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PTS(KSC)のMASADAガスブローバックのメカ
〜モデルガン的なメカのディテールをさらに細かくみていく

MASADA

PTS(KSC)のMASADAガスブローバックのメカ〜モデルガン的なメカのディテールをさらに細かくみていく

ここ最近SCARの外観模様替えをして遊んでいたが、そのお手本となるのがMASADAでSCARの魚臭いスタイルをいかにMASADAっぽくスマートにするのがテーマだった。

そのお手本になるMASADAを手に入れてしまった。

SCARをMASADAっぽく外装替えするんなら最初からMASADA手に入れた方が手っ取り早いというツイートを最近見かけて、それはそうなんだけど手に入るMASADAはWEばっかりだしWEはもういいかなぁ…とか思っていたところPTS(KSC)のMASADAが思いもよらず手に入ってしまった。

今年はもう軍拡しないとか言っていたのは誰だ?


前回はフィールドストリッピングまでの分解手順を書いたが、さらにメカを細かくみていく。

PTSはKSCのMASADAがベースになっているとのことだが、知っている範囲ではメカは良くできていると思った。

部品展開図を見るとSCARやM16系と比べると部品点数がかなり多いように感じる。

ところがバラしてみて多いように見える部品点数だが、実際はむき出しの通しピンやネジを使わずに部品同士をパズルのように組み合わせて脱落防止している工夫があちこちにみられてそういう組み合わせを整理すると意外にシンプルなメカだと思った。

ネジや脱落する可能性があるピンをできるだけ使わないというのは、故障を予防する上で重要なことなのでそういう意味でも工夫されていると感じた。

トリガーユニットはボックスの中にまとめられているが、ハンマーやシアなどの主要部品が焼結金属で作られているなど強度にも配慮されている。

ただ全体的に動作が硬いのと破損の原因になりそうな部分もあるので、その注意点も





ロアレシーバーを外した時に上から見たトリガーメカ
一番の特徴はWEのガスガンのようにレシーバーの中に
サブフレームがあってその中にトリガーメカがユニット化されている点
WEは機種間の部品の共通化でコストダウンをねらってのことだが
MASADAは実銃もこういう設計になっておりやはり整備のしやすさや
故障をしない堅牢なメカの実現のためにこうしていると思われる




ハンマーはフローティングになっていて慣性でバブルノッカーを叩いてこの角度に止まる




ボルトの後退でハンマーがコックされる
その時に奧のバブルノッカーロックが上がったままになっている
ボルトが戻る時にバルブノッカーロックが押し下げられてバブルが戻る
このメカのおかげでKSCのMASADAは強いリコイルが得られる
手前の突起はフルオートシアリンクでフルオートポジションの時はボルトが
この突起を蹴ってフルオートシアが外れ連続的にハンマーが落ちて発射サイクルが続く




ハンマーが落ちるとバルブノッカーを叩いてバルブノッカーロックが
上がってノッカーはバルブを押したままの状態になる
次にボルトが閉鎖する時にバルブノッカーロックを押し下げてノッカーは後退する
その間バルブは解放されているので十分なガスエネルギーが得られる
この部分だけがガスガンの独自メカであとはボルトキャッチなどの
レイアウトもかなり実銃の形状に近い




フルオートシアリンクは載せてあるだけで
固定されていないので上に簡単に取り出せる




サンド色のセレクターロックプレートをドライバーなどで手前に引き上げて固定すると
セレクターがセミオートポジションからほぼ180度まで図の方向に回せる
メカボックスの中に精密ドライバーを差し込んでこの状態で中側からセレクターレバーを
こじり出すことで分解ができるがフルオートシアが引っかかるので動かしながらこじる
無理に押し出すと破損の原因になるので注意…ネジや通しピンを使わず
部品の組み合わせで部品を固定するパズルのような部品構成になっている




左側セレクターレバーを引き抜くと右側セレクターレバーも反対側からポンチで叩き出せる
両方抜けるとトリガーユニットボックスが上にひきぬける
この時にセレクターロックプレートスプリングが紛失しやすいので注意
PTSのMASADAはセミフルの切り替えが硬いがいろいろな部品が噛み合っているのもその原因
特にフルオートに切り替える時はハンマーをコックしてからの方がいい
ハンマーダウンで無理にフルオートに入れているとセレクターあたりが破損しそうな構造だ




この通りメカはユニット化されているので故障の時は
ボックスごと交換というような修理方法も可能
ハンマーの後ろにあるのがフルオートシアでフルオートポジションの時は
これがハンマーの頭を掴んで止めボルトが戻ると
フルオートシアリンクがこのシアを前に引き倒しハンマーを解放する




トリガープレートとシアは一体化部品でその上にディスコネクターが載っており
セミオートポジションの時はディスコネクターがハンマーを止めて連射になるのを防いでいる
トリガーを離すとディスコネクターがハズレてトリガープレートがハンマーを止める仕組み
この辺のメカはM16・M4系のトリガーメカをそのまま継承している




部品展開図を見るとSCARやM4と比べて部品点数が多いように見える
しかし上記のユニット化、パズルのような部品の組み合わせで
ほとんどネジや打ち込みピンを使わず部品を固定しているのが分解するとわかる
素人の海兵隊員が数ヶ月で設計したというようなエピソードを聞いたが
とてもそうは思えないような実に手慣れた設計だと感じた




PTS(KSC)はガスオペレーティングメカも忠実に再現してくれているのも感心した
ガスバイパスにはピストンが入っておりそこから伸びるロッドは
ちゃんとボルトキャリアを叩きそうな長さまで届いている
このロッドがボルトキャリアを叩くことでロック解除と排莢動作が始まる




ガスガンのピストンの部分、実銃ではボルト本体に当たる部分には
ロッキングラグというギザギザが再現されている
チェンバー側にはそのギザギザにかみ合うように
ロッキングリセスと呼ばれるくぼみの表現がある




このギザギザはこの通りぴったり噛み合う
実銃ではさらにこれが15度ほど回転してラグの奧のくぼみに噛み合ってがっちり動かなくなる
ガスガンはロックしたら壊れるのでそこまでは再現されていないが
ガスガンには全く無用な機能なのにここまで再現しているのがなかなかくすぐる




実銃ではバレルの上のガスバイパスに流れ込んだおよそ10万psiの
圧力の発射ガスがピストンを猛烈なスピードで後方に押し下げ
ピストンにつながったロッドがボルトキャリアを叩き
後方に下がるボルトキャリアがカムでボルトを回転させてロックが外れ排莢が始まる
いわゆるスタンダードな玉突き式ショートストロークピストン方式の構造
これもエアガンには無意味なメカだがちゃんと再現してくれているのがいい
日本のメーカーもこういうところを見習ってほし…ゴニョゴニョ




コッキングレバーがつながっているコッキングピースにボルトフォワードアシストフックがついている
レバーを前に押すとフックがボルトキャリアをつかんでボルトを前に引っ張る
閉鎖不良の時のボルトフォワードアシストが再現されていてこれはエアガンでも機能するが
BB弾が詰まった時にこれを使って無理に閉鎖するとノズルが壊れることがあるそうなので
エアガンは無理に閉鎖してはいけない…つまりこれもエアガンには必要がないリアルな機能




このボルトフォワードアシストフックは前進時に
バレルに押されてボルトとの連結が切れる
このためMASADAはボルトが発射時に後退しても
コッキングレバーが前後にガチャガチャ動かない
SCARの数少ない欠点はコッキングレバーがガチャガチャ動いて
ハンドガードをつかんだ左手の親指に激突する問題
エアガンでは装填不良になるし実銃の場合は親指が骨折する
SCARのレバーの位置はそういう場所にあるのでなかなか問題だが
MASADAはガチャガチャ動かないのが他人のふり見た改良点




そのコッキングレバーは真上のレールの穴の中に見えるノブを
カートリッジかドライバーで後ろに押すと簡単に抜ける
左がデフォルトらしいが右に付け替えることができるし
下向きに曲がったレバーを上向き屈曲に付け替えることもできる
こういうところが元海兵隊員のユーザー目線の設計ということか




ついでにこういうものを購入
ダミーフラッシュサプレッサーなんだけど海外の銃規制法準拠のオモチャである表示用
これを銃口につけることでこのライフルはオモチャですよということを他者に知らせる




銃口につけて見るとこんな感じ
意外に色目が地味なみかん色だったので蛍光オレンジのスプレーを吹いた




アメリカなどでは実銃のライフルを所持している人が普通にいるので
こういうリアルなトイガンは銃口をオレンジなどの目立つ色に
塗ることが義務付けられている地域もある
日本の金属拳銃のモデルガンが金色でないといけない規制と
同じで向こうは長モノの方が厳しいみたいだ
ただ日本でもゲームなどで持ち出す時はこういうものを着けておくと安心かもしれない




KSCのマガジンと互換性があるとのことなので手に入れたが黒しかなかった
そこでインディーのダークアースをスプレーした
見分けがつかないぐらい近い色になった




どっちがモールド色でどっちがスプレー塗装か見分けがつくかな
とりあえずマガジンは2本確保した




MASADAのストックは縮めるとSCARよりかなり短い
ストックを折りたたむとこのコンパクトさ




これは実銃のMASADAのレシーバーをピボットして中折れした様子
トリガーメカボックスがPTSと同じくサブフレームになっているがわかる




この写真で注目したのがこのストックの内側
どうやらモールド色は白っぽい色でダークアースはスプレー塗装らしい
なんだ実銃も塗装なんじゃない!




「ジャッカルのライフル」と一緒に入手したハリバートンのジュラルミンケースに入るか試してみた
光学サイトとマガジンは入りきらなかったがそれ以外はきっちり小さなアタッシュケースに入った
これはオモシロい!…アサシンライフルにもなるぞ…MASADA!




(上)実銃のMagpul社MASADAと(下)PTSのMASADAガスブローバック
見た目もメカもとても良くできているので実銃が
どういう考え方で設計されているかも察することができた
こういうのが私にとっては「よくできてるトイガン」かな
もちろん異論は受け入れるが…


2023年10月10日
















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