コクサイM66のマットなステンレス仕上げを磨いて少しグロスにしてみた〜実銃写真を見ているとそういうのが多い気がしたから
水平二連散弾銃の仕上げの寄り道でやり始めたマルゼンのM1100の仕上げも部材待ち状態になってしまったので、寄り道の寄り道…S&Wリボルバーを磨いてみる…
またかよー…とか言わないで。
今度はステンレスのM66だから…
コクサイのガスガンのM66の末期の製品が見た目的にかなりリアルなので、リアル仕上げをした話を前にも書いた。
こちらを参照。
ディテールアップしたコクサイのガスガンM66のスナブノーズに木グリ(もどき)をつけてみた…例によって木製そっくりの仕上げをしてみた
木グリ(もどき)をでっち上げたコクサイのガスガンM66〜グリップウエイトを追加・塗装仕上げをタッチアップ・グラつきを固定
この時にアメリカのオークションやガンエクスチェンジの実銃の写真を集めていたんだけど、実銃の仕上げが結構ポリッシュがかかったピカピカだったのが印象に残った。
コクサイのステンレスモデルのメッキ仕上げはどちらかというとサンドブラストステンレスみたいなマットな仕上げだ。
遠目には銀色というより灰色に見えるぐらいのマットさだ。
コクサイのこの上品なステンレスシルバーも好きなんだけど、実銃はもっとバフダレするぐらいに磨いてある個体もある。
コクサイみたいなマットなシルバーの個体もあるので、これはオークション出品者が見栄えを良くするために自分でバフ掛けをしているのかもしれない。
ちなみに現行のSmith & Wesson社のカタログに載っているM66は、かなりコクサイのクラシックシリーズとはフォルムも変わって別の銃みたいになっているが色目はコクサイに近いマットのシルバーだ。
前回仕上げたコクサイのM66エアガンのうち2.5インチと6インチのモデルを磨いた
同じコクサイのM66エアガンなのにロットによって仕上げが全然違うことに気がついた
6インチの方は一番末期のロットなのでウエスにピカールをつけて磨くだけでピカピカになった
ところが初期のロットの2.5インチはウエスで磨いたぐらいでは全然変わらない
リューターにバフをかませて研磨剤も塗って磨いたがそれでもまだマットだった
初期ロットはメッキをかける前にヘアラインを入れていたが末期ロットは
メッキをかけてから最後にヘアラインを入れていたらしい
そうすることで手間を省いて工数を節約していたんでしょうね…
初期ロットの2.5インチがどれくらいバフ掛けしたら光沢が出るか外から見えないグリップで実験した
かなり磨きこまないと鏡面にはならないし鏡面になる頃には下地の銅メッキが見えてしまう
まさに薄氷を踏むような思いで研磨をすることになった…
こうして出来上がった2挺
6インチの方はリューターも使わずウエスとピカールだけで仕上げたので
作業時間は小一時間というところだったが2.5インチの方は
リューター+バフでないと全く歯が立たなかったので半日仕事になった
銃身やシリンダーの光り方に注目
やはり6インチは鏡面仕上げに近く2.5インチの方は結構光沢が出たのだが
ぱっと見の印象は相変わらずマットなシルバーだ
(上)Smith & Wesson M66実銃と(下)コクサイのM66 6インチ
サイドプレート、シリンダー、銃身の光り方は近くなった
(上)Smith & Wesson M66の実銃と(下)コクサイ M66 2.5インチモデル
実銃にもこんなマットなシルバーの個体もあるのでこれと比べれば光沢があると思う
リファレンス用にコクサイM66 6インチの左プロフィールショット
コクサイM66 2.5インチの右プロフィールショット
並べて撮ってみた
あまり代わり映えしないじゃないかと言う向きもあるかもしれませんが
実は結構変わっているのです
お約束のシリンダー映り込みショット
6インチの方はメッキの上っ面だけにヘアラインが入っているので
ピカールの研磨だけでかなり映り込みが出る
もう少し磨けば完全な鏡面仕上げになりそうだがステンレスが
あまりテカテカ光るのも変なのでこのぐらいで止めておいた
2.5インチの方はリューターで薄氷を踏む思いで
研磨したがこのぐらいが私の肝っ玉では限界だった
これ以上磨くとエッジに下地の銅メッキが露出しそうで続ける勇気がない
こちらは前回撮った研磨前の映り込みの写真
これと比べればかなり変化したのがわかってもらえるかな…
6インチがある風景
2.5インチがある風景
2.5インチのサイドプレートに映り込んだスピードローダーのカートリッジ
ところでこれが今のSmith & Wesson社のカタログに載っているM66現行モデル
フレームは警察が導入したM360 SAKURAに近い直線的なフォルムに変化している
ちなみに米国内での販売価格は854ドルで10/20時点の為替で9万円ほど
2.5インチのバレルの映り込み
こちらは現行モデルの銃身のアップ
かなりマットなシルバーなのがわかる
やはりメーカーデフォルトの仕上げはこんなマットグレーで
ピカピカなのはユーザーがポリッシュをした結果なのかもしれない
6インチのバレルの映り込み
この通り撮影者の顔が映り込むぐらいに光沢が出た
6インチのトリガーガード、シュラウドなどの下面の映り込みの様子
4インチの下面の映り込み
今手元にコクサイのM66は2.5インチ、4インチ、6インチの
三梃がある(かなり古いモデルガンのM66もあるが…)
6インチが結構グロスで、4インチはポリッシュなしのマットシルバー
2.5インチが中間ぐらいの半ツヤと色目も3種類そろった
6インチのサイドプレートに映り込むカートリッジ
2.5インチは半ツヤといってもこの程度の写り込みはある
ステンレスメッキのM66の研磨にチャレンジしてみて、コクサイというメーカーの変遷を思わぬところで知ることになった。
初期ロットのM66のステンレスメッキは下地拵えでポリッシュの後ヘアラインを入れて、その上から銅メッキ、ステンレス調銀鍍金をかけて、さらにその上からマット仕上げのブラストをかけている感じだった。
末期のロットのステンレスメッキはABSをポリッシュした後、銅メッキ、銀鍍金をかけてその上からスチールウールか何かでヘアラインを入れているような感じだ。
どっちが手間がかかるかといえば、圧倒的に初期ロットのスタイルだ。
磨いてもツヤが変わらないのも初期ロットのスタイル。
マルシンのM686のステンレスメッキもコクサイ並みに綺麗な仕上がりだったが、ピカールで磨いたらピカピカになったのでコクサイの末期ロットと同じ手順で仕上げられていたと思う。
ステンレスメッキの雰囲気に関しては、コクサイは他のメーカよりアドバンテージがあったが末期にはそこは捨ててコスト削減が優先されたということなのかな。
2020年10月20日
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