Macの出荷が6%減少して、Appleのラインナップが問題とか書いているITジャーナリズムはいつになったらその経験則コチコチの頭を切り替えられるんだろう
[WSJ] Mac売り上げ、3年ぶりに減少 - ITmedia News
なんだそうだ。
「Appleの米国小売りチャネルを通じたコンピュータ販売台数が、1月に前年同月比で6%減少した」
ということを報じている。
その原因をITmediaは
「Hewlett-Packardで、金額ベースのシェアが前年同月の39.2%から40.1%に増加した」
という事例を引き合いにだして、
「『規模と強み、あらゆる水準における競合他社との価格競争力を生かせる企業は、調子がよい傾向にある』とベイカー氏は語る」
と専門家の話の引用で締めくくる。
この手のITジャーナリズムっていつもいうことだが、本当に浮世離れしている。
たった6%のダウンならむしろ好調と取るべきではないか?
自動車産業を中心に全業種のメーカーは25〜30%という非常に厳しい数字を突きつけられている。
一種の装置産業である自動車メーカーをはじめ、こういうメーカーがマイナス25%の売り上げということは、ほぼ利益が消えるということだと、業界を取材してきた記者の方に聞いた。
だから今はトヨタやホンダをはじめ主要なメーカーが赤字修正の決算を発表して、ソニーのストリンガー会長兼CEOは
「深刻な状態だと考えている」
と会見でコメントする事態に立ち至っているということではないか。
そのなかで1月の6%の減収というのは、
「この経済状況にしてはよくその程度で収まっている」
というのが客観的な評価じゃないのか。
売り上げが落ちた原因(を思わせるような書き方)として
「アナリストはAppleのデスクトップPC事業の不調の原因として、1年あまりの間、ラインアップの大幅な刷新がないことを挙げている」
というアナリストコメント伝聞情報も追記しているが、デスクトップが売れていないのはAppleに限った話ではない。
というよりも昨年の「ネットブック」のヒットをもうそろそろ誰か真面目に総括してもいい頃じゃないかと思うのだが、ここからひとつの未来予測ができるんじゃないかという気がする。
未来予測なんて大層な話ではない。
もうなんとなく皆感覚的にはそう思い始めていると思うが、あと数年のうちにデスクトップ機というのはほぼ絶滅して機器開発の現場とか、画像編集とか、音楽スタジオ、MAスタジオ、動画編集、DTPなど専門職の現場だけに残り、それ以外の一般的な事務機、個人ユースのPCはすべてラップトップになってしまうのではないか。
昨年のネットブックの売れ行きは
「もう64ビットのような意味不明な高スペックは一般用途には必要ない」
というユーザの意思表示の現れだったのではないかということだ。
デスクトップ機の販売不調は単にそのことの予兆に過ぎないということで、新モデルが出るとかでないとかそんなことは関係ない気がする。
これこそ経験則だけでものを考える短絡思考だ。
これはAppleだけの問題ではない。
Windowsも同じことだ。
好評「Windows 7」が阻む「Vista」企業導入--MSはアップグレードスキップに警告-スペシャルレポート - page2 - CNET Japan
ということで、企業はWindows7になったら一斉に買い替えをするという、またぞろ楽観論が湧き出ている。
企業ユーザが求めているのは、ちゃんとLANにつながってメールが読めてMSOfficeの読み書きができればそれで良いというパソコンだ。
極端な話OSはWindows2000でも充分だ。
それは極端にしてもWindowsXPで何ら不便を感じていない。
むしろOffice2007のIMEのオバカさ加減に手を焼いて
「昔のWindowsはもうちょっとかしこかったのになぁ」
とぼやいているくらいだ。
「多くのIT部門が、Vistaへの移行には現在でも意味があるということについて、Microsoftから何らかの後押しを期待しているのだ」
ということだが、その後押しになる決定的な事実は得られないだろう。
だからネットブックのヒットという方向になるのだと思われる。
当サイトはウワサは取り上げないので、Appleからネットブックが発表される可能性があるという話には詳しく言及しないが、方向性としてはさもありなんという感じはする。
その先にあるのはこういうことか、
カンブリア紀以降の世界の鎮静
10年後のPCなど個人用情報機器の世界なんてのを軽く予想してみた
また違う話なのかは私はよくわからないし、このことを相変わらず熱心に考えてみる情熱がわかない。
2009年2月23日
|
|