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Appleのりんごマークは何故齧られているか?〜Mac、ジョブズ黒Tシャツの由来など〜
初めてのことだけど改めてりんごマークを愛でてみる<追記あり>

Why Apple was bitten

Appleのりんごマークは何故齧られているか?〜Mac、ジョブズ黒Tシャツの由来など〜初めてのことだけど改めてりんごマークを愛でてみる<追記あり>

世間のMacユーザは自分のMacに名前をつけて名前で呼んだり(「今日のゲイリーは機嫌が悪い」とかいうコアなMacユーザは最近希少になったが…)、MacBook Proのりんごアイコンマークに虹色シールを貼ってみたりとかするらしい。

またMac系ブログを運営する人は一度は必ずAppleの由来、ジョブズ礼賛とかのエントリを上げるみたいだ。


私はそのどれもしない。

Macはマックと呼ぶし、MacBook Proはマックブックプロと呼ぶ。
デスクトップのカスタマイズはいろいろやるが、シールを貼るとかの外観のカスタマイズは全くしない。
最近流石にMacBook Proの足が取れてしまったので、ホームセンターで買ってきたストッパーを足がわりにして取り付けた。
外観のカスタマイズといえばこれぐらいか…こういうのはカスタマイズとは言わず「修理」というのかもしれないが…
詳細こちら。
MacBook Proの足が破損した〜おみ足を自分で修理してみた〜純正品を諦めたわけと意外にハマった代用品が具合がいい<追記あり>


でも最近他に目的があって調べ物をしている時に、「Appleのりんごは何故齧られているのか」という理由を知って面白いなと思ったので、Appleのロゴについて取り上げたくなった。
弊サイト開闢以来12年目で初めての快挙だ(なのか?そうなのか?)


最初の疑問「なぜAppleのりんごは齧られているのか?」

これについては世間では
「りんごは知恵の木の実の象徴でそれをかじるのがApple製品を使うというシンボルなのだ」
とか、
「データサイズを表す単位のbyte(バイト)とbite(噛み付く)をかけているのだ」
とか、
「最初期のころのりんごマークに『apple computer』というロゴがかかっていたのを創設者の一人スティーブ・ウォズニアックが齧られたりんごと勘違いしたのが起こり」
という説がもっともらしく語られている。
知恵袋とか教えてのたぐいのサイトの回答はこういうものばかりだ。





最初期のころのAppleのロゴでこのりんごの右に『apple computer』というロゴがかかっているものがある
これが齧られたりんごに見えたウォズニアックの勘違いが齧ったりんごのマークの起こりという説がある


結論から言うとこれらの説は全て都市伝説・ウソ・デマ・後付けの理屈ということになる。


Appleのりんごマークのデザインの由来についてApple社からは公式のステートメントはないそうだが、このデザインを描いたロブ・ヤノフさんからは公式のコメントがあった。
詳細はこちら
Worlds Best Logo Designer

英語のサイトなので該当部分を抄訳すると

At the time of his initial meeting with Steve Jobs in early 1977, Apple Computer was still very much in its infancy, having been incorporated for less than a year. Apple’s offices were in a local strip mall, and consisted of just the three partners – Steve Jobs, Steve Wozniak and Mike Markkula.

1977年初旬の最初の会議の当時、アップルコンピューター社は法人化1年未満のまだ創設まもない企業だった。
オフィスも郊外の道端にあり3人の創業者、ジョブズ、ウォズニアック、マーキラのみがいた。


The entire design process only took two weeks from initial meeting to final design presentation.

(Appleのロゴの)デザインは最初の会議から最終のプレゼンまで2週間で仕上げられた。


The original Apple logo was designed with a bite in it for scale. Imagine… without the bite, it could have looked like a cherry. Rob was interested in making it instantly identifiable as an apple. And what’s the first thing you want to do with a juicy, red apple? Take a bite, of course! The bite has come to have many different symbolic meanings for many different people.

オリジナルのAppleのロゴは齧られた状態で大小作成された…考えてみてほしいが齧られていないものはさくらんぼのように見えてしまう。誰もが最初に見た瞬間に「りんごだ」と認識できるデザインにしたかった。果汁たっぷりの真っ赤なりんごを見たら最初に何をしたい?もちろん齧ることでしょ。
この齧ったあとはのちに他の人々には別の象徴的な意味になっていったようだ。


The reason for the rainbow stripes was three-fold:
– to humanize and make the products more user-friendly
– to emphasize Apple II’s unique ability to show images in color
– Steve Jobs’ desire to make these computers more attractive to school children

(Appleのりんごが)虹色の3つの理由
1)製品を親しみやすく、人間的なイメージにしたかった
2)Apple IIの画期的な可能性を色で表現したかった
3)スティーブ・ジョブズが学校の子供達に人気が出そうなデザインを望んだ





Logo Designerのサイトより〜ヤノフ氏がAppleのロゴデザインを手がけた当時
一番左のりんごの木の下で読書するニュートンのロゴが使われていた
これを子供達にも親しみやすいデザインにしたいという意図から
りんごのデザインが発案されたが最初から齧られたりんごとしてデザインされた
ジョブズの意向により6色りんごとして出発したりんごロゴは時代を経て単色になったり
透き通ったりの変遷を遂げたが形は最初のヤノフのものがそのまま継承されている




今現在使用されているものはこのグレーのものだと思う
やはり形はヤノフデザインの齧られたりんごがそのまま継承されている




ヤノフは齧られたりんごの形をデザインしたがこれを6色のりんごにしたのはジョブズの意向だったらしい
その3つの理由は上記のように人間的で親しみやすい、いろいろなことができるApple IIの可能性の象徴
子供達にも人気が出る…という意味らしい
これが単色になったのは1998年、ジョブズのCEO復帰は1997年でそれまでは経営に全く関与せずだったから
ロゴデザインを6色から単色に変えさせたのがジョブズ本人なのかどうかは不明
ジョブズ復帰前にすでに単色デザインは使用されていたという記述もどこかで読んだが根拠がはっきりしない
ジョブズの方法論はベースのコンセプトは全く変えないが見た目はどんどん変えていく…というスタイルだから
変えさせたのはやりジョブズ本人なのかもしれない…これについて何か知っている人いたら情報をくだしいw


りんごが何故齧られていたか、何故6色だったのかという理由は上記の通りらしい。
6色りんごロゴが採用された当時のアップルコンピューターの主力商品はApple IIというコンパクトコンピューターだったから、このりんごのマークは企業アイデンティティというよりは商品イメージロゴそのものだった。
だからいろいろなことができるApple IIというイメージで6色にしたのだろうし、虹の7色とかのシンボルを使わなかったのがまたAppleらしい。
(単純化というのも創業以来のAppleのコンセプトの一つだったと思う。おそらく虹っぽく見える色数の最小単位は6色というような決め方をされたと想像している。このことはテレビカラー化時代のシンボルだったNBCなどのカラーロゴが6色を採用しているのに通じる)


りんごマークは主力商品のApple IIのシンボルでもあったから、モデルは一般的なりんごだ。
ヤノフさんもジューシーな真っ赤なりんごをイメージして…とコメントしている。

この色が単色になった理由は…不明だが単色ロゴが登場したのが1998年。
ジョブズが暫定CEOに復帰した1997年から19998年にかけてはアップルコンピューターの経営状態はどん底で、Coplandの開発失敗、互換機ビジネスのジリ貧、Windows95発売以来急降下する商品シェア・売上…という時代だったのですべてを変えたいという意味があったのかもしれない。
このあたりの詳細はここに書いた。
『アップル』は当時を知る人達にちゃんと取材してまとめられた久しぶりに読んだ良書だった
賢者は歴史から学ぶ?

ジョブズがCEOに復帰した時の最初の仕事は気力を失った役員を全員解雇することと、「定時に出社しない、終業前に帰ってしまう社員は解雇する」というルールを徹底することだったというから、当時の社内に蔓延していた退廃的空気は絶望的なレベルだったようだ。

だからジョブズ体制になったAppleは、あらゆる意味でこれまでの慣習を踏襲するということを拒否した。
その中には経営的に大失敗の要因になったものもいくつかあったから、無邪気なジョブズ無謬論をここで支持するつもりはない。
でもとにかく変えられるものは何もかも変えないと、同じことやっていると明日にでも倒産するかもしれない…というのが98年頃のAppleの状態だったからその変えられるものの中にはロゴデザインのイメージも含まれていたかもしれない。

この時代に黒単色になったりんごデザインはその後、赤くなったり青くなったりOS Xのアクアインターフェイスのデザインと統一して透き通った水色のデザインになったり、モダンUIのデザイン変更でメタリックになったりと色合い・質感は時代に合わせてどんどん変化している。

最新のAppleのロゴはまたグレー単色になっている。

MacやiPhoneのUIが影のないフラットデザインに移行している。
それに合わせてのイメージ変更なのかもしれない。


Macというコンピュータの名前の由来とシンボルの関係についても少々

MacというのはもちろんMacintoshというコンピュータの商品名を縮めた愛称だ。
ただし最近ではApple自身もMacintoshという商品名をほぼ全く使わない。
Macのユーザマニュアルにも「Mac」と書いてある。

Macintoshという名前も変えて消したかった古いイメージの一つだったのかもしれない。

そのMacintoshなのだがマッキントッシュというりんごの品種の名前が由来なのは有名な話だ。
りんごの品種の場合はMcIntoshと綴るのが正しい。
この品種名は発見者のスコットランド系カナダ人農夫のジョン・マッキントッシュさんの名前からきている。
(参考:McIntosh (apple)-Wikipedia





英文Wikipediaより〜マッキントッシュ品種の1901年のスケッチ
北海道を中心に旭という品種名で日本でも栽培される赤みの強いりんご
これがMacの名前の由来でもある


このマッキントッシュが日本に来て旭という品種名になるが、これはアメリカのオーディオメーカーのマッキントッシュ・ラボの社名、商品名でも同一名称が使用されている。
オーディオのマッキントッシュは管球アンプのファンには忘れられない憧れの名前なのだが、今はそのことは関係ない。

本当はMcIntoshと綴るマッキントッシュだが、AppleがMacintoshと綴るのはマッキントッシュ・ラボの商標権の兼ね合いらしい。


Appleのシンボルマークのりんごがマッキントッシュという品種のりんごだと勘違いした解説もどこかで読んだが、Appleが齧ったりんごのマークを採用したのが創業1年目の1977年、Macintoshの発売が1984年だからこのロゴとMacには特に関係はない。

上述のようにAppleは企業再生後はこのMacintoshという商品名を極力使わないという方針らしい。
廃止したわけではないのは時々サポート情報などにMacintoshの名称が使われているのでわかるが、とにかくAppleは主力コンピューターの名前がMacintoshだったという記憶を消し去ろうとしているようだ。
それどころかMavericksから使用されるOSの名前から
「Mac OS」
という名称が消えてただのOS Xになってしまった。

最終的にはMacという名称も消去して、iOSデバイスとの統合を目論んでいるように思える。


ジョブズの黒Tシャツの由来になったというイッセイミヤケデザインのソニーの制服とは…

ジョブズは若い頃はヒッピーみたいな服装をしたり、アップルコンピューター創業後は似合わないジャケットに蝶ネクタイ姿で仕事している写真が多く残っている。
しかしAppleに復帰後のスティーブ・ジョブズはほぼ黒のTシャツに洗いざらしのGパンという姿で人前に現れている。

このジョブズの黒Tシャツについてはジョブズの個人の制服だとか、イッセイミヤケデザインで同じものを何十着も持っているとか、リスペクトする日本のソニーの社内制服に感激して導入したという逸話が伝えられている。
ここらはりんごマークの間違った定説と違ってほぼ事実らしい。

ジョブズが感激したという三宅一生デザインの制服は、赤のラインで縁取りされたやや赤みのある作業服。
今のソニーの作業服は一般的な工場で採用されている明るいグリーンがかかったベージュカラーの工場服だが、今でも古株の社員の中にはこの作業服を着ている人がいる。





まねきねこ商事さんブログより〜ジョブズが感激したというイッセイミヤケデザインのソニーの作業服
もとの写真はやや青みが強すぎて少し色味が変だったので赤みを強調して実際の色合いに近づけた
ジャケットとベストにセパレートできるデザインで作業服っぽくないのが
ジョブズには「かっこよく」見えたのかもしれない


この作業服のどこにジョブズが惹かれたのかは不明だけど、デザイナーブランドにもかかわらず動きやすくポケットも多く社員の評判は良いとか、日本のメーカーの一般的なペイルグリーンのナッパ服と違ってユニークなデザインとかそういう見た目が気に入ったのかもしれない。

ジョブズの憧れのプロダクトの一つがウォークマンだったから、ウォークマンを生み出したソニーへのリスペクトから何かソニー由来のものを学びたいということもあったのかもしれない。
(ソニーから学べることは制服しかなかった?)
社員が同じ格好をすることで会社への求心性、一致団結の精神を育てたいとジョブズが言ったという話はジョブズっぽくない気はするが、自分はスタンドプレーをするがスタッフのスタンドプレーをひどく嫌うというジョブズらしいとも言えるかもしれない。

そして結局Apple幹部の猛反対にあってApple社制服の採用は見送らざるを得なくなったが、それでも諦めきれずソニーの制服を手がけた三宅一生氏に依頼してあの黒Tシャツをデザインしてもらったというのは有名な話。

今のAppleStoreのスタッフの黒Tシャツはなんとなくそこらが由来になっているだろうから、その思いの半分くらいは実現したのかもしれない。

<追記>

ヤノフのりんごデザインについて「黄金比で構成された…」とかいう記事もどこかで見かけたが、これも後付けの理屈だと思う。
手書きのりんごの図をそのまま企業ロゴにするわけがなく円を補助線にこのカーブを構成するのは大抵の工業デザイナーなら誰でもやることだし、黄金比かどうかということをいうなら1998年当時のりんごマークと今のりんごマークでは若干プロポーションが変わっている理由が説明できない。
黄金比というのは酵素が健康にいいとかの宗教の話ではなく、数学的に厳密に比率が決まっているのでそれだとプロポーションが変化した理由が説明できない。
一種の都市伝説だと思う。

OSの名称からMacの文字が消えたのはOS10.8 Mountain Lionからでした。
ツッコミが入る前に訂正してお詫びしときます(✿^ლ^)



2015年6月21日















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