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WinからMacに乗り換える時の疑問5

Windowsユーザが初めてMacを使うという質問をよく受けるようになりました
そういう人達にMacとWindowsの考え方の違い、使い勝手などをまとめます

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WindowsからMacにスイッチ(乗り換え)する時の疑問15
〜WindowsのネットワークにMacをつなぐにはどうするの?

私が初めて見たPCはアタリだったか、NECのPC8800だったかもう忘却の彼方だが、その頃のパソコンはBASICあるいはBASIC様のプログラムをいちいちテキスト入力して走らせるタイプのものだった。
大きなプログラムを走らせる時には、カセットレコーダーから
「ピーヒョロヒョロヒョロヒョロ」
というような音をさせてプログラムデータをロードして、ピンポンゲームとか2次元のゴルフゲームとか、ワープロソフトとかを動かすというもので、パソコン通信なんて始まったのはそのずっと後だった。

パソコンは基本的にスタンドアローンで使うものだったし、大型機と違ってスタンドアローンで動くということに当時のマニアは熱狂した筈だ。
しかし当時の私は
「こんなものが何の役に立つ?」
と冷ややかな目で見ていた。
パソコンはネットワークに繋がらない間は基本的に
「不安定で能率の悪いゲーム機、あるいはワープロ機」
でしかない。
この事情は今だって大して変わらない。

せっかくMacにスイッチしても、そのMacがネットワークに繋がっていなかったら結局その活用法はアタリやPC88と大して変わらない。
そこでネットワークにつなぐにはどうしたらいいかを解説する。


WindowsのネットワークにMacをつなぐにはどうするの?

と勇んで書き始めたものの、実際Macのネットワーク設定はあっけないほど簡単で、解説するべき部分などほとんどない。
Macのネットワーク環境は基本的にプラグアンドプレイで、つなげばその時点でホスト、あるいはネットワーク名が見えるし、ネットワーク名が見えればあとは基本的には必要ならパスワードなどを入力するだけだ。

特に再起動も要求されないし、何か特別なウイザードが出てくるわけでもない。






ネットワーク設定は主にここでコントロールする
システム環境設定の「ネットワーク」ペインに入る





初めてのEthernetにつなぐ時にIPアドレスを要求される場合がある
その時には管理者から振られたIPアドレスを手入力することになるが
大抵の家庭用ルータはDHCPサーバを兼ねているので「DHCPサーバを使用」を選択する
これで自動取得するのでIPアドレスの入力はこの場合必要ないし再起動も無しにいきなり繋がる





無線LANにつなぐ場合はネットワーク名を選んで接続
セキュリティがかかっている場合はパスワードを要求されるので入力する
パスワードはキーチェーンに保存されるので次回からは必要なくなる
「メニューバーに表示」のチェックを入れておくとネットワークの選択、AirMacの入切など
システム環境設定を起動せずにメニューバーアイコンからできるようになるので便利





メニューバーにはこういう扇型のアイコンが現れる
ここからプルダウンでネットワーク名を選択したりAirMacのオンオフを制御できる





無線LANもDHCPサーバを使用するなどの設定は「詳細」ボタンから入れる





ネットワークにMACアドレスフィルタリングがかかっている場合は
ネットワーク管理者にMACアドレスを登録してもらわないといけない
その場合のMACアドレスはここを見ればいい
AirMacの場合は「AirMac」のタブを見る






WinからMacに乗り換える時の疑問

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WindowsからMacにスイッチ(乗り換え)する時の疑問16
〜WindowsとMac、ネットワーク経由でファイルを共有する方法は?

MacがあってWindowsがあって家庭内LAN(死語)などのネットワークがあって、前回の方法でMacもネットワークに繋がったら次に何をしたいかというと、ファイルの共有だ。

ファイル共有といっても最近かまびすしい「Winny」とかではない。
単にネットワークを通じてWindowsからMacに、あるいは逆にMacからWindowsにファイルを渡したいだけだ。
以前にも取り上げたブラウザのブックマークをMacに引き継いだりメールのメッセージを引き継いだりするのに、ネットワークを通じてできれば便利なことはいうまでもない。

その方法をWindowsサイドからとMacサイドから解説する。


WindowsとMac、ネットワーク経由でファイルを共有する方法は?

と勇んで書いてみたが、これも実はステップが多いわりにはそんなに難しい話でもない。
現在のLANで標準的に使われているイーサネットはTCP/IPに準拠しているので、ネットにつなぐことができる人は、イーサネット接続ができるしイーサネット接続ができる人はほぼ問題なくファイル共有もできる。

これも初歩のことなのだが、初歩だから解説の必要がないわけではない。
それどころか私の職場では、クライアントPCのファイル共有を自分で開いたりできる人はまず皆無だ。
他の人の共有フォルダを開くこともできない。

その結果何が起きるかというと、ちょっとしたテキストファイルを隣りの席の人に渡すだけで、ファイルサーバに自分のフォルダを勝手に作ってそこに取りに行かせたり、USBメモリに入れて渡したり、CDRで焼いてみたり(しかも数メガのファイルを)、そんなのはまだ可愛い方で何でもかんでもメールに添付して送ってきたりということをやっている。

かくいう私も最初の頃は
「やたら添付ファイルでものを送ってくるな! 何か渡したいときは共有フォルダを使え」
といちいち言っていたが、誰も共有フォルダの使い方を覚えようとしないので、最近では私も何でもかんでもメールで添付して人に渡すようになった。

朱に交われば赤くなるというか、貧すりゃ鈍すというか・・・

皆さんはフォルダ公開の方法を学んで、低レベルな私の会社よりも上のステージを目指してもらいたい。
その方が絶対便利だからだ。


まずはWindowsの共有フォルダの共有を開いてMacから見えるようにする方法。

なお以下の手順はWindowsユーザにはもう分かりきったような内容も含まれているが、このシリーズはWindowsからMacにスイッチした人のためのマニュアルというだけでなく、MacからWindowsにスイッチする人にとっても便利な内容を目指すので両方の手順を詳しく書くことにした。
いつの間にそういうものを目指すページになったのかというと、今ふとそう思いついたのでそうすることにした。






例えばデスクトップを別のマシンと共有したい場合ここから操作を始める
「このフォルダを共有する」をクリックするとディレクトリのプロパティが現れる





ここで複数のアカウントでフォルダを共有したりというような設定ができる
この自由度はWindows独特のものだがそれとは別にネットワーク上で
共有を開くウイザードを呼び出すリンクも用意されている





そして開いたのがこのウイザード
ファイアウォールなどのセットアップをするこのウイザードでファイルの共有も設定できる





ネットワークが接続されていない時にはこんな表示が出る
まだつなぐセットアップをしていない場合は疑問15に戻ってまず接続の設定を





このWindows機に名前をつけなくてはいけない
通常はほっとくとこういう名前になる





ワークグループもここで選ぶ
ワークグループというのはMS独特のネットワークのディレクトリ化のことだ





次の手順でファイル、フォルダの共有を有効にするか無効にするかを選ぶ





というようなセットアップでいいのか最終確認をしてくれる
最近のWindowsのウイザードの親切さは至れり尽くせりだ





「有効にする」を選んで次に進むと少し待たされる





ここでこのセットアップを確定するいくつかの方法を選ぶことになる
初めての時にはWindowsのインストールディスクを用意して挿入することになる





そうするとこのようなインストーラが立ち上がってくる
手順はウイザードに書かれているが「追加タスクの実行」をクリックする





「ホーム/小規模オフィスネットワークをセットアップする」をクリックして進行





セットアップが完了したら再起動を要求される





めでたくウイザードも完了





例えば共有フォルダをネットワーク公開するプロパティはこんなふうになっている
「ネットワーク上でこのフォルダを共有する」にチェックを入れると共有が開始される
ネットワークユーザにファイルの上書きを許可する場合はその下の
「ネットワークユーザによるファイルの変更を許可する」にチェックを入れる





共有フォルダの名前は「SharedDocks」と変わることがある
どのみち複数の種類のOSが接続している環境ではフォルダ名も
ファイル名も直接入力の英数文字が望ましい
機種依存文字などもってのほかだ





例えばデスクトップを共有してみよう
デスクトップのウインドウを開いてプロパティに入ってやはり共有の項目にチェックを入れる



このようにしてWindowsのファイル、フォルダ共有の設定が完了した。
2回目からは共有を開く時にはセットアップウイザードは必要ない筈だ。
今度はこの共有を開いたWindowsのフォルダをネットワーク上のMacから開いてみる。






これをMacから見ると特に何もしなくても先ほど設定したワークグループが見えて
その中にさっき設定した名前のホストが見えている
方法はFinderのウインドウの左のペインから「ネットワーク」を選ぶだけ
とっても簡単





WindowsのSMBファイルシステムは必ずパスワード認証を要求される
パスワードは特に設定していなければ共有を開いているユーザのログインパスワード





こういうタグが見えたから接続したいディレクトリを選ぶ
デフォルトでは「共有フォルダ」にあたる「SharedDocks」になっている





開くと「マイドキュメント」の中味が見える





さっき共有を開いてみたデスクトップもプルダウンから見えている
これを選択するとこのディレクトリを別のボリュームとして開く





MacにWindowsのデスクトップフォルダをマウントした
勿論デスクトップには「SharedDocks」「デスクトップ」などの
ボリュームアイコンが現れている



この通りMacからオンライン上のホストの公開フォルダを開いてマウントするのは非常に簡単だ。
特に何も設定しなくても、パスワードさえ知っていればすぐに開く。

次に今度はMacで開いた共有フォルダをWindowsで接続してファイルを共有する方法をトライする。






Macの共有を開く方法は非常に簡単だ
システム環境設定の「共有」に入る





このペインで「ファイル共有」のチェックを入れると
「スリープ状態ではファイル共有は機能しない」というアラートが出て
「省エネルギー設定」に移動するよう促すタグが出てくるが無視してもかまわない
デフォルトでは共有フォルダは「ドロップボックス」のみになっているが
下の「+」ボタンをクリックすることでどこでも自分が管理権を
持つディレクトリは共有フォルダにできる(Leopardのみ)





+ボタンをクリックするとどのディレクトリを公開するか聞いてくる





選択ダイアログで開いたフォルダが「共有フォルダ」に追加された
「−」ボタンをクリックすると選択中のフォルダの公開が中止される





この時にオプションボタンをクリックして共有の種類をチェックを入れて選ぶ
大まかに言ってAFPはMac同士のみのファイル転送プロトコル、
SMBはWindowsがからむファイル転送プロトコル、FTPはファイルサーバの
転送プロトコルと理解しておこう
Windowsに共有フォルダを開きたいならSMBの設定が必要だ





アカウントのチェックを入れるとそれぞれパスワードを設定できる



これでWindows向けにMacのファイル共有を開くことができた。
これをWindowsから開きにいく。






スタートボタンから「マイネットワーク」の上で右クリック
出てきたメニューから「コンピュータの検索」を選ぶ





左下の検索窓に共有を開いたMacのIPアドレスを入力する





するとMacのSMB(Samba)共有のホストが見えるのでこれをクリックする





そのホームを開くとパスワードを要求される





ネットワークを共有を開いたMacのアドレスで検索する
IPアドレスが10.0.1.2、ユーザ名が「hiiragi」の場合
「¥¥10.0.1.2¥hiiragi」と入力して検索





するとユーザフォルダが開いて中が見える
これでWindowsからMacへの接続が完了する






WinからMacに乗り換える時の疑問

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WindowsからMacにスイッチ(乗り換え)する時の疑問17
〜Windowsとのワード、Excelのやり取りはできるの?

Macを触ったことがない人の非常に多くが誤解していることに
「Macは文字化けしてWindowsとは文章の互換性がない」
というのがある。
また文字化けの原因はWindowsユーザ、Macユーザ相互の無理解が原因で、気をつけるべきことを気をつければ大部分は防げるのだが、過去にはWindowsユーザ、Macユーザは隔絶していてお互いのファイルシステム、エンコードシステムについて全く理解していないし理解する気もないという状況が続いた。

このことが不幸にして
「Macは文字化けするからダメだよ」
という誤解を定着させた。

しかし現実にはMacとWindowsではファイルシステム、エンコードシステムというのは非常に些細な差で気をつけていれば文字化けの大部分は防ぐことができる。
レイアウト崩れさえもその法則性を知っていれば防ぐことができる。
最近のMacユーザは大部分が、仕事ではWindowsも使うという二刀流だからそういうことを心得ている人が増えて来た。
昔は拡張子ひとつでも大騒ぎになっていたが、相互理解が進めばこの理不尽な偏見はやがては消える。
そしていつの日かWindowsユーザの子供達とMacユーザの子供達がともに遊ぶ・・・
私はそんな夢を持っている。


Windowsとのワード、Excelのやり取りはできるの?

結論から先に書けばWord、Excel、Power PointなどのWindowsの書類はそのままMacに渡すことができるし逆にMacからWindowsに渡すこともできる。
普通に開いて読めるだけでなく編集してお互いに交換することもできる。
ただその時に問題になるのが、文字化けとレイアウト崩れの問題だ。

ファイルシステム要因の文字化けの問題は後日別項目で書く。

ワード、Excelなどのやり取りをしている時にいつも問題になるのがレイアウト崩れとテキストの内容の文字化け。

その要因のほとんどはフォントとの扱いがMacとWindowsでは微妙に違うということに起因している。
詳細はキャプチャー参照だが、WindowsのフォントはMacとはちょっと表示が違うものがある。
また指定フォントが違うと文章が正しく表示されないことがある。
Windowsの標準的なフォントはMSゴシック、MS明朝などのフォントだが、これはMacにはデフォルトではインストールされていない。
そこでMacでは標準フォントのOsaka、あるいはヒラギノフォントを指定することになるのだが、このテキストをWindowsの古いバージョンに渡すとアラビア語のような表示になってしまうことがあった。
最近のWindowsバージョンではOsakaやヒラギノの指定は自動的にMSゴシックに置き換えてくれるようになったが、昔のWindowsはMacにそんなに優しくなかった。

フォント指定はMacに渡す場合はMacの方でフォントを再指定し直さないといけない場合が多い。
その場合MacにもMSゴシック、MS明朝などのMSの標準的なフォントがインストールされていれば、その渡された文章をエディットしてWindowsに返す時に文字化けがない。

MacにMSフォントをインストールする方法はこちらにも取り上げた。
MSゴシックなどのMSフォントは無料で合法的にOSXで使える 通常はMSOfficeをインストールしていればそれらのフォントは標準で付いてくるが、実はそれらのフォントはMSOfficeを購入しなくても無料で合法的に入手できる。

あと文字化けでよくあるのは機種依存文字。
◯の中に1、2、3が入ったあのオフィス文書でよく使う気号はMacとWindowsでは文字コード番号が違うのでお互い文字化けする。
この手の機種依存文字や、テキストエンコードの種類によっては文字化けしやすい半角カナなどを使わないというのが、ユニバーサルな文章を作る注意点だ。


あとよくMacとWindowsでWordやパワーポイント書類をやり取りしているとレイアウトが崩れて
「これだからMacは・・・」
ということになる。
しかし世の中にはMacでMSOfficeを仕事で使用してほとんど批判を受けない人もいる。
自慢するわけではないが、私自身も周囲の大部分はWindowsユーザだが、そういう人達とWordやExcelのファイルをやり取りしてクレームをいただくことは滅多にない。

レイアウト崩れなどの原因は大抵は、文字の等級の扱いがMacとWindowsでは違うのが原因で、そのことに注意していればそんなに問題が起きることはない。
Windowsで12号で指定したフォントはMacでは14号くらいに表示されてレイアウトがはみ出してしまう。
そこで、このレイアウト崩れを直してWindowsに返すと今度は文字が小さくなって、テキストボックスの間に隙間が空いてしまったり、テキストボックスが繰り上がってページをまたがったり、レイアウトがぐちゃぐちゃになってしまう。

そのことを配慮して最初から文字等級を変えておけば問題のかなりの多くを防ぐことができる。
しかし、テキストボックスの幅の指定が「12号14文字」というような指定になっている場合、逆に文字等級をいじらない方がいい場合もある。
この問題はなかなか一概にいえないし単純化していうことができないのだが、ある程度問題の所在を知っておくと意外にあらかじめ悶着を防ぐことができる。

両方のプラットフォームに精通している人は問題を起こさないという事実から学ぶべきことは多いように思う。

ところで文字化けや、レイアウト崩れが本当に困る場合はフォントエンベッドのPDFやjpegにして渡してしまうという手もある。
Macなら表示で書き出し機能がついているPDFなら機種に依存しないので文字化け、レイアウト崩れは無いしjpegなら文字ですらないから絶対に崩れない。
この方法は結構お薦めだ。






Windowsで作った文章がこんなふうに文字化けしていたら・・・





"~/Library/Fonts"にMSゴシック、MS明朝などのMSフォントが入っているか確認しよう
MSGothicとなっている場合は先方の指定にかからない場合がある





文字化けしているところを選択して改めて「MSゴシック」で指定してやると文字化けが治る





MSOfficeをインストールしている場合は"/Applications/Microsoft Office/Office/Fonts"
に入っているMSフォントを上記のディレクトリにコピーするこで解決する場合がある





Windowsで作った文章をMacに持ってくるとこんな感じでレイアウトが崩れていることがある





文字の等級を変えてやるとちゃんと治ったりする
ただしこの文章をWindowsに返す場合にはもとの等級に戻してやらないと今度は先方で崩れる
最近はBootCampなどでWindows環境をMacでも簡単に確認できるようになったので
センシティブな文章の場合はWindowsで表示確認をしてから送るというのがよい






WinからMacに乗り換える時の疑問

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WindowsからMacにスイッチ(乗り換え)する時の疑問18
〜WindowsとMacOSを切り替えて使うのは実用的?

それこそ昔MacOS8とかOS9とかを触っていた時代にトラシュー系のBBSにたむろしていた頃、何度も出会った初心者の質問があった。

「PCにはMacOSはインストールできないんでしょうか?」
「MacにはWindowsはインストールできないんでしょうか?」
これはMacユーザ、Windowsユーザともに非常に多くの人が持つ疑問だった。

その理由も大体察することができる。
友だちから中古のPCをもらった、しかし手許にはMacOSのシステムディスクしかない。
これをインストールして動かす方法はないのか、それともやっぱりWindowsOSのパッケージディスクを買わなくてはいけないのか?

あるいは会社ではWindows、自宅ではMacを使っているが会社の仕事を家に持ち帰って残業の続きをしなくてはいけない。MacにWindowsをインストールして動かすことはできるのか?
それともやはり2台目のWindowsを買わなくてはいけないのか?

大体こんな事情だったのではないだろうか。

これに対する答えは2007年くらいまでは決まっていた。
「そんな方法はありません。素直にMac実機、あるいはWindows実機を買いましょう」
ということになる。

正確にいうと当時もVirtualPCなどの「エミュレータ」はあった。
エミュレータを使えばMacにWindowsをインストールすることはできたし、かなり前に開発は止まってしまっていたがPCにMacOSをインストールする「エミュレータ」もあった。
しかしこれらのエミュレータは
「インストールして動かせないこともない」
というレベルのシロ物で、Macの上でWindowsが動くことを鑑賞して楽しむものであって、実用で使うにはほど遠いものだった。

実用的に仕事や遊びで使いたいならやはり「実機を買え」という答えしかなかった。
2007年くらいまでは。

しかしAppleがすべてのMacのラインナップでPPCの採用を終了してintelのX86系のCPUに切り替えるという発表をしてから事情が大いに変わってしまった。
当初からマニアの間でウワサがあった通り、MacにWindowsをインストールして動かすことは可能になってきた。
しかもアップル自身がBootCampというアプリケーションをバンドルして、積極的にintelMacにWindowsをインストールすることをサポートするようになってきた。

このことは大きなインパクトがあった。
それまでAppleやMacに全く関心がなかった層にこの事実は大きくアピールした。

Macを買えばWindows機としても使える。
しかもベンチマークを取ってみれば、結構なスペックのPCよりも良かったりする。
「意外にもMacってWindows機としてみてもパフォーマンスが悪くないんじゃないだろうか。
しかもMacOSXという未知の、だがUNIXに準拠しているというOSも切り替えて使えるという」
こういうことがむしろWindowsユーザやUNIXユーザにインパクトがあったようだ。

今ではMacにWindowsをインストールして実用的に使うことができる。
逆にPCにMacOSXをインストールするというのは技術的には可能な筈だが、Appleのライセンスに対する考え方から機能制限されている。
しかしBootCampのおかげで、MacとWindowsを切り替えて使うことができるのは間違いない。

ならば次に気になるのはその実用性だ。

最初の頃私はBootCampがあれば充分で「仮想化ソフト」は無意味と思っていた。
しかし実際に使ってみるとBootCampはこれはこれで不便だ。

特に仕事の局面では一瞬でWindowsに切り替えて次の瞬間にはMacに戻りたいという局面が多くある。
遅ればせながら仮想化ソフトの実用性を試すことにした。
そこで今回の疑問はこれ。


WindowsとMacOSを切り替えて使うのは実用的?

WindowsからMacに移った人達が最初に思うのは
「Macにいきなりすべての環境を乗り換えるのは大変だから、しばらくはWindowsと両方の環境を残しておきたい。しかしパソコンを2台も家に置くのはジャマ。
一台で両方使えたらいいのに・・・」
ということじゃないだろうか。

その答えとして「仮想マシンソフトがありますよ」というのはあまりにも敷居が高すぎるのではないかと思っていた。
ところが今回試してみて、仮想マシンソフトはそんなに難しくないということを知った。


仮想化ソフトというのは、単純化していえばMacのOS上である領域をWindowsPC、あるいはLinuxPCと同じ状態にするということだ。
その意味はEFI、仮想マシン辺りのキーワードでググってみてほしいのだが、従来のエミュレータとの違いはスゴくザクッとした説明を試みるならこんな感じか。

英語ネイティブの運営者が運営する英語ネイティブだけが参加するカンファレンスがある。
ここに日本語しかしゃべれないゲストスピーカーが参加する。
当然通訳が必要だ。
彼がスクリーンに映したいパワーポイントも誰かに英語に訳してもらわないといけない。
しかもパワーポイントが必要だという打ち合わせも通訳が必要だ。

これに対して日本語ネイティブが運営する英語ネイティブだけが参加するカンファレンスがある。
ここに日本語ゲストスピーカーが参加する。
日本語ゲストのスピーチは英語に訳してもらわないといけないのだが、パワーポイントが必要とか、どうやって用意するとかの話は、英語ネイティブの主催者を通じて一旦英語に訳して、運営者に日本に訳し直して伝えるよりも、ゲストスピーカーと日本語ネイティブの運営者と直接打ち合わせしてもらった方が速い。

この場合運営者の言語が命令セットでカンファレンス主催者の言語がホストOS、ゲストスピーカーの言語がゲストOSだ。
エミュレータは前者のようにいちいち全部英語に訳さないと何も動かないが、後者の仮想マシンの場合英語ネイティブを素っ飛ばして、直接日本語運営者とゲストスピーカーが打ち合わせをすれば日本語同士だから話が早い。

EFIの概念はちょっと違うのだが、分かりやすく喩えてしまえばこういうことだと思う。

そして仮想マシンソフトは私の思い込みとは裏腹に、こんな理屈を理解していなくても全く問題なく簡単に使える。
これは今回試してみて一番驚いたところで、昔VirtualPCをインストールしてDOS画面から前に進めなくなってしまった思いがあったので、今回覚悟を決めてトライしたのだが、こんなに簡単なのだったらもっと早く試してみれば良かったと後悔した。

Macで使える仮想マシンソフトはいくつかの流れがある。
今回はそのうち2つを紹介する
VirtualBoxVMware Fusionだ。


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VirtualBox
(Freeware)
OS10.5Leopard対応Windows2000~XP対応

サンマイクロシステムズがディストリビュートする仮想マシンソフト。
これはホストOSとしてWindows、MacOSX、Linux、Solaris等をサポートしている。ゲストOSもWindows、Linuxなどをサポートしているようだ。

これの特筆すべき点はやはりフリーウエアだということだろうか。
厳密にはオープンソース版と個人ユース、評価版とに分かれているらしいが今回のリンク先のバージョンは評価版ということらしい。
いずれにせよとにかく個人なら、無料で使える。

これにかなり心が動いたが、BootCampでインストールしたOSを活かしながらこれを利用する方法が分からなかった。
BootCampのWindowsの設定を引き継ぐことはできるようだが、私の場合Windows単体としても使いたいので、BootCampのWindowsは残しておきたかった。
BootCampのボリュームからWindowsを起動する方法が分からなかった・・・というよりもまだそれはサポートしていないのかもしれない。

そこで今回は見送ったのだが、ちゃんとアンインストーラも同梱されている親切設計だから、安心して試してみたら良いと思う。






VirtualBoxのディスクイメージを開いたところ
インストーラとアンインストーラが同梱されているのがいい
BootCampとは別に仮想領域にWindowsOSをインストールしないと
いけないようでそこが今回踏み切れなかったところ




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VMware Fusion
(Produts)
OS10.5Leopard対応Windows2000~XP対応

こちらはフリーウエアではなく100ドルほどの製品版ソフト。

このVMWareという会社はもともとサーバの仮想化技術を長年開発してきた企業で、幅広いシステム向けの製品を用意している。
主力はサーバ、データセンター向けのソフトなのだがクライアントPCの仮想化ソフトも取り揃えている。
例えばWindowsVistaをホストOSにWindowsXP等のレガシーOSを起動するとか、Linuxとかバリエーションは数多くある。
その中でMacOSXをホストとするのがこのVMware Fusionというバージョンだ。

使ってみた印象は、
1)インストールはあっけないほど簡単
2)OSX、ゲストのWindows間のドラッグアンドドロップでのファイルのやり取りをサポートする
3)USBメモリなどの外部機器、ネットワークの大部分をサポートする
4)速度はややモタリ感はあるものの、実用の範囲内

というところか。
他にParallelsという選択肢もあるが、この2)、3)の特徴がややアドバンテージがあるように思い、今回はこれを選択した。

Windowsそのものを快適に使いたい場合はやはりBootCampに一歩も二歩も譲る。
BootCampはほぼネイティブのように使えるが、VMware Fusionは昔のVirtualPCとは比較にならないほどスムーズだと言っても、やっぱりもっさり感はある。
WindowsOSでゲームをしたいという向きにはBootCampをお薦めしたい。
しかしVMware Fusionの長所はやはりホストOSとシームレスに切り替えて使える実用性だと思う。
WebクリエータならWindowsとMacをパッと切り替えて表示を確認したいという場合があるだろう。

重要なファイルをWindowsに渡す前にWindowsで正常に開くか、正常に表示するか確認しておきたいという場合もある。
その場合はこのVMware Fusionは威力を発揮する。

安定性は高いといえるが、やはりネイティブに近いBootCampには若干劣る。
といっても特にフリーズするわけでもなく、繰り返しになるが実用性は高い。
特にユニティモードの実用性には感心した。
これなら「今Macを使っているか、Windowsを使っているか」なんてことをいちいち意識しないで使える。

以下の感想はintel/MacBook、CoreDuo2.4GHz、メモリ2GB 677MHz、OS10.5.6Leopardでテストした。






VMware Fusionのディスクイメージを開いたところ
これもアンインストーラが同梱されている





インストーラの指示にしたがって「続ける」ボタンをひたすらクリックする
インストールの要諦はほぼこれだけでスゴく身構えてトラシュー体勢も
万全に整えて取りかかったのに拍子抜けするほど簡単だった





トライアル版のシリアルナンバー入力画面まで進むと
USBをスキャンしているようでGrowlが盛大に反応した





インストールはあっさりと成功した





今回は試用版を試したので残り日数の表示が現れる
このように無料お試し版がテストできるので気軽に試したら良いと思う





インストール先はアプリケーションフォルダの第1階層





起動するとこういう画面が現れる
BootCampパーティションをすぐ認識してリストするので
その「右向き三角」ボタンをクリックするとWindowsOSが起動し始める





初回のみ起動ボリュームとしてBootCampパーティションを「準備」する
もろもろインストールしているのではないかと思うがこの動作は初回の起動時のみ





ただしWindowsを起動するには毎回管理者パスワードを要求される
これは悪意あるスクリプトを自動実行されないためにも
必要な処置なので良しとしないといけない





これも初回のみの動作で「3Dアクセラレーションが問題を起こす場合」の注意が出る





そしてWindowsのお馴染みの起動画面に進む





青画面もクリア・・・





ログイン画面まで進む
ここまで進めば起動は概ね成功





ログインするとライブラリの画面もこんなふうに現状の画面に変化する





これが一番気がかりだったのだがやはりWindowsXPのアクティベーターは
「新しいマシンにインストールされた」と認識した
アクティベーションを要求している
ただしコールセンターに電話しなくても2本目のライセンスまではオンラインで可能だった





ユーザ登録はメンドクサイからパス
それでも問題ない





アクティベーションもあっさり通過





最初の起動時のみハードウエアのインストールウイザードが起動する
ここらは新規インストールと同じ感じだが完了するまでただ見ていればいい





ログインに成功すると「KbdAppleが正しく動いていない」というアラートと
「マカフィーを入れなあかんでぇ」というアラートが出る
ノートンを入れているのでこれは無視





こうしてMacOSXのデスクトップのうえにWindowsXPのデスクトップが
表示されるというシュールなデスクトップが実現する





このウインドウ右上には「フルスクリーンモード」と「ユニティモード」というボタンがある





フルスクリーンモードはこの通り
デスクトップがすっかりWindows化する表示





これをOSXの機能のSpacesで切り換えて見る
例えばデスクトップを2つにして1つ目をMac、2つ目をWindowsにすると
指定のショートカットキーで一瞬でMacとWindowsを切り替えられる





Windowsとの切り替えが一瞬でできる派手さならフルスクリーンモードが楽しいが
もうひとつのユニティモードもなかなか捨てがたい魅力がある
というよりもこのようにWindowsのアプリがMacの環境上で普通に動いているので
WindowsだのMacだのを意識しないでシームレスに使うことができる
勿論この状態でMacとWindowsのウインドウ間でドラッグアンドドロップで
ファイルを受け渡しすることもできる





このようにMacのデスクトップでInternetExplorerが普通に起動している





ここで動いているのはInternetExplorer7
Mac版InternetExplorerは5で開発打ち切りになってしまったが
これでも昔のOS9上のInternetExplorerなんかよりはよっぽどきびきび動いている





MacOSX上でファイルを開く時に右クリック(コンテクストメニュー)を開いてみよう
プルダウンで直接Windowsで開くメニューも現れる





右クリックなどでファイルをWindowsから開く時には認識できる領域を設定する
このエリアからは右クリックで直接Windowsで開けるしWindowsのウインドウに
ドラッグアンドドロップでファイルを受け渡しすることもできる
注意したいのはセキュリティリスクもWindowsと同じレベルに
なるのでマルウエアをもらってしまうリスクがあるということだ
対策ソフトは必要になってくると思われる





気になっていたのはWindowsUpdateがVMware Fusion上から可能かどうかだ





これもネイティブのWindowsと同じようにダウンロードインストールを進めている様子





そしてあっさりUpdateに成功してしまった





VMware Fusion側の設定項目
ここを見るとUSBストレージ(USBメモリ)をサポートしているのが見て取れる
これもVMware Fusionのアドバンテージだ





プリンタはMacで登録されたプリンタが自動的にWindowsにも追加されるという設定
しかし今のところ会社のネットワークプリンタからのプリントに成功しない
この原因は今のところ追及中だがUSBプリンタは問題なさそうだ





AutoProtectはどうやらLeopardのタイムマシンのような機能らしい
この機能はBootCamp共用のWindows起動の場合有効にできない





ファイルをGUI的にやり取りできるファイル共有の設定は
VMware Fusion側の設定項目にもある





VMware FusionでWindowsを起動しているとネットワーク上にWindowsの共有ホストが見える
ここを通じてファイルのやり取りができるのもWindows実機と全く同じだ





ところでもうひとつ気になるのがシステム負荷
CPUはCoreDuoなので200%中40〜90%を消費している
結構な負荷だし全体にややもっさり感があるのはこのせいかもしれない
CPUは4core、8coreなどできるだけ高性能な方がいいのは言うまでもない





さらにメモリもかなり喰う
VMwareが700MBから1GB喰っている
メモリ搭載量はベンダーは1GB必須で2GB以上推奨としているが
実際には2GB必須で4GB以上推奨という感じではないだろうか





上記VMwareの設定はWindowsのステータスバーのアイコンからも開くことができる





USBメモリを差したところ
このように普通にWindows実機と同じように認識している
この調子でFirewireなんかも認識してくれるともっと嬉しかった





たまたまAppleのソフトウエアのアップデートもかかってきたので
VMware上でアップデートしてみた





こちらも問題なくアップデートできることを確認





ところで面白いことに気がついた
BootCampボリュームは普段はOSX起動時にマウントしているが
VMware上でWindowsが起動している間はアンマウントされている
共有フォルダが必要なのはこういう理由からだ





Windowsを終了すればVMware起動中でも
BootCampボリュームは再びマウントされる





もうひとつ面白いギミックがこれ
VMwareのOSX側のメニューコマンドがスタートメニューと同じ構成になっている
ここからアプリやファイルブラウザの起動が自在にできる





OSXとの共有フォルダはWindows側からはここで見えている
マイコンピュータを開くと「Z:ドライブ」として見える


<後日追記>

数日実際にVMwareを使ってみてちょっと気になったのが、Windowsの不正終了が結構な確率で起きること。
そうすると次回の起動の時にこういう画面が現れる。
これは「前回正常に終了されなかったのでシステムのスキャンと修復をする」という画面。
実用上問題はないが、これが出る度に起動に数分待たされるのがちょっと心楽しくない感じだ。






起動の度に「システム修復」画面が出る確率が3回に1回と低くない






WinからMacに乗り換える時の疑問

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WindowsからMacにスイッチ(乗り換え)する時の疑問19
〜WindowsとMacOSを切り替えて使うのは実用的?2

前回WindowsをVMWare Fusionを使って切り替えて使うのは実用的かどうかを取り上げたが、それ以前にBoot Campを使ってWindowsの切り替えするのは合理的かどうかを取り上げるのを忘れていた。
今回はこれを取り上げる。


WindowsとMacOSを切り替えて使うのは実用的?2〜Boot CampでWindowsを使うのは実用的?

前回は仮想化ソフトのVMWare Fusionを使って瞬間的に切り替えながら使う場合の使い勝手を取り上げた。
VMWare Fusionは、この「瞬間的に切り替えられる」というのが最大のメリットで、Mac用のアプリケーションとWindows用のアプリケーションをほとんどシームレスに使える。

ただし弱点は、VirtualPC等のエミュレータと比べれば革命的に軽く動くとは言っても、やはりネイティブのWindows環境のようにサクサク動くというわけではないことだ。
しかもメモリはスゴい量を消費する。

私の場合2.4GHzのintel、Core2Duoでメモリを2GB差しているが、決して余裕があるという感じではない。
ある程度余裕を持って使いたいならメモリはやはり4GB差しているべきだという感じがする。


それよりも「Macと頻繁に切り替える必要はない、Windowsの環境を中心に使いたい」という条件の場合は、Boot CampでWindowsを使う方が良いと思われる。
何よりも軽快に動くし、メモリもそんなに異常に喰わない。
どれくらいかというと、Boot Campから起動したWindowsXPが私の上記条件の場合、会社などで常用しているDellの事務用機よりも軽快に動いている気がする。
そのくらいネイティブに動く。

USBや無線LAN、Ethernetなどのインターフェイスも普通に認識しているし、マウスも普通に使えている。
残念ながらFirewireは認識していないようだが、これは標準のWindows機にはついていない機能なので気にすることはない。

つまり、もし「Macとの瞬時の切り替え」を要求しないなら、Boot Campは実用的にWindowsが使える環境だということだ。
しかも製品版アプリのVMWareと違ってBoot CampはLeopardには標準で付いてきて、無料だ。

コストもパフォーマンスもいいので、Windowsからのスイッチャーは、しばらくWindowsの環境も並行して使いたいという場合はこれも考慮に入れても良いと思う。

ただ大部分のWindowsユーザは、パソコンに付属しているシステムディスクからOEM版Windowsをインストールしているため、Windowsのパッケージディスクを持っていないという問題はあるかもしれないが。
WindowsユーザがMacでWindowsを動かす時に実は最大の出費は、Windowsのパッケージディスクの購入費ということになる。
これはちょっとアイロニカルかもしれない。

以下にBoot CampにWindowsをインストールした時の別頁の記事をそのまま転載しておく。




anchor

Boot CampでWindowsXPを導入する


Boot Camp アシスタント
(Bundle)
OS10.5Leopard対応

ことの顛末を書くと長くなるのだが、できるだけ手短かに。

今回Leopard/MacBookを導入したが実はこれは私物ではなく会社支給のパソコンだ。
ウチの会社では社員には一台パソコンが支給されるが、この一年間管理の手違いで私はパソコン無し社員だった。それで私物のiBookで仕事をしてきたわけだが、ストレスがないわけではなかった。
会社の精算システムがMacで動かないこともないけど一部のフォームが無反応だったり、ちょっとした連絡メモをいちいちWordやExcelでメールに添付して送りつけてくる人がスゴく多かったりなどが主なストレスだった。

特に後者はひどいもので、10行程度の連絡事項なら添付にしないでメール本文に書いてくれと思うのだが、親の仇のようになんでもかんでも添付してくるオジサン達が多いのには閉口する。
Windowsなら一瞬で開けるから良いかもしれないが、MacだとWordやExcelのアイコンジャンプをボーッと見ている時間がもったいないんだから、メモはテキストにするかメール本文にコピペしてくれと、お願いしているのだがそういう想像力がWindowsネーティブの人には欠落しているのか、私がなぜそんなことを言うのか自体が理解できないらしい。

他にも社内LAN上のファイルサーバに平気でショートカットを置いて、そのショートカットの場所だけを書いて「ここにあるから見といて」と一斉メール通知で送り捨てにする人もものすごく多い。
ショートカットはMacでは見えないということが理解できないらしい。
「ちゃんと連絡しといたのに見ていないのが悪い」
ということをいう人に
「んなのは連絡したことになるか、ばか」
と言ってもケンカになるだけなので、Windows実機の支給を希望していた。

なぜか社内では「mutaはMacユーザだからWindowsは使えないに違いない」という思い込みというかコンセンサスができていて、
「そのうちMacをまとめて調達するからmutaのパソコンもそれまで待て」
というお達しがきていた。
私がWindows機を希望していたのは正しく伝わっていなかったらしい。
(某技術部長は「mutaにWindowsは豚に真珠だ」とか抜かしやがった。この恨みはきっちり記憶に残りましたからね)

しかし、私物でMacを使っているんだから会社でMacを支給されても意味ないよね・・・なんて思っていたのだが、実際一年遅れで支給される時にこんなことを訊かれてちょっと考えが変わった。

「DELLのノートか、デスクトップ機、最新型MacBookと3つ選択肢があるけどどれがいい?」

DELLは一昨年までの3年間、出向先で事務用に使っていてどういうものか大体分かっていたので
「DELLの糞パソコン使うぐらいならMacBookにWindowsインストールした方がずっと結果がいいかも」
と思った。
それで急遽希望を変更して「MacBookがいいです」と返答した。

そして今回その希望が通ってしまったわけだ。私は事務社員じゃないから多分認められたんだろう。
認められた理由はともかく、そういう理由で導入したのでMacBookでWindowsを動かすというのがその最大目的ではあったわけだ。

Boot Camp、標準バンドルなんですよ、Leopardって。 使ってみたくない?
当然でしょう、
もうWindowsXP Proのパッケージディスク買っちゃったし・・・
MS様、私も売り上げに貢献してま〜す。
(会社は「MacBookは貸与するがWindowsシステムディスクは自分で調達せよ」と言っている。ちょっとケチ。仕事で使うんだから自腹は無いだろというと「稟議書を出せ」ときた。稟議書に「DELLのパソコンは糞ですから、こういう選択をしました」なんて書いていいのか?)

以下、WindowsXP導入の記録を。
(なぜVistaじゃないかって? 6月までXPは販売が延長されてるし、仕事にVistaの機能は必要ないし、それ以外のことはOSXでやるから、要らないんですよVista、正直。)






Windows導入への道はBoot Camp アシスタントから始まる
ユーティリティフォルダにあるこれを起動すると最初に
「パーティションを切るか?」「インストールをはじめるか?」と訊いてくる
専用パーティションを切っていない場合にはパー切りからはじめる





私の場合はFAT32のファイルシステムを選択して
FAT32で認識できる最大容量の32GBのパーティションを切った
パーティションの設定はワンクリックでできるがデータの破損を防ぐために
できるだけデータファイルを入れる前にパー切りすることとバックアップを取ることをお薦めする



最初にパーティション切りの作業を求められるが、いくつか注意事項がある。

1)パーティションサイズは最大32GB、最小5GB

のちにWindowsインストール作業で1回フォーマットをした方が良いのだが、ファイルシステムはWindowsXPのデフォのNTFSではなくFAT32を私は選択した。
NTFSはセキュリティの信頼性も高く、ボリュームサイズの制限も最小アロケーションの制約から来る無駄もなく良いファイルシステムだと思うが、Boot Campで動かすWindowsには向かないと思う。

MacOSXはNTFSの領域の読み書きができないし、WindowsはHFS+の領域の読み書きができない。
つまりどちらから起動しても相手のファイルを受け渡しする方法がないことになる。そのために外部のサーバを使うか、USBメモリを使う必要があるとしたら一台のパソコンに両方をインストールしている意味はないような・・・

あれ? でもLeopardのファイルシステムってZFSに変わったんだっけ?
ZFSでもNTFS領域は見えないのかな?
まあ良い。分からないことはやらないという主義により、ファイルのやり取りが確実にできるFAT32を採用することに。
ということはFAT32が認識できる最大容量は32GBなので、Windows用のパーティションサイズは自ずと決まった。
最小の5GBにする手もあったが、仕事用なのでそんなにケチってもしょうがないし・・・


2)パー切りはOSXインストール後できるだけ早い段階でやる

今回は内蔵ディスクが160GBと余裕があったから融通も利いたが、本当はパー切りはOSインストール時にやってしまうか、インストール後の最初の起動の時にやってしまった方が良い。
そんな後ろの領域に滅多に書き込みもしないだろうが、思わぬデータが失われてしまうことにもなりかねない。
ボリュームそのものの変更をする時には、常にそれが全滅しても大丈夫なようにバックアップを持っておくこと・・・これ鉄則。






「インストールを開始」を選択するとWindowsインストールディスクをマウントすることを要求される
後は次に進むと勝手に再起動されWindowsディスクから起動されるのでそちらの指示に従えばいい
忘れていけないのはここにも書いてあるがLeopardのシステムディスクを必ず用意すること
Windowsのインストールが完了したらそれが必要になるからだ





以下Windowsのインストール画面になるがキーボード設定をどうするかとかの質問は適当で良い
これらは後で変更ができるからだが気をつけたいのはこのインストール先の設定
この画面はどのパーティションにインストールするかを訊いて来ているが必ず
「C:パーティション<BOOT CAMP>」を選ぶこと、キーはCキーかこれを選んでEnetr
なお日本語版Windowsの場合はここは日本語のインストラクションが出るので安心してほしい





もうひとつ注意したいのはパーティションのフォーマット
これはスキップできるがなぜか私の場合はスキップするとインストールに失敗
やっぱりWindowsのことはMSに任せろということで2番目の
「パーティションをFATでフォーマット<クイック>」を選んで簡易フォーマットした
それでも起動に失敗したりいろいろ変な挙動はあったがとりあえずこれで成功した





マニュアルにはインストール成功後Windowsから自動的に立ち上がると書いているが
私の場合はインストール後黒画面のまま停まってしまった
再起動をかけるとまたインストーラから起動するのでoptionキーを押しながら起動し
「Windows」というボリュームを選択してWindowsXPに入った
手間がかかるOSではある



ここからはWindowsのインストールに慣れている手練は読む必要はないかも

Windowsインストール画面に入ると昔懐かしいDOS風の画面でいくつか設定について訊かれるが流してよい。
後で変更も利く
ただしWindowsお馴染みの目が痛くなるような青画面に入ったら、注意してインストラクションを読んだ方が良い。
まずインストール先を訊かれるが、先ほど作ったFAT32のパーティションにはもう
「C:パーティション」
という名前が振られているので、「<BOOT CAMP>」と書かれていることを確認してこれを指定する。
多分他のパーティションを指定しても、そこで止まってしまうと思うが、もしOSXシステムなんかに上書きされたら大変だ。


ここまでの記述は短いが、実際には私のところでは4回インストールに失敗し、5回目でやっと成功した。
インストールに失敗するというのがそもそも信じられないのだが、そういうものなのかもしれない。
何せ一人でインストールするのは初めてなもので。

インストールに失敗したので私のところではこの青画面でもう一度C:パーティションを「FATでフォーマット<クイック>」でフォーマットし直した。
意味があるかないかは分からないが、MS製品のことはMSに任せた方が良いのかもしれない。






マニュアルではインストールが完了すると自動的にドライブCのWindowsから起動するとあるが
なぜか私のところでは黒い画面まで起動してそこで止まってしまった
そこで上記のようにoptionキーを押しながら再起動で起動ボリュームを選択するか
OSXの「起動ディスク」からWindowsボリュームを選択しても良い
このままではまだWindowsは半身不随なので仕上げでOSXインストーラディスクを入れる





OSXディスクがマウントされると自動的にBootCampドライバー類がインストールされる
インストールが始まらない場合はD:ドライブのディスクの「SETUP.exe」を起動すればいい
インストール完了後はBluetoothとかAirMacカードとか全てのハードを自動的に読み込み始める



かつてBoot Campの話を初めて聞いた時に、私が最も疑問に感じていたのはMacのハードウエアとどう連携させるのかということだった。
VirtualPCでもそうだったがエミュレータの世界ではWindowsOSはとりあえず動いているが、AirMacカードを認識できないとかハードの認識ができず、外部との連携が上手く取れないということを感じた。
結局Macの上でWindowsが動いているというのを鑑賞するだけというのが最も合理的な使い道だった気がする。

しかしintelベースで仮想化マシンで動かすのはエミューとは根本的に違うと聞いていた。
が、ハードの認識ができなければ一緒ではないかと思っていた。
実際Windowsインストール完了直後のWindowsXPの様子は、エミュレータ上のそれと全く一緒だった。
とりあえず動くし、キーやマウスで操作できるがそれだけのものという感じだった。

ところがマニュアルに従ってBoot Campソフトウエアの事後インストールをすると様子は一変する。
Windowsインストール完了後、特にアラートは出ないが必ずOSXのシステムディスクを挿入しないといけない。
これを入れると自動的にインストールが始まるが、始まらない場合はディスクの「SETUP.exe」ファイルを起動する。
これで各種ハードウエアを認識するドライバがインストールされ、Macのハードのほとんどが使用可能になる。

BluetoothもFirewireも無線LANも、もちろんEthernetやUSBもだ。
Windowsからネットワーク機器が操作できるようになるのは、なかなか面白い体験だ。

これでやっとWindowsXPはMacBookのオペレーションシステムになったと言える感じがする。
対応しているそうなので、いつかFedraCoreのLinuxなんかも試してみたいと思った。






MacBook内蔵のAirMacカードを認識しちゃんと無線LANにも接続した
無線の接続は昔非常に往生した記憶があったがこんなに簡単になっていたとは知らなかった





コントロールパネルをクラシック表示するとそこに「Boot Camp」という項目を発見!





起動ディスクの選択はここでもできるしタスクバー右端の
BootCampアイコンからもワンタッチでできるで便利
ここではキーボードの選択等もろもろハードとの連携が調整できる





Windowsの特殊キーがMacのキーボードショートカットに
どう対応しているのかよくわからないので困っていたら
ちゃんとBoot Camp アシスタント付属のマニュアルPDFに書いてあった
やはりマニュアルはちゃんと読めということだろう
ありがたいことだ





ということで早速Beckyを入れてしまった
Windowsでメーラといえばやっぱりコレでしょう





Win版InternetExplorerで弊サイトを見る
やっぱり微妙に表示が崩れているがここは新しいIE7なんかも近日中に試したいところ





Firefoxなんかも入れてみた





Win版Safariなんかも入れてみた
どれもこれも表示が速いのに驚かされる





ちょっとバージョンは古いがMSOfficeも入れてみた





この通りネットワークプリンタもちゃんと認識して普通にプリントアウトもできるようになった
噂通り反応も速いのでMac使わないでフツーにWindowsマシンとしても使えると思う



なんだか絵ヅラを見ると
「Windowsのトラブルシューティングとオンラインウエアテスト」
にサイトが宗旨替えをしたみたいに見えるが、こうして動かしてみると結構楽しい。
昔、仕事でWindowsしか選択の余地がなかった時には
「なんでこんなもの使わされるんだ」
と憎悪したが、今はOSXという一応使える環境がバックグラウンドにあって、その上でWindowsを動かしているので、気持ちにゆとりがあるせいかWindowsを動かすのが楽しくなってきた。
このままだと、本当にWindowsのトラシューとアプリの紹介サイトになってしまうかもしれない。

最後にWinとMacでファイルをやり取りする方法も書いておく。
これもわざわざ解説する必要がないほど簡単だ。






OSXの方からWindowsのボリュームのルートを見る
Windowsから見るのとはかなり様子が違っているがWindowsの実際のディレクトリ構成はこうなっている





ユーザ領域のデスクトップ
この通りOSXから中身が見えるのでOSXのデスクトップにエイリアスを作り
直接デスクトップ同士でファイルのやり取りをすることにした
これは便利











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