のSCARに対してFALは細くて長いが
実銃は鋼鉄製のがっしりした構造で剛性は高いとのこと
そこはガスガンもしっかり再現して少しもたわまないのは見事
実銃のFALはセミオートの命中精度の高さも定評がある
ただウクライナでFALを支給されている義勇兵がいるそうだが
「細長くて邪魔」というのが使用感なんだそうだ




目を引くのはレシーバーに標準装備されたキャリングハンドル
なんせ実銃は4kg以上の重量があるので移動には必要なものらしい
VFCのガスガンもほぼ実銃並みの重量を実現している




(上)FN社FAL実銃と(下)VFCのLARガスガン
刻印以外は忠実に再現されているしメカの再現性も高い




VFCのLARの左側プロフィールカット
実際にはH&KのG3や64式小銃、M16A1なんかと比べても長さに
それほどの差はないのだが細いせいか印象としてとても長いように見える




マガジンの装塡法は前のフックを引っ掛けて後ろを押し込んでレバーで固定する




マガジンリリースはマガジンの後ろにあるレバーを前に押してロックを解除
AKなどと同じ…というより当時はこの形式がレギュラーでM16のように
グリップしたまま人差し指のボタンでマガジンをリリースする形状の方が珍しかった




フィールドストリッピングはレシーバー左にあるテイクダウンレバーを後ろに引く
するとアッパーレシーバーが上に中折れ式で開く




ガスガンには実銃にはないリコイルバッファーが
組み付けられているのでまずこれを後ろに抜く




リコイルスプリングはストックの中にありこのボルトについた長いロッドを押している
このロッドを上に逃がして後ろに抜けばボルトも抜ける




通常分解はここまで
ガスオペレーティングピストンやコッキングレバーはボルトに固定されていない
実銃はこれがボルトキャリアでローディングノズルの部分が実銃のボルトに当たる
実銃はティルトロッキングだが流石にそこまでは再現されていない




弾を撃ち尽くすとボルトが後退したまま止まるホールドオープン機能もあり
リリースするときはマガジンキャッチレバーの左側のボルトリリースレバーを
下に引くことでボルトが前進する




照尺は200〜600mになっている




セレクターレバーはSがセーフティ、Rが単発、Aがフルオート
コッキングレバーは独立しているのでボルトと一緒に前後に動いたりしない




分解した時に写真を撮り忘れていたがガスレギュレーターや
シリンダーなどもガスガンとしては飾りだが再現されている
ハンドガードの質感もリアルだと思う




Webで画像検索していたら海外の実銃部品パーツ通販サイトでFAL専用BFAを見つけた
空砲射撃演習の時に銃口につけるアダプターだがこれが以前作ったAUG用の
アダプターと割と似た形なのでそのうち作ってみようと思う
もちろん飾りだがゴムキャップ式のセーフティキャップよりは雰囲気が出る




これはFNがドイツ軍制式ライフルトライアルに向けて試作したG1ライフル実銃
ドイツはベルギー製のFALの木ストバージョンのG1を制式ライフルに希望したが
二度にわたってドイツに占領されたベルギー政府のドイツアレルギーのせいか
G1国産化のライセンスは認められずその結果SIGのSG510がG2、
H&Kのセトメ改良型ライフルがG3として採用されたとか
戦後初の制式ライフルがなぜG3と3番目モデルなのかはこういう経緯があった




FN/G1を使用する西ドイツ軍兵士
ガスマスクケースやスコップなど軍装がまだナチスドイツ時代の古いデザインのままなのが興味深い
FN/LARとの違いはロケットランチャーを兼ねた長いサプレッサーと二脚が標準装備になっていること
このようにFALはドイツでも一部配備されたが結局G3にすべて更新されることになった




こちらはFALを運用するオランダ軍兵士
ロケットランチャーはこんな風に使用する




FALはヨーロッパだけでなく中南米やアフリカ、東南アジア諸国でも広く使用された
これはパラトルーパータイプを使用するアルゼンチン軍兵士
フォークランド紛争ではセミオートオンリーモデルのL1A1を使用する英国軍と
FALを使用するアルゼンチン軍のFAL同士の戦闘になった




これは今から25年前のGUN誌のブラジル軍取材リポートの記事
ブラジル軍もこの当時はFALを制式採用していた




FALといえば30年ほど昔に海外のドキュメンタリー番組で象牙密猟を
取り締まるコンゴかどこかのレンジャーが使っていたのが印象に残っていた
その密猟ハンターもFALを使っていてアフリカ象の耳の後ろあたりを
至近距離で撃つとすぐに巨体が膝をついて倒れていくのが衝撃的だった
30口径ってあんなに威力があるんだ…というのも驚き…
そしてアフリカではFALはAKと並んで絶対的地位を確立していた



チェ 28歳の革命

個人的に割と好きなスティーブン・ソダーバーグ監督の作品でキューバ革命を指導したエルネスト・チェ・ゲバラの半生記を描いた映画。

ゲバラ自身はキューバ人ではなくアルゼンチンの裕福な医者の家系出身だった。

メキシコに潜伏する革命家のフィデル・カストロとキューバに密航して革命を引き起こす計画を相談するシーンから始まる。

小さな漁船に82人の革命家を載せて密航するが、キューバ革命達成を見ることができたのはこのうち16名だけというナレーションが続く。

「無茶と思うか?」
「どうかしてる」
「どうかしてないとこんなことはできない」
「それはいえる」

こんな淡々とした会話からキューバ革命は始まる。

革命という華々しい言葉とは裏腹に、実際の革命の日々はジャングルをひたすら歩き、負傷兵を運び、手当てをしてまた歩いて政府軍の捜索から逃れる…という苦しみの連続だった。

やがて東部地区の政府軍の兵舎襲撃作戦に成功して形勢が変わり始める…のだが食料も弾薬も不足し、その分配で起こる兵士の不平不満をなだめ、交代で一晩中歩哨に立つ…その間脱走兵が革命軍を騙り農民から略奪ををするのを取り締まる…裏切り者を処刑する…およそ華々しさとは無縁な地味な戦いが続く。

最後のハバナ入城の時だけ一瞬革命のきらめきがやってくる…が今度は解放の喜びに規律が緩む革命軍兵士を叱るゲバラ…というなんとも現実的なリアルな映画。

ゲバラ自身の著作の「革命日誌」を読めばわかるけど、とてもじゃないけど革命は心踊るロマンあふれる事業ではないのかもしれない。





キューバに渡りカストロとともに革命軍を指導するゲバラ(左・ベニチオ・デルトロ)
右の初期メンバーのラミロが木製ストック付きのFN/FALを使っている




革命軍はFALの他にトミーガン(ドラムマガジンのM1921とM1A1)ガーランド、M1・M2カービン
M1903スプリングフィールド、ウインチェスターM70など種々雑多なテッポをごちゃ混ぜに使っている
BARなんかも見えるシーンがある…もういかにも寄せ集めの民兵の武器という感じだ




ハバナ入城まで生き残ったラミロのFAL
撮影に使用されているのはドイツ向けバージョンベースの民間モデルGシリーズのようだ




FALを携行する東カリブ諸国機構軍の兵士
この時代の報道写真の雰囲気は世界中こんな感じで使っているのは大抵AKかFALだった


2023年6月7日
















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