なるほど「空想的コンサルタント像」ね
最近はてブに「コストカット屋の世迷いごとに相変わらず振り回されるバカ企業」という記事が捕捉されて、ここにアクセスが集中しているのだが、これについて初めて反論らしい反論がでてきて、これがなかなか「なるほど」と思わせる内容なのでそれについて書いてみたくなった。
それは「コンサルタントを見たことがありますか?『空想のコンサルタント像』」という記事で、要するに元記事で私が批判している「経営戦略コンサルタント」なんていうのはもはや「絶滅危惧種」らしく、コンサルというのはそういう仕事をしているわけでもなく、専門の問題解決を生業としているのがコンサルタントなのだが、大部分の実際にコンサルを見たことがない人達は(含む私?)空想的なコンサル像で、空想的な批判をしているという趣旨だ。
そういえば私の友達には「コンサルタント」という人はいないし、「私がコンサルだ」なんて人を捕まえて直接議論をしたことがあるかと問われると、私もそういうことをしたことがない。
会社では「お前も幹部なのだから自覚を持って仕事に取り組まなくてはいけない」なんていわれるけど、実際には重要事項の決定に関与した覚えもなく、重要事項は常に事後説明事後承諾なので、私自身はコンサルと直接接するような経営者でも経営幹部でもない。
そういう自覚を持ったこともない。
私は常にそういうコンサルに洗脳されて素っ頓狂なことを言いはじめる幹部を通じてしかコンサルの言い分を知らないし、コンサルの素っ頓狂なリポートを読んだことがあるだけだから、これらは全て空想的なコンサル像だといわれればそうかもしれない。
あのテキストで私は本当はコンサルよりも、コンサルにすがって素っ頓狂なことを言いはじめる幹部の方を批判したかったのかもしれない。
しかしそれは置いておく。
じゃ、実像のコンサルはどんな人達なのだろうかとよく考えてみる。
例えば最近接した人で思い当たるのは、東大特任准教授でアステラス製薬などの社外取締役を歴任しておられる江端貴子さん、カーライルグループ日本代表の安達保さん、小泉構造改革のブレーンで早稲田大学教授の川本裕子さんとかこういう人達はマッキンゼーの出身者だった。
産業再生機構の冨山和彦前COOはボスコン出身だったかな。
確かにこれらの人々は傾聴に値する深い洞察と該博な知識を持っておられて、こういう人達が「コンサルテーション」をやってくれるならいろいろ聞いてみたいことはたくさんある。
ただしこういう人達は「コピー機のコストを抑えれば会社の資金循環がうまくいくでしょう」なんて近視眼的なコンサルテーションは多分やらないだろうなと思う。
「そういう慧眼を持った人達も知らないで、インチキ臭いコンサルというイメージだけで批判をスルな」という批判の論旨はもっともだと思う。けど、それじゃ「インチキ臭いコンサルは絶滅危惧種」かというと、それも言い過ぎじゃないかなという気がする。
『「経営戦略の意志決定だけコンサルティングしている」というコンサルタントは見たことがない。』
『コンサルタントの最大の仕事は『問題・課題の解決』なのだ。』
という一節はなるほど、と思ったのだがその『問題・課題の解決』にデタラメな技能を発揮してくれるコンサルが多いから現場は困っているんじゃないだろうか。
これもどこで読んだのか忘れたのでリンクできないのだけど、コンサルに引っ掻き回されてシステムやメソード全て見直し、現場の意見を無視して新制度を導入して1年ほどでこの新システム、新メソードがほぼ使い物にならないということが判明した頃には、震源地の言出し兵衛はもう現場にはいないというような記事も見かけた。
勿論コンサルがこんな連中ばかりでないことは理解しているつもりだ。上記に挙げた人達がコンサルタント時代には、どんなアプローチをしていたかは是非見てみたかったなと思う。
しかし「コストカット屋」みたいなどうしようもないコンサルも、この世には厳然として存在して、そういう連中の耳に心地よい言葉ばかりを聞いて、現場からのヒアリングを怠る経営幹部も厳然として存在するという事実には変わりはないような気がする。
「そんな安物のコンサルとばかりつきあってないで、一流の人とつきあいなよ」
という批判は私ではなく、安物大好きなウチの会社の幹部にしていただければと思う。
2007年8月17日
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