Previous Topへ Next

コクサイのS&W5906、MGCのM645〜固定スライドのガスガンでメカ的には
もう骨董に近いんだけど見た目はすごく出来がいい

Smith & Wesson Master Piece

コクサイのS&W5906、MGCのM645〜固定スライドのガスガンでメカ的にはもう骨董に近いんだけど見た目はすごく出来がいい

S&Wのハンドガンが昔から好きで、経営的には傾きだしたセカンドジェネレーションからサードジェネレーションのオート時代が好きだった。

リボルバーで官公庁の需要をかなり独占していたS&Wだが、米軍の次期制式拳銃トライアルにチャレンジして失敗したM59以降自動拳銃の開発はずっと低迷していたのだが、それでもアメリカのユーザはS&Wのオートも支持する人が多いようでフィルモグラフィーなんかを調べていたら
「そうだ、あの人もS&W持っていたよね」
というのがたくさん出てきた。

以前、MGCのM59モデルガンやマルシンのM39モデルガン、WAのショーティ40(おそらくM4005ベースパフォーマンスセンターカスタム)、マルイのM&P9なんかを取り上げたことがあるけど、本当はセカンドジェネレーション、サードジェネレーションのステンレスモデルが好き。

ちょっと前にはKSCのM945も触れた。

GUN誌のターク高野氏のM659のレポートなんかを舐めるようにして読んでいたのでずっとM659のようなステンレスSmith & Wessonに恋い焦がれていた。

ちゃんとショートリコイルメカも再現したM659あたりは今でもあれば欲しいところだが、そういうものはない。

ずっとマルシンのM39とMGCのM59をニコイチしてでっち上げようかと考えていたところ、ちょっと出物を二つ手にいれた。

コクサイのM5906とMGCのM645、いずれもステンレスメッキモデルの固定スライドガスガン。

固定スライドガスというのが古色蒼然としているが、見たところスタイリングや仕上げはとてもリアルで、コンディションも悪くなかったので手に入れた。





いずれも固定スライドガスガンのコクサイ M5906とMGC M645
二挺手に入れたと書いたがM645は傷多目のジャンクと
動かないジャンクをニコイチしているので正確には三挺軍拡している




コクサイのM5906固定スライドガスガン
ガスガンといってものちのスライドがブローバックするモダンなモデルではなく
ショートリコイルロッキングも再現されていないし、アフターシュート(変な英語)ですらない…
引き金引いたら玉が出るだけという銀玉鉄砲の延長線上のようなガスガン…




…なんだけどこのコクサイのガスガンは動きこそリアルではないものの
プロポーションや表面仕上げは最上級でさすがステンレスメッキの
リボルバーで名を馳せたコクサイといった出来栄え
今さら固定のガスガンガ欲しくなったのはこの見てくれのおかげ




6番台のモデル名のオートのM5906は実銃はステンレスモデルといいながら
レシーバーはアルミ合金でスライドのみがステンレス素材
コクサイはステンレスメッキのトーンをレシーバーとスライドで変えて
この素材の違いによる質感の違いを表現する芸の細かさ




サードジェネレーションのマズルはすり鉢状のクラウンに変わったがそれを再現したのは多分コクサイが初めて
白っぽいマットな銀色のレシーバーと写り込みがあるグレアな銀色のスライドの違いがわかるかな




この製品って80年代の末か90年代の初め頃のまだ刻印問題で業界が荒れる前の製品
なので刻印はSmith & Wesson MADE IN USAとなっていて後の興ざめな刻印と違いリアル
ただトレードマークだけは遠慮があったのかS&WではなくK&Sになっているのがご愛嬌




さすがに古い製品なので表面にはうっすら酸化したようなくすみがあったが
慎重に磨いてほぼ新品コンディションに近いピカピカに仕上げた




S&Wの刻印ってMADE BY KOKUSAIになっていたりMADE IN JSAになっていたり
いろいろ難しい問題はあるんだろうけどこういう目立つところの刻印はリアルにして欲しい
このモデルの刻印はコクサイ製品にしては珍しく刻印の深さも文章もリアルなのがいい




固定スライドガスガンなんだけどダブルアクションだけでなくシングルアクションも
可能でしかもセーフティはハンマーデコッキングも可能なリアルアクション




そしてハンマーの打撃面にはダミーのファイアリングピンが
見えていてセーフティと一緒に回転するリアルさ
固定ガスガンなんて言わば銀玉鉄砲の延長線上の
おもちゃなんだけどモデルガンメーカーが作るとこんなにリアルになる




グリップのマークは「Smith & Wesson」と打っちゃったんだから
マークも「S&W」にして欲しかったところだがここらに
ギリギリの線引きがあったんだろうなと想像する




エジェクションポートとエキストラクターの雰囲気
エキストラクターはモールドなんだけど彫りが深いから別部品のように見えるのはさすが
ASGKマークがガスガンを見分ける唯一のポイント




トリガーはM59譲りのセミワイドでアクションは軽い
ガスの燃費も悪くなさそうだから命中精度以外はサバゲーでの実用性は高いかもしれない
トリガーガードの内側のパーティングラインをちゃんと処理しているのは当時としては新しかった




このコクサイのモデルの面白いところがこれ
固定ガスガンといいながらスライドは引くことができる
スライドを引くと初弾を装填できてハンマーもコックされる
リアルなんだけどセーフティでハンマーをデコックして
もう一度引き金を引いたら2発給弾になるのがこの方式の弱点
そういう操作をしなければいいだけだが…




マガジンはプレス製の外観で中にBBマガジンとガスタンクが入っている
タンクが小ぶりなので今時のガスブローバックのマガジンよりもはるかに軽い
ただし装着した本体の総重量はなかなかずっしりくる重さだ




ほぼ同時期に入手したMGCのM645
先日取り上げたKSCのM945の元になったS&Wの45口径メインストリームライン
外観は完全にS&Wのダブルアクションオートなんだけど
鼻が突き出している様は なんとなく45口径のガバを思わせる
その雰囲気がガバのメカに寄せた945開発のきっかけだったりするのかも




エジェクションポートやエキストラクターは固定スライドなのでダミーなんだけど
別部品にしたりで見た目ライブに見えるのはさすがモデルガンメーカー




マガジンはステンレスプレスのケース内にBB弾とガスタンクのチューブが入っているだけ




(左)MGC M645と(右)コクサイ M5905のマガジン比較
コクサイはインパクトバルブがなくてガスの開閉弁があるだけのシンプルな構造
インパクトバルブはフレーム本体内にありマガジンは挿している間開放状態のまま
だからシンプルな構造にできたがマガジンを抜くときに派手にガス漏れするのはちょっと気になる




MGCの製品は分解方が独特なものが多かった
このM645もスライドキャッチを抜くとスライドを前に引く方式
5mmほど前に押し出したらスライドが上に抜けるがダミーアウターバレルが
インナーに引っかかるのでアウターバレルを押し込みながらこの作業をすると分解しやすい




手に入れた二挺は一つはハンマーが落ちてもBB弾が飛ばないし一つはセーフティがかからない
外観は傷だらけだったのでニコイチでいいとこ取りで完動品の一挺をでっち上げた
外観もほぼ新品コンディションになった




動かなかった方はこのセーフティロッキング ピースのバネが弱っていたので
バラしてバネを逆方向にねじってテンションを強くしたら動くようになった
ただこのバネの組み込みはかなり面倒で分解は推奨しない




MGCのM645はフロントサイトのレッドインレイが最初からちゃんとドブテール型(台形)になっている
コクサイなど他社メーカーはここが型抜きの都合から平行四辺形になっていたりで
なかなかのがっかりポイントなんだがさすがMGCでこういうところは心得ている
ただオークションに出ているMGCはかなりメッキが傷んでいる個体が多く
この個体はもう最上クラスの保存状態と言える




コクサイにしてもこのMGCにしてもスライドキャッチのプランジャーはダミーなんだけど
ちゃんと割りピンで固定するようになっていてエアガンの機能から見れば無駄にリアル
内臓を移植すればモデルガン化ができるんじゃないか…という妄想を抱かせるでき




そしてMGCも刻印がリアル
「メードインUSA、商標登録、Smith & Wesson、
マサチューセッツ・スプリングフィールド」

となっていて実銃と同じ




このアンビセーフティの固定が緩んでいたので締め直したが固定ネジはスライドの中のイモネジ
この六角スクリューはダミーなんだけど測ってみたらちゃんとインチネジになっていて
MGCのリアリズムに対するこだわりに驚かされた…でもリアルだけどこれを回しても動かない




(左)MGC M645と(右)コクサイ M5906固定スライドガスガン




(上)KSCのM945と(下)MGCのM645
エアソフトガンとしてはふた世代ぐらい違うが見た目のリアルさでは引けを取らない
KSCのマニュアルにはM945はM645の系譜でM4506を経てパフォーマンスセンターで
この形に改良されたと書いてあったのでおじいちゃんと孫ぐらいの関係の両銃




こうして並べてみると同じ45ACPカートリッジを使うためか大きさもほぼ似通っている
固定スライドガスガンって軽くてスカスカしているイメージを持っていたが
今回の二挺は両方ともなかなかずっしりした重量感だった




(上)MGCのM59モデルガン(中)WAのショーティ40ガスガン(下)コクサイのM5906
ご先祖と並べてみたがやはりデザインのイメージというのは引き継いでいる




1980年代の米軍制式拳銃トライアルにチャレンジ失敗した当時のM59(上)と
製品型番が混乱し始めてセールスも低迷し身売りする時代のS&WラストマスターピースのM5906
いろいろやらかしているS&Wだがこのデザインが結構好き




(上)東京マルイ M&P9(下)コクサイM5906
グロックの洗礼を受ける前と後のデザインの変化




(左)コクサイのM5906(右)東京マルイのM&P9ガスガン
挽回を狙ってグロックの丸コピーのシグマを販売してグロックから知財裁判を起こされ
莫大な和解金を支払って海外資本に身売りする羽目になったがグロックの知財権が時効になり
シグマを焼き直したM&P9が意外なセールスになってホッと一息ついた…というのが今のS&W
悪の軍産複合体のシンボルとしてリベラルから目の敵にされるS&Wだが
実際には青息吐息の経営難というのがその実態なのはすでに倒産したコルトと合わせて皮肉


2024年2月5日
















Previous Topへ Next





site statistics