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FusionDriveを解除する…ファイルサーバーとして使用しているMacBook Proの転送速度が異常に遅い・転送に失敗する件
この1ヶ月ほどMacのページもテッポのページも更新が止まっていたのは、このほぼひと月ほど旧MacBook Proの転送が異常に遅い、転送に失敗してネットワークが切れるという問題で悪戦苦闘していたからだ。
前々からこういう症状がちょくちょく起きていたが、だんだん頻度が上がってきているので原因の切り分けをしていたがいろいろ謎な振る舞いをしていたので時間がかかっていた。
その過程では無線LANルータのハード障害説、無線LAN搬送波干渉説、MacBook Proキャッシュ破損説などいろいろ仮説を立てて切り分けをしていたが全部過程を書くと長文になってしまうので結論だけ。
件の旧MacBook Proは以前のこちらの記事のごとく256GBのSSDと2TBの内蔵HDDでFusionDriveを組んでいる。
老兵MacBook Pro近代化改修計画発動〜SSD+HDDをFusion Drive化する手順は意外に簡単だった〜そのメリットとデメリット〜実際の速度アップ実測値(後半)
この論理ボリュームを組んでいるサムスンのSSDがかなり劣化して読み書きの速度が異常に落ちていることが判明した。
時々転送速度が回復するのが謎だったのだが、このSSDの空きメモリ領域の解放がしばらく稼働していないと回復するが大容量ファイルを転送するとすぐに解放メモリが枯渇して転送速度がゼロに近くなるというのが原因だった。
SSDには寿命があり使い続ければいつか必ず死ぬということは使い始めた当時から知っていたが、FusionDriveを組んでもう直ぐ12年というタイミングで死んだらしい。
まあよく保ったとも言えるし、1日で死ぬと思えば10年回り続けてもなんともないミズモノのHDDと比べると、SSDは一定量の読み書きをすると必ず死ぬという違いがあるようだ。
この旧MacBook Proは現在はもうファイルサーバーとしてしか使っていないので、FusionDriveで高速化する意味はあまりないのでFusionDriveを解消することにした。
ところがここからが試行錯誤の連続だった…
GB単位の大容量ファイルを現用MacBook Proから旧MacBook Proサーバーに転送すると
一瞬7〜8Mbps程度の転送で始まるが数十秒でKbpsレベルまで転送速度が落ちてしまい
様子を見ているとネットワークが切れて何かがクラッシュしているような症状が頻発していた
受け側のMacBook Proのネットワークを監視していても何も異常が見つからない
特に負荷になっているようなものも見つからない
この間いろいろ切り分けをしていたのだが途中は省いて結論だけ
この旧MacBook Proファイルサーバーの読み書き速度をBlackmagic Disk Speed Test で
確認したところもはや死に体といえるぐらい読み書きの速度が落ちていた
こちらが12年前FusionDriveを組んだ当時の読み書きの速度
もう比べるべくもない
このセットよりも古いHDDのみの構成のMac miniの転送速度が
全く落ちていないので原因はSSDの機能低下と断定
Disk Sensei で確認したところ例のmacOSのSANDBox問題でTrimもオフになっていた
これをオンにしてマニュアルでTrimを実施した
ほぼ4昼夜かかってマニュアルTrimは成功
Trimは成功してEverything looks superのはずだが結果これは全く効果なし
つまりSSDは一度この状態になってしまったら何をしても生き返らないということだ
12年前FusionDriveを組んだ当時はこのMacBook Proは現用機だったが
もう今は完全にファイルサーバーとして据え置きになっているので
OSの起動が速いとかのFusionDriveの機能は必要ないと感じたので
FusionDriveを解除してSSDとHDDを切り離すことにした
外付けHDDから起動してTerminal にdiskutil list と打ってディスクの構成を確認
このApple_CoreStrageと表示されているドライブがFusionDriveの構成ディスク
この通りキャラクターコマンドはスペルや大文字小文字を
間違えるだけでも動かないの注意(オマエがな〜
FusionDriveは最近ここでよく取り上げているJBODと同じで
複数のボリュームを連結して論理ドライブを構成する
ただし単純にボリュームをつなげるだけのJBODと違ってFusionDriveは
SSDに置くファイルを動的に選別して読み出しを高速化するテクノロジー
そうはいっても構成・解除のやり方はJBODやRAIDと同じで各ドライブの
UniqueIDを削除することで連結解除して分離できる
UUIDを確認するコマンドはdiskutil cs list
このコマンドでLogical Volume Groupと
Logicl Volume Family、Logical VolumeのIDがツリー表示される
必要なのがこれで他にPhysical VolumeなどのUUIDも表示されるので要注意
まずツリー下層のLogical VolumeのUUIDを削除する
diskutil cs deleteVolume (LogicalVolumeのUUID) を実行
これは一つずつ実行していかないと一気に削除はできない
成功するとこのようにFinished CoreStrage operationの表示が出る
最後にFusionDriveの論理ドライブの親UUIDを削除する
コマンドはdiskutil cs delete (Logical Volume GroupのUUID)
成功するとerasing disk0s2みたいな表示とプログレスが%で表示される
反応しない場合はdiskutil cs delete でLogical Volume FamilyのUUIDも削除する
いろんなところに手順やコマンドが書いてあるがその通りやってもうまくいかない情報もある
私のところではこの手順で成功した
ディスクユーティリティ を起動するとFusionDriveが解除されて
名称未設定のボリュームが表れているのが確認できる
さてこうして論理ドライブを解除されたSSDとHDDがマウントできたので、これをフォーマットしてOSをインストール・Time Machine から前の環境を復元するのだがここで一つ問題が起きた。
OSはもうディスク配布が終了したEl Capitanだったので、過去にダウンロードしたインストーラーからインストールメディアを作っていた。
その手順はこちらを参照。
Yosemiteインストールメディアを作ってMac miniもアップデート〜にしたらVPNサーバが自動起動できなくなった〜打つ手なし・゚・(つД`)・゚・
FusionDriveを解除分割した旧MacBook ProにEl Capitannをインストールしようとしたところ
「このインストーラはダウンロード時に破損したと思われます」
というエラーを出してインストールに失敗した。
AppStoreからEl Capitanのインストーラをダウンロードしてきてインストールにチャレンジしたが、やはり同じエラーが出るので仕方がなくYosemiteをインストールしてTime Machine から復元をしようとしたら
「El Capitan環境で作成されたTime MachineバックアップはこのOSでは使用できません」
という警告で復元に失敗した。
さあ、詰んでしまった…
前の環境を再現するためにはなんとしてもEl Capitanをインストールしないといけない。
しかし何度ダウンロードしても「インストーラが破損」の警告は変わらない。
ここで調べたところこういう情報を見つけた。
どの記事を見ても(主観)OS X El Capitanをインストールできなかった話
El Capitanのインストールに失敗したのでYosemiteで
MacBook Proを起動してとりあえず書き込み速度が改善したのは確認したが
今度はTime Machine からの復元が不可能になってしまった
実はEl Capitanのインストーラは破損していたわけではなく
Appleがライセンスを停止してしまったらしい
詳細はこちら に記事があるが要は2016年の2月14日
をもって旧OSのライセンスを止めてしまったらしい
もう一度内蔵ボリュームを初期化して
外付けHDDから起動してネット接続をオフにする
こちらの記事 に従ってTerminal にdate 0101000016 と打つが
「お前にはこれを実行する権限がない」 と怒られる
そこでsudoをつけてroot権限で実行した結果
時計を2016年の2月以前に戻すことができた
時計を戻すことができたらEl Capitanの
インストールにもあっさり成功した
そしてTime Machine からの復元にも成功した
大容量の動画ファイルなどは回避しても4時間半かかるが
ネットワーク設定やパスワードの設定など細々した設定を
いちからやり直さなくて済むのはやはりありがたい
別にEl CapitanにこだわりはないがTime Machine のバックアップが
使えないのは大問題なのでこういうところに落とし穴があるのは冷や汗もの
El Capitanのサーバ環境は復元も成功していよいよ
ファイルサーバーとしての復元と転送テスト実施
Blackmagic Disk Speed Test でストレージの読み書き速度の計測
もちろんFusionDrive導入時の速度と比べたら4分の1程度の遅さだが
SSD死亡時のFusionDriveに比べたら一桁速い
ファイルサーバとしてバックグラウンドで
動いてくれれば十分なのでこの速度でも満足
ちなみにこれは最近メイン機として使っているMacBook Proのテスト結果
手元で操作する個体はこれぐらいのスピードが欲しいが
FusionDriveはHDD時代からSSD時代に移行する
過渡的な技術なのでやがて消える運命なのかも
大容量ファイルの転送テストも実施したが速度も
安定しているし止まったり落ちたりもなくなった
ディスクコンタクトランプもついたり消えたりではなく
ずっと点灯したままに変わった
SSDとHDDを連結するFusionDriveの概要が面白かったので、自前でコマンドを使ってこれを組んだみたができるかどうかを試してみたかっただけで実はSSDをそれほど信用していない。
HDDは速度は遅いが価格も安定しているし、なによりも安定している個体は本当に10年以上回しっぱなしにしても問題なく動作する。
それに比べてSSDはたとえTrimをかけていても一定以上のサイズ・量のファイルを読み書きし続ければ必ず死ぬ。
Trimはそれを先延ばしにできるかどうかというだけの技術で、永遠に死なないSSDを作り出せるわけではない。
そういうSSDとHDDを組み合わせたらお互いのメリットの高速の読み書きと、安価に大容量が実現できるのがFusionDriveの面白さだったのだが、デメリットはやはり障害発生時の対処が複雑になることだろう。
サーバー用途なんて障害を起こさないようにするんじゃなくて、障害上等、故障したら簡単にモジュール差し替えで修理できる・障害いつでも来い!という運用でないとダメだと思う。
(実際世の中には「サーバーなんだから永久に再起動しなくていい」「サーバーなんだから故障しないはずだ」という類の幻想持っている人が本当に多い)
それを思えばFusionDriveはやってみて面白くはあったけど、この旧MacBook Proがサーバーになった時点でこれは解除しておくべきだった。
まあ、うまくいったから別にいいけどやってる間は結構ヒヤヒヤだったし、通信障害を疑い出した頃から数えればほぼ1ヶ月これに手を取られていたんだからやっぱり余計な複雑系は排除するべきだと思い知った。
2025年11月12日
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FusionDriveを解除したSSDは撤去…スペース開けとくのも悔しいので同容量のSSDをマウントした…
およそ一カ月のすったもんだの末、ファイル転送が異常に遅い原因がファイルサーバーとして使っている旧MacBook Proに組んだFusionDriveのSSDの劣化だった…と切り分けた話が前回。
前回CoreStorageコマンドでFusionDriveのボリューム統合を解除したところまでの話は書いた。
解除して普通のハードディスクのノートパソコンになったので、転送速度は激速ではないがまあまあの速度に回復した。
それでまぁ、解決と言えば解決なんだけどせっかく光学ドライブを撤去してSSD用のスペースを作って内臓ボリュームが二つマウントできるようにカスタマイズしていたのでもったいないので新しいSSDを入れで空きスペースを埋めることにした。
使い道は考えてない…せっかくのSSDシャーシだからちゃんと動くSSDを入れておきたい…というだけのことだけど。
前回はサムスンのSSDだったが今回はSanDiskのSSDにチャレンジしてみた。
SanDiskの250GBのSSDが4000円ほどで出ていたので、まあそれぐらいだったらいいか…という感じであまり考えもなしに購入。
FusionDriveを解除しただけで一応使えるようになったのだがせっかくSSDを
マウントできるようにしたのでジャンクのSSDを撤去することにした
代わりに入れるのがSanDiskのSSD
USBメモリではお馴染みのブランドだがそのSSDを初めてトライしてみた
SSDをマウントしているのはDVDドライブの跡地に設置したマウンタシャーシ
これの分解手順はこちらのページに書いた
老兵MacBook Pro近代化改修計画発動〜まずはSSD導入〜 Fusion Drive化計画を実行〜おおむね結果は良好だが痛恨のミスも…(前半)
今回も万一のショックを考えて先にバッテリーケーブルを外しておく
今回はSSDを交換するだけなんだけど結局前回と同じレベルの分解が必要だった
HDDドライブケーブル、光学ドライブケーブル、カメラケーブル、スピーカーケーブルを外す
前回はスピーカーケーブルソケットを破損するという
痛恨のミスをしたが今回は問題を起こさず分解できた
すげえ埃…マウンターの下側はなかなか掃除する機会が
ないがこういうところにも埃は入り込む
シャーシをキレイに掃除したらSanDiskのSSDをマウントする
せっかく三枚刃の特殊ドライバーもスタンバイしたのに
マウンタースクリューは普通のプラスネジだった…前にもこんなグチを書いた気がする
戻す前にバッテリーから起動して動作を確認する
SSDは問題なく認識したのでDisk Utility でフォーマットする
そして内蔵ストレージとして問題なく認識した
前回破損したスピーカーケーブルも問題なく接続して
スピーカーが使えることも確認した
無線LAN経由で転送テストを実施してみた
(上)HDDに転送した場合(下)SSDに転送した場合のスループット
9.5Mbpsに対して12.7Mbpsと微妙な差だが転送速度は改善している
これ以上の速度改善は無線LANルータを交換するしかないかも…
Disk Sensei を起動してSSDの情報を確認
SanDiskは何もしないでも最初からTrimの設定が入っていた
今時はこんな感じなのかな
今回はFusionDriveやJBODのようなボリューム統合はしないで
読み書きの速さを利用してファイル転送の受け皿にするぐらいかな…
2025年11月22日