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映画・ドラマに登場するプロップガン小ネタ集
〜あのシーンに出てきた銃について気になることなど諸々まとめて…

Guns on movie and TV show

映画・ドラマに登場するプロップガン小ネタ集〜あのシーンに出てきた銃について気になることなど諸々まとめて…

映画やドラマのあのシーンで使われていた銃はなんだったけな…あの銃の選択は意味があるのかな…あれは考証的に正しいのかな…とかいろいろ気になるテッポの使われたをしている作品がある。

単発で取り上げるほどではないがちょっと気になる話を小ネタ集としてまとめれば面白いのかも。

前々から溜まっていた小ネタを一気に放出してみる。


日本のドラマや映画で銃が出てくるというと刑事ものか戦争もので、そうなると銃器の選択肢も非常に限られていて面白くない。

かといって日本の警察官がベレッタのM92とかグロックとか持ってたりというドラマを見ると
「ちょっと自由すぎますよ」
と思ってしまう。
公安だろうが何警察だろうが、内閣調査室だろうがそういう銃を日本の公務員が持っているなんてリアリティーがない。

それはそうなのだが、犯罪ミステリーなんてジャンルは、あまりリアリティを気にしなくていいから選択が自由なのかもしれない。

古畑任三郎

犯罪ミステリーが銃器の選択が自由でリアリティーにこだわらなくていい…というのはもともとミステリーって謎解きを楽しむもので、こういうことが現実にあり得るかなんてことを気にして見るもんじゃないからだろう。

ミステリーに登場する銃は密室の鍵や、DNA鑑定をくらます一卵性双生児と同じようなもので、なぜそこにそう都合よく密室があるのか、なぜ都合よく一卵性双生児がいるのかなんてことを考えるものじゃない。

それと同じようになぜそこにその銃がある?なんてのもどうでもいいのかもしれない。
ミステリーにおける銃はただの記号なのか。
そう、数式のXやYの記号と同じようなものだ。

数式のXはなぜXなのかが問題なのではなく、関数のなかにXがあるから解くというだけのこと。

そう、私は中学一年の時に初めて代数、関数式などを習った時に
「なぜそれをYやXと置き換えるのか?
YとかXという文字を選ぶことにどんな意味があるのか?
なぜそこはaなのか?」
とそこばっかり気になって肝心の関数問題の解き方がさっぱり頭に入ってこなかった人です。





三谷幸喜脚本の「古畑任三郎」シリーズは犯人当てをする従来のミステリーとは真逆の縛りがある
毎回必ず最初に真犯人が殺人をする場面から始まりそのトリックにどういう意味があるのか
そのトリックを主人公の古畑(田村正和)警部補がどう破っていくのかが謎解きの中心
Xの値が最初から分かっておりそこからYの値の求め方を解くようなドラマ
普通日本の犯罪者はコルトやS&Wなどの銃は使わないのだが
ミステリーにおける銃はただの「殺人の記号」なのでリアリティは二の次
ところでこれはハンマー、トリガーがメッキがかかっているのでおそらくCMCのチーフ




こちらの津川雅彦が持っているのはメッキモデルのような光り方なのでおそらくコクサイのチーフ




上の沢村藤十郎の出演回は発砲シーンがあったからプロップ化しやすいCMCを使ったが
この津川雅彦の回は発砲シーンがなかったので見てくれ重視でコクサイの
メッキモデルのチーフスペシャルを使ったのかもしれない




参考資料:先日磨き上げたコクサイのチーフスペシャルのメッキ塗装の銀磨き仕上げ




松嶋菜々子出演回はコルトジュニア25オートを使用していた
これもコクサイのメッキモデルのモデルガンだった




そういえば草刈正雄出演回もコルト25オートを使用していた
この回は発砲シーンがあったがやはりコクサイのモデルガン
よく見るとスライド後部のブリーチに隙間があって
電気発火方式に改造してあるのかもしれない
見事に小型拳銃ばかり使うのは小道具担当の
フジアールさんの傾向なのか脚本家の要請なのか…




菅原文太出演回はMGCのコルトローマンを使用していた
MGCのコルトローマンはここでも以前書いたが刑事ドラマ、ヤクザ映画の
プロップとして日本では広く使用されたので古い作品では目にすることが多かった
菅原文太にローマンを構えさせて「俺は若い頃からこれ一筋よ」というセリフを当てるセンスは渋い




願わくば旧型ローマンだったらもっと渋かっただろう
こちらは参考資料のコクサイのニューローマン


ところで25オートで頭を撃っても人は即死なんかしない…なんていうツッコミは犯罪ミステリーに関しては野暮なこだわりというものだ。




PSYCHO-PASS サイコパス第1期

打って変わってこちらは未来の刑事物。

21世紀の中盤頃の未来、膨大な情報量を蓄積し人々の犯罪傾向を予想して実際に犯罪を起こす前に予防拘束、予防「執行」を行うシビュラシステムによって社会は支配されている。

この時代は人もデバイスも完全に無線ネットワーク化され、シビュラシステムと常にオンライン化されている「ドミネーター」と呼ばれる銃によって犯罪傾向を判定される。
ドミネーターは犯罪傾向が高いと判断されるとパラライザー、更生の見込みがないものはエリミネーターモードに、さらに執行者に対して脅威判定があがるとリーサルモードに変形して逮捕拘束から殺害、完全排除(!)にいたるまで執行する驚くべき兵器。

主人公の常守朱は公安刑事課の管理官として配属されるが、この実際に犯罪を起こす前に犯罪者として断罪されるシステムに疑問を持ち始める。





この時代の警察は犯罪傾向が高いが知能が高い犯罪予備者を「執行官」として捜査にあたらせ
彼らを監視し反抗する「執行官」を抹殺する権限を与えられた「管理官」によって構成されている
使う銃はドミネーターのみで年老いた執行官も「火薬を使う銃なんてもう何年も見かけない」といっていた
なぜかタイトルバックにはM360の未来形のような銃が登場するがこれが第1期の最終話で重要な意味を持つ




重大な陰謀に気がついた「執行官」の一人狡噛慎也は警察から離反して
ドミネーターを捨てこの「火薬を使う銃」を手に単独一連の事件の真犯人を追う
狡噛慎也の使う銃はこのシーンからチーフスペシャルベースの38口径5連発であることがわかる
スタイル的にはM360J SAKURAに似ているがサムピースが
スタームルガーのリボルバーのような形をしているユニークな銃




チーフスペシャルのシリンダーは5連発なのでカートリッジの配置が5角形
5連発のリボルバーは実はチーフスペシャルの系統のみ(最近は500口径で存在するが)
珍しいレイアウトなので遠目でもわかる



許されざる者

現代劇だと銃器の選択肢は狭いが、未来、あるいは逆に過去なら日本でもバラエティーがある。

明治時代、西南戦争が終わった後もまだ世相は騒然としていた頃、北海道の開拓地に入植した一人の男の物語。

開拓地の暮らしは厳しく男(渡辺謙)は昔取った杵柄で、剣を取り賞金稼ぎの誘いに乗り「生きるために人を殺す」という試練の旅に出る。

しかし開拓地の娼館の女郎達がかけた懸賞金を目当てに集まってくる賞金稼ぎは、町を守る巡視(佐藤浩市)によってことごとく排除されていた。





賞金稼ぎ(國村隼)についてきた物書き(滝藤賢一)は歴戦の巡視に本当の修羅場について聞く
銃で人を撃つときには早撃ちが生き残るのではなく冷静でいられた方が生き残ると聞かされる
ならばこの銃を賞金稼ぎに渡したらどうなるかと突然言いはじめる




この滝藤賢一が持っていた銃が以前ここで「坂本龍馬の銃」として紹介したSmith & Wesson Model No. 2
坂本龍馬の時代には最新式の兵器だったが西南戦争も終わった明治時代なら
もう旧式銃に入るかもしれない
未だに大小の刀を差して歩き回っている賞金稼ぎが守旧的な男であることがこのプロップからわかる




渡辺謙らについてきたアイヌの男(柳楽 優弥)が賞金のかかった男を便所で撃ち殺すシーン
使用しているのはCAWのスコフィールド銃




こちらはマルシン(フランクリンミント)のS&W Model No. 3、通称「ワイアット・アープの銃」




このフランクリンミント企画・マルシン製造のモデル3はとても綺麗な仕上げのクラシック銃
上の銃口側からのアングルでわかるように銃身上のサイトリブに特徴があり
遠目からもモデル3またはその改良型のスコフィールド銃のどちらかというのがわかる




前にも紹介したがこのアープの銃は綺麗なエングレービングが特徴のモデル




モデル2やモデル3など明治10年以降の時代設定にしては旧式な銃を
使っているところに「取り残された人々」というイメージが感じられる
クリント・イーストウッドの映画もそういう意図的な銃器選定だったが
これも意図的なチョイスなら渋い演出だと思う



007 ドクター・ノオ

銃が出てくるもう一つのジャンルはスパイもの。

このジャンルの誰でも思い浮かぶ作品となると007シリーズ。

映画において超人的な能力を持つスマートなスパイというこのジャンルの一つの形を作った作品。

ドクターノオはその第1作でどうも準備が整わないうちに、バタバタと撮影を始めちゃったというエピソードがいろいろ聞こえる。

例えばジェームズ・ボンドのシンボルマークのワルサーPPKだが、実は撮影用のプロップが間に合わずボンドの上司M役の俳優の個人持ちPPKで代用したというエピソードがある。

撮影用プロップに改造していない、個人所有の実銃だからボンドのシンボルマークのPPKといいながらこの映画では発砲シーンがない。





ボンドはこの任務に着くまではベレッタを使用していたらしいが
このベレッタがジャムを起こしてボンドは重傷を負ったという設定になっている
そこでPPKを手渡されて渋るボンドに「PPKを使え、命令だ」と上司が迫る




ところが女スパイとの密会場所に現れた殺し屋を待ち伏せするボンドは
なぜかブローニングM1910にサイレンサーをつけている
使えと強く命じられたPPKでもなくボンドがこだわった
ベレッタでもなくなぜブローニングなのかという説明は一切ない
おそらくサイレンサーを装着できるプロップが他に間に合わなかったからだろう
実は第1作目がヒットする前は007は興行的にあまり期待されていなかったのかもしれない



007/スカイフォール

007ドクターノオはプロップが整合性が取れていないだけでなく、アクションもダルダルで目も覚めるような秘密兵器が登場するわけでもなく映画としてもテンポが悪くなぜあんなにヒットしたのかよくわからない。

おそらくスパイものという、従来の暗いジャンルのイメージを変えたというところが重要なのかも。

スパイものというと「第三の男」のように戦後冷戦時代を背景にした暗く陰惨な話が多かったが、007は英国のスマートで男前(若い頃のショーン・コネリーはそういう位置付けだった)のスパイがおしゃれに世界的陰謀を打ち砕いていくという能天気で楽天的な設定が受けた。

007はファンは多いが第1作目もそうだし映画としてみたらどうなんだろうという作品が多いが、007シリーズの最高傑作ということだとこの作品をあげる人が多い。

確かにこの「スカイフォール」はなるほどと思って観た。





ジェームズ・ボンドはシンボルのPPKを使用している(一説によるとPPK/Sとも)が
スカイフォールのボンドはこのPPKをばかすか発砲する




こちらはスズキのワルサーPPKを仕上げ直したモデルガン




PPKは32口径(7.65mm)弾を7発(PPK/Sなら8発)装填できるが
スカイフォールのようにあんなに弾幕を張りまくるような射撃をするなら
もっとモダンな近代オートに持ち替えればいいのにと思わなくもない
ちょっと前の作品でワルサーP99に替えていたが合理的な選択だと思う
なぜまたPPKに戻ったのか理由は知らないが多分
「ボンドはやっぱりPPKだよね」というファンの声が強かったからだと思う




「実家」に立てこもってテロリスト集団を迎え撃つシーンで
ボンドはサイドバイサイドのショットガンを使用する
このショットガンは実家のお屋敷にあった猟銃の銃身をノコで切断して
コンバット用にソウドオフするというシーンがあったが
打ち合いのシーンではソウドオフショットガンになぜかフロントサイトが付いていたりする
どうもやはり007シリーズは全体的に銃器の考証がいい加減な気がするが
まあミステリーもスパイものも「こまけーこたあどーでもいーんだよ」
という態度で鑑賞するべきなのかもしれない



ボーン・アイデンティティー

スパイものというか、記憶を失った元CIAエージェントの「ボーン」と名乗る男が、なぜか命を狙われるうちになぜ自分が命を狙われているのかそのアイデンティティをだんだん取り戻していくというユニークな「スパイもの」。

この作品でマット・デイモンは「CIAの実戦部隊の格闘技はこういうものなのか」とうならせるようなリアルな格闘シーンを演じた。

銃などなくても室内に普通にある雑誌、トースター、電話など日常の身近にあるもの全てが殺人兵器になる。

格闘も射撃戦もすべてCQC、つまり近接戦闘なのもCIAはそうなのかとうならせる。

圧巻はらせん階段で撃ち合う場面で、下から短機関銃で撃ち上げてくる敵に対して、敵の屍体を盾にして飛び降りながらすれ違いざまにこれを撃ち倒すシーン。

このシーンは確か公開前の予告でも観た気がするが、初めて見たときにあっけにとられた。





銃撃戦のハイライトは隠れ家を襲撃したヒットマンを迎え撃つこのシーン
ヒットマンはSIGの556と思われるアサルトライフルを持っている
CIAのヒットマンはやはりCQC向けにサイトを取り外したカスタムを使用している




それに対してボーンはこの家にあった水平二連の猟銃を持って迎え撃つ
普通に考えたらボーンの方が圧倒的に不利な銃器選択だ




こちらは華山のガスガンにハドソンのストックをつけた三個一のサイドバイサイド
2発撃ったらいちいち銃を中折れして排莢、装填をしないといけない猟銃と
30発フルオートも可能な突撃銃と優劣は明らかなような気がするが
ボーンが勝ってしまっても「それはないよ〜」と思わせないリアリティはある



ジョン・ウィック

さらに近接戦闘とはこういうものかと唸らされたのがこのジョン・ウィックシリーズ。

いろんなところで解説されているが、この映画でキアヌ・リーブスはCARシステムという新しい考え方の射撃スタイルを見せている。

従来はウイーバースタンスにしろアイソセレススタンスにしろ、射撃のときは的に向き合って両腕をしっかり伸ばして銃の反動を受け止めるというのが正しい射撃姿勢だった。

今でも数メートル以上の距離を射撃する場合はこの射撃法が合理的だと思うが、問題は室内戦の場合。

いわゆるCQCというのは射撃距離が1〜2mというような超接近戦を想定している。

階段の踊り場や廊下の突き当たりなど至近距離で出会い頭という場面も想定している。

そういう場合、ウイーバーやアイソセレスのようにお行儀よく腕を伸ばしていると、腕や銃を取られたり跳ね除けられたりして初弾を外すこともありうる。

CARシステムの考え方は、腕を伸ばさずひじを曲げて銃をできるだけ体の近くに引き寄せてサイト射撃ではなく目測射撃をすること、被弾を少しでも避けるために体を横向きにして敵に向ける面積を最小にすることなどが骨子だ。





伝説の「掃除屋」ジョン・ウィックが地下のコンクリート床をぶち抜いて取り出した昔使っていた獲物




H&KのP30のカッツコンカスタムとグロックのG42あたりが見えている
ひじを曲げて射撃するCARシステムだとどうしても反動を
逃がすような射撃姿勢になってしまうので
ガバみたいな昔の神経質な銃は使えない
いきおいグロックやHKのような机に置いて指先で引き金だけ引いても
正常に排莢装填ができるようなタフなオートしか
こういう接近戦には使えないかもしれない
こういう選択が今風のアクションということなんだろうなぁ




ジョン・ウィックをホテルで襲う女殺し屋はワルサーのP99を使用していた
007以外でP99が登場する数少ない映画だ




こちらはマルゼンのワルサーP99ガスガン
P99はこの独特のスライドのカットで見分けがつく
映画には一瞬しか登場しないが好きな銃なのでもうちょっと活躍してほしい


ところで以前、香港映画の銃の水平撃ちが現実味がなくてしかもかっこ悪いと書いたが、なぜかアメリカの元海兵隊員が銃の水平撃ちは最も実戦的な射撃法だと海外のSNSで回答していてどういうことだろうと思っていたが、どうやらこの海兵隊員はこのCARシステムのような実戦射撃のことを言っているらしい。

CARシステムなどひじを曲げる射撃姿勢だったら、銃のサイトは見ないで射撃する。

なんせ射撃距離は3m以内の至近距離を想定しているので、正確にサイティングしなくてもどこかには当たる。

サイトを使わないから銃を垂直に構える必要もないのでひじの角度のまま斜めに構えることになる。

この海兵隊員はどうやらこの斜めの構えのことを「水平撃ち」と言っているようで、香港映画のような銃を完全に水平にして腕を伸ばして撃つ「馬賊撃ち」のことを言っているわけではないようだ。




アトミック・ブロンド

スパイアクションをもう一つ。

これはおそらくベルリンの壁崩壊直前、冷戦期真っ最中の東ベルリンでのスパイ戦を描いたアクション映画。

シャーリーズ・セロンが文字通り体当たりのアクションを見せてくれる映画で、これもハイライトは階段での銃撃戦のシーン。

この階段に逃げ込んでそこで暗殺部隊を撃退して、そこから脱出して車に乗って逃亡するまでのシーンを、なんとワンカメショウの長回しで撮影している。

どうやって撮ったんだろう?

カメラマンも役者と同じようにアクションスター並みの動きをしているので、少なくともステディカムのような大がかりな装置をつけていたらこんな動きはできない。

小型の4Kカメラか何かを体につけて、役者と一緒に階段を駆け上がったり駆け下りたりしたのかもしれない。

それぐらいこのシーンはすごいので一見をお勧めする。





物語は冷戦時代の東西情報戦を舞台にしているので使用する銃器も
1980年代のものが中心なのだがどうにもわからなかったのがこのシーンでセロンが構える銃
大きさはマカロフっぽいんだけどスライドが斜めにカットされていて
こんな銃があったっけ?と皆目機種の見当がつかない銃も珍しい




ちゃんとその後のシーンではマカロフも構えているのでこれではない




そして旧東ドイツ暗殺部隊から奪った銃はCz75
P9でもCz85でもない純正のCz75だ
さすがわかってらっしゃる




この室内戦のシーンでアンブッシュをかけるセロン
室内戦だと壁を撃ち抜かれるからこのシーンでは腕を伸ばして構えているが
腕を伸ばして廊下を突き進むと銃を取られるというシーンもしっかり再現していて
だからCARシステムのような至近戦特有のメソードが必要になるんだよねと
納得させられるのはさすが最近の映画




この映画で使用されているのはCz75のセカンドバージョン




スライド側面の削り込みが少なくなった後期型でベルリンの壁崩壊の
ちょっと前のシュタージの暗殺部隊の使用銃ならこれしかない



新世紀エヴァンゲリオン TV版

目先を変えて時代は少し未来へ、そして今度はアニメ。

シトという謎の生命とも何ともつかない巨大「怪獣」が人類を襲う。

人類はその15年前、2000年に南極大陸で発生したセカンドインパクトにより半数が死滅し、地球は地軸がゆがんで、季節がない一年中夏という状態の新東京市(現在の東京は旧東京市として水没した廃墟になっている)に一人の少年が訪れる…

というようなシーンで始まる一見ありがちなロボット戦記もののようなスタイルのアニメだが、物語が進むにつれてそれは表面のことで、全く違う事実が浮かび…事実が明らかになればなるほど物語は崩壊し始め…悲惨なエンディングに…いろんな意味で…
というような内容のテレビアニメ。





このアニメでミサトさんが使う銃が気になっていた
ミサトさんはネルフ作戦本部の指揮官にして中学生たちがどよめく美人だが
性格は男勝り、生活は大雑把、ピンチになると「えいままよ」という男前な気風
しかし芯は赤木リツコよりも女性的という実に多面的なキャラクターだ




その手にする銃はちゃんと見直してみたらH&KのUSPだった
こちらは参考資料のタナカワークスのH&K P8
ネルフは国連軍も超越する正規軍とのことなので
USPではなくP8なのかもしれない




そのミサトさんの銃のディテールがわかるカット
(上)がミサトの銃とNERFのIDカード
(下)がタナカワークスのH&K P8と悪の秘密結社楽天カード



大脱走

そろそろ軍ものいきます。

中学生の頃軍ものの参考資料として目を皿のようにして観ていた映画がこの「大脱走」。

この映画を観てドイツ軍の軍装とか銃とかの知識を身につけたと言っても過言ではない。

今見るとディテールがちょっと…という部分はあるがKar98ライフルとシュマイザーMP40が半々の歩兵の装備とか、下士官でもホルスターにルガーP08を入れていたりとか、P08ホルスターは予備弾倉のポケットのレイアウトが、P38用とは違うとか細かい知識はこの映画で仕入れたかもしれない。

物語は実話をベースにしており、ドイツ空軍の捕虜収容所からなんと100人以上が脱走した大脱走事件を描いている。

第二次大戦末期、ドイツ本国の捕虜収容所に各地から脱走の常習犯の札付きの捕虜ばかりが集められた。

収容所は鉄壁の警備態勢で脱出は不可能に見えたが、連合軍兵士たちは不屈の闘志で前例のない常識外の脱走計画を練り始める…というようなお話。





ドイツの収容所所長に「アメリカ人はみんな君のように無礼なのかね?」と問われ
「まあ、99パーセントはそうだな」とヌケヌケと答える典型的なアメリカ人のマックイーン
「おまえの服とブーツとバイクをよこせ」とターミネーターばりに
ドイツ軍のオートバイ兵の装備を奪ってしまった




ここでルガーの射撃を見せてくれるのかと思いきや結局撃たずに軍服も脱いでしまう
まあ敵の軍服を着て発砲したらスパイ罪で即刻銃殺刑というのが戦時法だから当然かもしれないが
そういう説明もないので初めて観た当時厨房だった私にはこのシーンの意味がわからなかった
マックイーンがオート拳銃の射撃が下手だから( ゲッタウエイの解説ページ参照)という理由ではないと思う




この映画で使用されたルガーP08を再現したタナカワークスのP08ガスガン
ボーチャードが実用化した世界初の自動拳銃が持ち歩くにはでかすぎたので
実用的なサイズにコンパクト化したのがボーチャードの弟子のゲオルグ・ルガー
メカニズム的にはほぼボーチャードを踏襲したが構造が複雑すぎて実戦的とは言えなかった
しかしプロイセン帝国の誇り高き将軍たちはこの銃を好んで使用した



U・ボート

西ドイツ出身の鬼才監督、ウォルフガング・ペダーセンの出世作の潜水艦戦映画。

潜水艦戦を描いた傑作映画は「眼下の敵」と相場が決まっていたが、このペダーセンの映画はそれよりもはるかにリアルに、そしてちゃんとその場にいたドイツ人たちの心情にまで踏み込んでUボート乗組員たちを描いた。

例えば旧連合軍側のプロパガンダ映画では、ナチスのUボートは敵の船に魚雷を撃ち込んだ後、浮上して脱出した連合軍兵士に機銃掃射をかける非人道的な殺人者集団だという描かれ方をした。

ナチスイコール殺人集団、ドレスデンで民間人の頭上に焼夷弾を落とした連合軍の作戦も致し方なかったというプロパガンダを戦後も再生産し続けた。

ところがペダーセンは違を唱える。

連合軍の商船に魚雷を命中させた後、戦果確認のため数時間後に浮上してみると船上や船の周辺海上にはまだ連合軍兵士が漂っている。
「この数時間何をしていたんだ?敵はなぜ救助をしない?」
と憤るUボート艦長。

しかし艦長は「後進微速」を命ずる。

狭い潜水艦内には捕虜を入れるスペースなどどこにもない。

海上に漂う兵士を見ても救助することもできない。

この冷酷な命令に若い兵士はすすり泣く。

これまでの悪逆非道なナチス兵士とは全く違う描かれ方をしていて、この映画は大きな共感を得た。





歴戦の艦長を演じたユルゲン・プロポノフ
長時間続く爆雷攻撃にパニックを起こしかけた乗組員が命令違反をしたので
拳銃を取り出すが副長たちが部下をかばってとりなす
深いため息をついて銃を置く艦長…と趣深いシーンなのだがこの銃が問題だった




この銃のグリップの形状から戦後西ドイツに移って
再開したワルサー社が発売したワルサーP38戦後モデルなのは明らか
少なくとも大西洋をUボートが駆け回っていた1945年以前にはこのモデルは存在しない
こういうことが気になり出すとここから後のシーンが
頭に入らなくなってくるのがテッポ好きの悲しいサガ




参考資料としてマルシンの(上)戦後モデルP38と(下)戦時モデルのP38
メカニズム的にはほぼ同じものだけど戦時モデルは下のように
線状のグルーブ入りベークライトグリップパネルが装備されていて
戦後モデルと見分けるポイントになっている
ペダーセンの映画はプロップまで気が回らなかったのか
独立系プロダクション制作だから戦時モデルを用意する予算がなかったのか…


第二次大戦期のUボートは急速潜行となると手が空いた乗組員は全員船首に向かって走り、船首を重くすることでより早く潜行ができる…という超原始的な潜水艦戦の実態を描き出した初めての映画だと思う。

潜水艦乗りというとレーダーだのソナーだのスマートでインテリぶった戦い方ばかりしているようなイメージのそれまでの映画と違い、実に泥臭くて実に男臭い潜水艦戦を描いていたのがこの映画の新しさだった。




猿の惑星

軍ものの話を続ける。

先日アメリカの軍装について調べていて、1911年から1980年代までの米軍の拳銃は標準的にはコルトのM1911で三軍統一だが、空軍は独自装備としてS&Wのミリポリやコルトの1903ハンマーレスなども装備したという記述を見つけた。

そういえば航空兵の銃は何だろうと、キューブリックの「博士の異常な愛情」を観なおしてみたら、B52の乗組員のサバイバルキットにはM1911ガバメントが入っていた。

そういうものかなと思っていたら、「猿の惑星」でチャールトン・へストンらのサバイバルキットにM1903が入っているのを発見した。

物語は有人宇宙探査に出発したへストンらが機器の故障で遠い惑星に不時着したところ、その星は猿が支配しており人間は猿に狩られる動物のような立場だったというストーリー。

猿たちは言葉を話し地球の17〜8世紀ぐらいの文明程度なのに対して、人間は地球の猿並の知能しかないという世界に迷い込んだ現在人の運命を描く。





謎の惑星に降り立ったNASAの宇宙飛行士たちがサバイバルキットの中を確認する
護身用にコルトのM1903と予備弾倉が3本入っている




ちらっとしか映らないシーンだけど空軍は装備を軽くすることが重要だから
コルトの1903を使用しているというのは割とリアルな話
細かいところだけどこの映画は荒唐無稽に見えて奇妙なところで
ディテールにこだわっているのが面白い



2020年5月18日
















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