PTS(KSC)のMASADAガスブローバックのメカ〜リアルでメカも良くできているし動きもいい…すこし動きは渋いが…
MASADA…
ってなんだろう…と思うような変わった名前だよね。
正田さんじゃないよ…日本人とは何の関係もない名前でした。
ググってみれば自動小銃のMASADAよりもイスラエルのMASADA砦のエピソードや写真の方がはるかにたくさん出て来る。
世界遺産だしね。
聖書にも登場するユダヤ王国はユダヤ戦争の終末、最後の砦マサダでユダヤ人が集団自決することで滅亡する。
それから1000年以上祖国を持たない民族となるが、イスラエル建国後このマサダがユダヤ民族の自立のシンボルの地になった。
アメリカ人のアラモ砦、日本人の硫黄島みたいなものかな…そういう例えは叱られるのかな…
自動小銃のMASADAはマグプル社が海兵隊員にデザインさせたちょっと変り種の銃だった。
マグプル社は文字どおりマガジンのグリップアタッチメントで人気を博したアクセサリー製造・販売の会社だが銃器の設計に関しては全く経験も実績もないサードパーティだった。
マグプルは新しい銃を開発するにあたって割と徹底したポリシーを貫いた。
とにかく新機軸は一切用いない、すべて過去の実績がある枯れた技術だけを集めて失敗のない構成にした。
ただしそのデザインに関しては実際に銃を使う人たちの意見を取り入れて、何が必要か何が必要でないかを徹底的に検討・取捨選択した。
要するに過去に成功した銃のいいとこ取りをして開発した銃だ。
枯れた技術…つまり成功した過去の製品のいいところを組み合わせて失敗のない、とにかく使い易いということだけをテーマにデザインされたMASADA。
実際に手に取ってみたらなるほど…と思わされるような工夫がいろいろある。
(上)WE-TechのSCAR-LにMASADA風ハンドガードをつけたもどきと(下)PTSのMASADA
前々からMASADA・ACRが気になっていたのでSCARをMASADAっぽくする
ドレスアップをやっていたがやっぱりMASADAの方が好きかもしれない
ただ外観を似せておけばMASADAをいじっていても「また新しいてっぽうを買ったの?」
とヨメに詰められることもないのでそのための偽装という側面はある
ということで今年はもうやらないと言っていた軍拡をやってしまいました…
(上)Magpul社のMASADA実銃と(下)PTS(KSC)のMASADAガスブローバックエアソフトガン
PTSは結構前からMagpulのロゴマークをつけて電動MASADAを
販売していたがスタイルがリアルでないとの評判だった
PTSとKSCの関係は不明だがKSCが超リアル版のガスMASADAを出したところ
PTSからもほぼ同じ内容のMASADAガスガンが登場…以前の電動とは別物だった
比べてみれば外観で特に不満な点はないというぐらいリアル
(上)EOTechを装着したMagpul社MASADA実銃と(下)同じくEOTech付きのPTS(KSC)のMASADAガスガン
PTSは製造元が台湾のKWAになっている…この辺の関係性がよくわからないが
金型設計がKSC、製造がKWA、KWAにOEMさせたのがPTSというような関係らしい
細かくみていくと上の実銃に対して1)カートリフレクターの形状2)チャージングハンドルの位置
3)ガスバイパスブロックの形状など違いはあるがMagpulの試作段階でいくつかの形状変化があったようだ
MASADAのディテール
長めのハンドガードに14.5インチと思われるアウターバレルのスタンダードモデル
M-Lock対応のハンドガードがMASADAの特徴
レシーバーには製造元台湾のKWAの刻印とPTSのマーク
エジェクションポートにはMULTI-CALの刻印
昔あったMagpulのロゴはライセンス契約が切れたのかなくなっている
トリガーの上にあるボタンがマガジンキャッチ、前にあるのがボルトリリース
トリガー真上にはセーフティ兼セレクター、これらが左右対称にレイアウトされた完全なアンビ設計
こういう操作系の統一感がユーザー目線のデザインということか
MASADAは5.56mm、AK47用の7.62mm×39
6.8mmなどの銃弾にモジュール交換することで対応できる
SCARのように30口径のNATO弾には対応していないようだ
マガジンキャッチなどの操作系はM4、SCARから持ってきた手堅い設計
セミフルセレクターはかなり動きが硬く親指一本では操作は難しいかも
またハンマーがコックされていない時に無理にフルオートに入れると
破損の心配もありそう…細かいトリガーメカについては次回詳細
EPAマガジンには「模擬訓練専用」という刻印がある
MASADA導入にあたってPTSで安全訓練などをしてくれということかな
ストックはSCARのデザインをかなり参考にしていて畳めばこのコンパクトさ
さらに折りたたみ角度はオフセットされているので推奨はしないかもしれないけど
いざという時はストックを畳んだままでも射撃ができるように設計されている
ここらもSCAR譲りかな
Magpulデザインの初期型MASADAはフロントサイトは
オリジナルの可倒式サイトで付属調整具でサイトの上下が調整できる
のちにMASADAの製造権を獲得したRemingtonとBushmasterはそれぞれACRで
この可倒式サイトを廃止してリアサイトと同じ後付けアタッチメント式に変えた
汎用性のためなのかこのフロントサイトの破損があったからなのかは不明
でも破損しそうなひ弱な構造ではある
リアサイトはレバーを押し下げでフロントサイトはサイドボタンを押し込んでフリップアップ
リアサイトは倒せば収納状態に戻るしフロントは
サイトを倒してボタンを反対から押し込めば固定できる
ストックボタンを押し込んで右にたたむのはSCARと同じ
その中にクリーニングキットの収納コンパートメントがある
この通り防水になっているのでウエスが水浸しで使い物にならないなんてこともない
ガスガンには意味がないがこういうところもちゃんと再現されている
折りたたんだストックを固定する方法はSCARはレシーバーのフックに
引っ掛ける方式だがMASADAはヒンジにテンションがかかるように工夫されている
収納用コンパートメントはグリップにもあってそれも再現されている
これも防水になっているがそのおかげでかさばる工具は入れることができない
分解手順はまずハンドガードの取り外しから
カートリッジかポンチでハンドガードピンを押し出す
ここだけ工具が要るがあとは工具無しで通常分解ができる
ハンドガードは前に簡単に抜ける
バレル根元のレバーを起こしてレバー固定ボタンを押し込みながら
反時計回りに60度ほど回すとバレルユニットが前に抜ける
バレルとチェンバー、ガスオペレーションシステムが一体で本体から取り出せる
バレル交換が簡単にできる構造は他ではAUGぐらいでこれは画期的
ガスシリンダーからガスピストンとガスオペレーティングロッドを取り出す
このオペレーティングロッドが以降分解工具の代わりになる
オペレーティングロッドでアッパーレシーバーピンを押し出す
アッパーレシーバーが上に開いて中折れ状態になる
ここらの操作感はM16・M4系と同じ
開いたアッパーレシーバーからボルトユニットが取り出せる
レシーバーヒンジのピンを押し出すとアッパーレシーバーが外せる
アッパーレシーバーをとりはずしたところ
ロアレシーバーピンを左から押し出す
ストックユニットがロアレシーバーから取り外しができる
SCARとは逆でストックを上に押し出す感じになるがこの構造はSCARをかなり参考にしている
こうして野戦分解状態までばらしたMASADA
この分解した時の形状はかなり実銃と近いのがガスガンにこだわる理由
通常の手入れはここまでの分解で十分でエアソフトガンとしても
バレルの掃除やトリガーユニットの注油がこれでできるのでやはり十分だと思う
この分解の手軽さはM4系やSCARよりもさらに簡単でこういうところが
実戦経験者の意見が生かされたということだと思われる
KSCの構造をそのまま採用したPTSのMASADAのおおまかな分解の手順は以上だが、PTSのMASADAにこだわったのはこの先のメカの再現度がWE-Techとは全然違うというのが要因だった。
メカの設計はKSCなので同じガスブローバックでもWEはサバゲ用にデフォルメされているのに対して、PTS/KSCはモデルガン的なメカの再現度になっている。
その分、実際に撃ち合い遊びに使うにはWEの方が信頼できるかもしれずKSCは弾づまりやそれが原因のノズル変形などの持病があるという情報も聞いている。
私はモデルガン的な興味でメカを知りたいという好奇心からテッポいじりをしているのでKSCの方が好みだが、そこは何に使いたいかでWEのACRの方が良いという人もいるだろう。
そのモデルガン的に再現されたメカの詳細については次回。
2023年10月9日
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