東京マルイ・ガスブローバック89式5.56mm小銃〜BFA(ブランクアダプター)を自作してみた〜それと登場する映画追記
先回自衛隊の現用自動小銃の89式のことを書いていたが、89式について調べていたらいくつか気になる写真を見つけた。
89式にBFA(ブランクアダプター)と思われるアタッチメントをつけている隊員の写真がいくつかあったからだ。
BFAについてはこちらで取り上げた。
グレネードランチャー装備したM16A1をさらにリアル化〜ブランクアダプターと実銃用マガジンでMGCのアバタを隠す
射撃訓練とは別に斥候技能演習とかで実弾を使わないけど、射撃の判断が問われるような訓練で空砲を使った演習がされるようだ。
その時に自動小銃に空砲を入れるだけでは、排莢・装填が自動でされないために1発撃つごとにボルトを引かないといけなくなる。
それでは演習にならないので、空砲でも装填排莢が自動でされるように銃口を塞ぐアダプターが使われる。
これがBFA、ブランクファイアーアダプター、またはブランクアダプターとも言う。
環太平洋諸国の合同演習に参加した陸上自衛隊員(via Wikipedia)
手には現用自衛隊主力小銃の89式5.56mm小銃
よく見ると銃口の先に…
この赤い丸いものがBFA
つまり空砲演習用の銃口アダプターだ
こちらも演習中の陸上自衛隊員
こちらで見ると…
こちらの写真は高解像度なので詳細がいろいろわかった
マズルサプレッサーにねじ込むスタイルで固定するようになっているようだ
おそらく発射ガスをせき止めて一部を銃口側にバイパスさせながら
銃身内のガス圧を保持してシリンダーにボルトを後退させる十分なエネルギーを
伝えて自動排莢・自動装填を空砲で実現する仕組みに違いない
そうとわかったら早速造ってみたい(こちらはガスブローバックなので外観だけだが)
用意するのはM10の20mmボルトとそれをマズルサプレッサーに固定するSプラグ
ホームセンターで購入したSプラグを削ってボルトを固定できるように調整する
ボルトの先に接着するカップのような形状のノブは
水性ニスのボトルキャップを切って削って穴を開けて…作る
キャップと噛み合うボトルの口も切ってカップに厚みを持たせる
これをボルトに接着するがそのベースを1mm厚ABSから削りだして作る
一枚はキャップの直径+1mmの径で、もう一枚はそれより小さめに
これらを接着して形を整えたらメタルプライマーとインディのブライトステンレスを吹いて下塗り
さらにプライマーを重ね塗りして上の塗料が剥がれた時にこの銀色が見えるようにする準備
乾燥したらキャロムのブラックスティールを吹く
その先のキャップ部分にアクリルの赤を筆塗り
塗料が垂れるくらいにボテボテに塗るのがコツ
こうして形になったBFAとその材料になった水性ニスのキャップの比較
最近はもうこれに凝りまくっているのだがこうして塗装が完了したBFAを
台所用のスポンジの目の荒い方でこすって塗装が剥がれた雰囲気のウエザリング
完成したBFAを銃口につけた東京マルイの89式自動小銃
これをつけたままだとブローバックはできるがBB弾の射撃はできないのは実銃の通り
東京マルイのエアガンには安全対策用に銃口につける赤いキャップが付属してくるが
代わりにこれをつければ見た目もリアルだし安全対策もバッチリ
演習用の空砲をロードしたSTANAGマガジン(M16用)と89式
自衛隊89式はSTANAGと互換性があり使用弾薬もガスレギュレーターの
調整は必要かもしれないが米軍やNATOと互換性がある
NATO弾と外寸は似ているが互換性がない64式の教訓なのかもしれない
これは米軍が使用しているM200空砲弾(のダミーカート)
弾頭がなく薬莢の中に発火薬と口を塞ぐゼリーのようなものだけが入っている
薬莢口はクランプして塞いである
自衛隊が使っているものは装薬量は少し違うかもしれないがこれも使えるはず
実銃との比較
結構塗料を剥がして汚したつもりだが実銃はもっと汚れている
BFAだけウエザリングすると傷ひとつない本体とのバランスが取れなくなるので
難しいところだがいずれ本体にも汚しをかける予定だからその時BFAも再仕上げかな
別の写真も…
これも銃口部分を拡大して比較
正直言えば水性ニスのキャップは一回り径が大きすぎて
もう1mmほど直径が小さいキャップが欲しかったのだがこれも次の課題かな
アップにしてみた
(上)米軍がM16系、M4系用に使用しているBFAの実物と(下)マルイ89式用にでっち上げたBFA
BFAは銃口を塞ぐのが目的なのでマルイ用はM10ボルトの後部にボールペンのグリップを接着した
(右)米軍仕様の実物BFAと(左)東京マルイ89式用のBFA
形状はだいぶ違うが原理は同じで銃口に挿入したインサートに小さな穴が開いており
発射ガスの一部だけを銃口側に逃がして残り一部をガスシリンダーに押し込んでブローバックを実現する
(上)実物BFAを装着したMGCのM16A1モデルガンと(下)BFAをつけたマルイ89式
BFAをつけたまま実弾を発射すると銃腔破裂を起こして射手が重傷を
負うような大事故になるのでBFAは各国とも赤や黄色などの目立つ色を塗って
「射撃の前にBFAが銃口に装着されていないか確認する」という教練になっている
(上)実物BFAを装着したM16A1と(下)BFAをつけたマルイ89式
実物のBFAはこの写真ではキレイに見えるが実際は手に入れた時は
カーボンとグリースがべったりついておりこすっても取れないぐらい黒ずんでいた
赤い色もかなり剥がれていたのでその雰囲気を89式用でも狙ってみた
5.56mm空砲弾とBFA付きの89式
STANAGマガジンは左側に残弾確認用の穴が開いていないのでそこが見分けるポイント
右側からでは区別がつかない
これをつけるならマズルブレーキや銃身も汚さないとやはりバランスが取れないなぁ
Wikipediaより各国合同演習に参加する自衛隊員の写真
銃口につけているのは今回作った小型のものではなくもっと大きなBFA
米軍マニュアルでもBFAをつけている時は20フィート以内の距離で人に向けて
発砲してはいけないと書いてあり簡易BFAは至近距離で使用するのは危険らしい
この大型のBFAは室内突入訓練などの至近距離用で銃口の前に
破片が飛ばないような形状になっているらしい
M10ボルトにボールペンのグリップを接着したのはこのため
89式のマズルサプレッサーはかなりスケルトンなので横から中が丸見え
何かで塞いでおかないとおかしいのでボールペンをくっつけてみた
今回はほぼ日曜大工のような工作だったw
撮影用にかなり前に入手していたブランクカートリッジとトレイサーカートリッジ
どちらももちろんダミーカートリッジ
攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG
89式を愛でるエントリーなので前回の映画に登場するプロップの項目で書き忘れた話。
89式が登場する映画ということで平成ガメラと「ミッドナイトイーグル」を取り上げたが、他にも89式が登場する作品があった。
映画ではなくテレビシリーズのアニメだが「攻殻機動隊」の「S.A.C. 2nd GIG」にいくつか89式が登場する。
国境が消滅するほどはネットワーク化されていない近未来…ということだがいつのことかわからないが自衛隊は自衛軍になっており、その精鋭部隊はサイボーグで構成されるほどの未来。
自衛軍はやはり89式小銃をメインで使用している。
89式の納入は1989年からだが最後のロットはなんと2018年に納品されたということなので、寿命は40年と考えても2060年ぐらいまでは日本の自衛隊は89式を使い続けるということかもしれない。
だから攻殻機動隊の未来が何年後なのかは不明だが、相変わらず自衛軍が89式を使っていても別に不思議ではない。
個別の11人事件、難民決起事件の首謀者と思われる「クゼ」の過去が語られる回
クゼは国連のPKO部隊として大陸に駐留していたがそこで自衛軍への世論の無理解に失望し
やがて脱走兵となるがその時に「銃とそのカメラを交換してくれ」と取材陣に迫る
クゼが持っているのは現用では使用されていないグレネードランチャーがついているが
まごうことなき89式小銃
「少佐」と「サイトー」の出会いと「サイトー」がなぜ片目を失ったかが語られる回
シリーズでは強面の「バトー」がまだ新兵で「イシカワ」に
「あのメスゴリラの戦い方をよく見ておけ」とさとされる
「少佐」の戦闘能力といかなる時もポーカーフェイスでいる勝負強さを思い知らされるという回
南米に派遣された多国籍軍に日の丸をつけて参加しているが「少佐」と「イシカワ」が
使っているのはやはりグレネードランチャーがついている89式小銃
このシリーズは2005年頃のOAだったかな。
89式を延命するとなると光学サイトやグレネードランチャーを標準装備するという形になるかもしれない。
このテレビシリーズは実はお知り合いが構成として参加していたが、その人から洩れ聞く通り近未来の政治情勢から社会の変化から用語の変化、使用する銃器の設定まであらゆるディテールが徹底的にブレーンストーミングされており、ありそうな設定になっている。
それにしても相当ミリタリーに詳しいスタッフも入っていたようだ。
中途半端な架空銃ではなく89式を主力火器にしているのが逆にリアリティ。
2022年1月20日
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