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ブローニングの初期の作品のM1887〜「ターミネーター2」で
シュワちゃんがくるくる回していたエポックメイキングな銃

Wild west shotgun

ブローニングの初期の作品のM1887〜「ターミネーター2」でシュワちゃんがくるくる回していたエポックメイキングな銃

マルゼンのRemington M1100を買った時に 並べて写真を撮ったマルシンのモスバーグM500はカートレスのショットガンもどきモデルだったが、マルシンもライブカートのショットガンを製作していた。
それがこのウインチェスターM1887。

エアソフトガンとして実用性はあまり期待できないマルシン製のしかもライブカートなので、はなから実射性能には期待していなかったが、このウインチェスターのレバーアクションショットガンにはちょっとした思い入れがあった。

このM1887は伝説的なガンデザイナーとして名を馳せたジョン・ブローニングのごく初期の作品だったから。

ブローニングといえばハイパワーで近代オートマチックの基礎を築き、ブローニングのM2重機関銃やM1919軽機関銃だけでなく、M1911ガバメントやM1910、32オートことM1903、ジュニアコルト、さらにスーパーポーズドなんていう名作上下二連散弾猟銃に至るまで大小あらゆる種類の軍用銃、拳銃、猟銃を設計した天才銃器設計者。 その来歴はこちらでも大まかにまとめた。

若かりし日のジョン・ブローニングは、ウインチェスターの大ヒットレバーアクションライフルのM1873を改良したM1886が最初のデビュー作だった。





Winchester M1886の実銃
そもそもはSmith & Wessonのダンとホーレスのコンビが最初に起業したのがボルカノライフル
ボルカノライフル社はカートリッジの不具合で倒産してレバーアクションライフル製造権は
実業家ウインチェスター氏に売却されM1873ライフルとして大ヒットした
しかしM1873ライフルはブリーチの閉鎖強度に不安があり陸軍制式採用を逃す
そこでこの1873の改良案をウインチェスターに売り込んできたのが若かりし日のブローニング
昔CMCがウインチェスターM1892をモデルガン化していたがM1873との大きな違いは
ブリーチブロックをロックする2本の太いロッキングピースだった
CMCのモデルガンをMGCのM1873と比較すれば改良点がよくわかった
CMCのM92はこのM86とほぼ同じマイナーチェンジバージョンだった



のちにジョン・フォード以降の西部劇映画に登場するサドルライフルはほとんどこのブローニングデザインのM86かそのマイナーチェンジのM92だった。

ウインチェスターは会社の基礎を作ったこのライフルデザインに惚れ込んで、もう一つの大口需要が見込めるショットガンのレバーアクション化をブローニングに持ちかけた。

それまでの西部で使用されていたショットガンはソウドオフした水平二連散弾銃で、当然2発撃ったら装填が必要になってくる。

これをライフルと同じようにチューブラーマガジンとレバーアクションで多弾数化すれば人気が出るに違いないという目論見だった。





マルシン製のウインチェスターM1887
使用弾が12ゲージの散弾シェルという以外は構成はM1886と似ている




(上)Winchester M1887実銃と(下)マルシンのM1887ガスガン
例によってマルシン製はプロポーションの捉え方は抜群
メカも結構実銃の回転式エレベータのようなシェルリフターを再現して
リアルだし装填排莢も快調でガス漏れと集彈性能以外はすばらしいできだ




12ゲージまたは10ゲージを使用するショットガンとして設計された実銃に対して
マルゼンは8mmBB弾を使用するライブシェルガスガンとして設計された
設計が1887年と古いので「Wild West」という言葉がぴったりなクラシックさ




クラウン無しのぶった切ったような銃口に真鍮のビーズサイトが付いているだけという実戦的な構成




ハンドガードはバレルとチューブラーマガジンを左右から挟むような形態
バレルが熱を持ったらマガジンも熱くならないかという気はするが
昔は紙のショットシェルだったのでそもそもマガジンまで熱くなるほど
バカスカ撃ったら別の危険があったかもしれないのでそこは気にしていない設計




レバーアクションでシェルを装填する様子
レバーを引始めると円形のブリーチブロックが後退してチェンバーとマガジン後端が露出する




さらにレバーを引くとロックが外れてリフターの上にショットシェルが1発だけ飛び出してくる




リフターはブリーチと同じ回転軸で上に回転してシェルをチェンバーの口まで持ち上げる
シェルの上に飛び出しているのはエジェクター




レバーを戻すとブリーチブロックは回転してシェルをチェンバーに押し込む




M1887のレバーアクション
レバーをいっぱいに引くと(引くというよりは前にレバーを押すような操作感だが)
ブリーチブロックは半分ほどフレームの下、外に飛び出している
機械部分ががっつり外にはみ出す19世紀的なメカニズム




レバーを戻すとレバーシャフトと同じ回転軸でブリーチブロックはレシーバーの中に収まる
ブリーチブロックは90度の分度器のような形をしている
M1886と違って完全にメカを回転運動でまとめ上げたのがM1887の特徴




(左)マルシンのM1887ショットシェルと(右)マルゼンのM1100、M870ショットシェル
マルゼンのショットシェルは実物の12ゲージシェルよりかなり
小さめだがそのマルゼンよりさらにマルシンは小さめになる
当然互換性はない




(左)マルシンのM1887ショットシェルと(右)マルゼンのM1100、M870ショットシェル
全長が短いだけでなく径もちょっと細いが構造は似ていてどちらも
ゴムのストッパーでBB弾を保持するだけの筒のような構造のシェル




レバーを引き下ろしたトリガーガードの上側がガスタンク
レバーの後ろに残っているのがトリガー




マルシンのストックバットは板金プレスだが雰囲気はある作りになっている




マルゼンのM1100猟銃化カスタマイズと並べたマルシンM1887




M1100は戦後に開発された近代オート散弾猟銃でM87はまさに西部開拓時代の
護身用に開発されたコーチガンに代わる連発散弾銃なので世代は全然違う




ジョン・ブローニングのガンデザインはメカが
合理的なだけでなくこういうところがすごいと思う
レシーバーにフィンガーチャンネルのようなくぼみがあるが
ここを持つと前後の重量バランスがちょうどよく片手で持ち歩ける
こういう手に馴染むデザインがブローニングの尊敬されるところなんだろう




レバーをしっかり押し込んでから引き下げるとコッキングピースがレバーに引っかかってハンマーを引き起こす




レバーをしっかり押し込まないとコッキングピースはロックされずに残る




ガスをチャージするときはこのコッキングピースが残った状態にすればバルブが見える




コッキングピースがレバーに引っかかっていない状態




コッキングピースがレバーに引っかかっている状態
装填排莢には少しコツがあってこのレバーをしっかり押し込んで閉じるという点と
装填の時はしっかりリフターを押し込んで下のマガジンまでシェルを押し込むというあたりが注意点



ブローニングがデザインしたM1887はウインチェスターから製品化されたが、M73やM86ほどの大ヒットにはならなかった。

またブローニング自身もこのデザインは改良の余地があると思っていたようで、のちにポンプアクション式の1897を設計している。





ウインチェスターM1897実銃(via Wikipedia)
レバーアクションには共通の弱点があり何発か撃つとシェルの追加装填ができない
軍用に採用されなかった理由はこれも大きかったかもしれない
ポンプアクションに方式が変わったM1897は残弾1でも追加装填が
できるのが功を奏したのか陸軍にもトレンチガンとして採用された




the Internet Movie Firearms DatabaseよりロングバレルのM87実銃
設計目標がコーチガンに代わる散弾銃ということだったが
こういう猟銃っぽいアレンジのバリエーションもあるようだ



【M1887が登場する映画】

例のムービーガンデータベースという強い味方ができたのでここでM87が登場する映画を調べたのだが、結構登場する映画は多いにもかかわらず、印象的な使い方をされているフィルムは少ない気はする。

ちょっと驚いたのは「ジュマンジ」で主人公を追い回すヴァン・ペルトが持っている大砲のようなエレファントガンはこのM1887がベースになっているフルスクラッチガンだった。

明確に意図を持って使用されていたのはやはりジェームズ・キャメロン監督、シュワルツェネッガーの代表作の「ターミネーター2」だろう。





ムービーガンデータベースよりT2で使用されたプロップガン
ソウドオフされたM87なんだけどレバーがノーマルタイプと
レバーのリングが大きいランドールアクションタイプの2種類あるのがわかる




ジョン・コナーがターミネーターとスーパーマーケットの従業員通路で出会うシーン
トリガーガードはカットされているがレバーはノーマルタイプのM87を持っている




排水路のカーチェースシーンでシュワちゃんがM87をくるくる回しながらリロードして連射するシーン
くるくる回すいわゆるランドールアクションはこの大きい輪っかのレバーでないと指が折れる
このシーンの直後母親の救出に向かうシーンでいきなりノーマルに戻るという離れ業
要するにプロップ的には「つながっていない」ということ



ちなみにこのシュワちゃんがショットガンをくるくる回すランドールアクションは、スティーブ・マックイーンの「拳銃無宿」というテレビシリーズでソウドオフされリングレバーをつけたウインチェスターライフルをマックイーンがくるくる回していたアクションが元になっている。
このアクションでシリーズはアメリカで人気を博した。

拳銃無宿の主人公ジョッシュ・ランドールにちなんで、こういうカスタマイズは「ランドールライフル」と呼ばれた。

実際に開拓時代にこういうカスタムガンが使われていたわけではない。

テレビの西部劇が元になった架空のガンアクションだ。



2021年5月22日
















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